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混乱するしかない現実

 混乱する三郷ちゃんに自分が知っている事を話すのも酷だと思うが三郷ちゃんが前へ進む為に必要な事だった。



「三郷ちゃんのお父さん、いるよね? あの人は俺の父なんだ……。 腕時計を渡しに行ったあの時、遠目で三郷ちゃんのお父さんを見て、父に似てるな……と思ってさ……。 でも、結びつかなくて、意味もわからないし……それも実咲に聞いたんだ……。 実咲は別の理由で三郷ちゃんのお父さんって俺のお父さんなんじゃないのかな、と思っていたみたいで……。 俺、父に会って来て全てを知ったんだ……」


 父さんに聞いた話を三郷ちゃんに話した。



「……そんな事ってある……? 好きな人がお姉ちゃんの元カレで自分のお兄ちゃんだったなんて事……。 私に諦めてもらおうと嘘、言ってる? 私、騙されないよ!」



「嘘じゃないよ……。 こんな事、嘘言えないよ……」



「絶対嘘……!」


 三郷ちゃんは信じようとしなかった。

 こんな嘘みたいな話、当たり前だ。

 すぐに信じれる訳はない……。



「三郷ちゃん、すぐにとは言わない。 少しずつ受け入れてもらえないかな。 実咲の事が一番の理由だけど、もし、実咲の事がなかったとしても三郷ちゃんの兄である俺は三郷ちゃんとは恋愛できないんだ。 ごめん……」



「お父さん……電話してみる……」


 三郷ちゃんは父さんに電話をかけた。



「あ、お父さん? 今いい……?」


 三郷ちゃんは父さんに俺の事や俺から聞いた話をしている様だった。

 見ていると三郷ちゃんの顔色がどんどん曇る……。

 きっと父さんと話して今聞いた話は本当の話なんだと認識し始めている様だった。



「ちょっと待って……」


 電話の向こうの父さんにそう言い、スマホを渡された。



「出て……」



「……もしもし、父さん?」


 三郷ちゃんには本当の事を話して、今すぐは無理だと思うけど少しずつ気持ちを切り替えていけばいいんじゃないかという事は話した、と父は言っていた。


 俺はまた連絡するよ、とだけ伝え、電話を切った。

 三郷ちゃんは座ったまま何も話せずにいた。

 大好きな父親から本当の事を告げられ、その言葉一つ一つを頭に入れようとしている感じに見えた。

 長い沈黙が続き、三郷ちゃんが立ち上がった。


「今日は帰るよ……。 ちょっと今、混乱してて何から考えていいかわからない……。 また連絡させて……」



「三郷ちゃん、帰れる? 送って行った方がいい?」



「帰れるよ。 それに今は一人で考えたい……」


 いろんな事が急に自分の中に入ってきて処理し切れないんだろう……。

 当たり前だ……。


 三郷ちゃんは静かに帰って行った。

 三郷ちゃんが帰った後すぐ父さんへ電話した。

 全て話した事と、三郷ちゃんの力になって欲しいと伝えた。


 実咲にも電話をかけた。

 けれど、泊まりなのか出なかった。

 仕方なくLINEで報告した。



 『実咲、今日は仕事なのかな?

  さっき、三郷ちゃんに話した。

  今は一人で考えたいと言ってた。

  実咲にも連絡あると思う。

  何かあったら言って。

  俺でできる事はするから。』



 実咲から返信が来たのは翌日の朝だった。


 『ごめん、仕事だった。

  連絡ありがとう。

  まだ連絡は来てないけど、私から連絡してみる。

  司にばっかり大変な事させてごめんね。

  また連絡するね。』



 実咲はどう話すんだろう……。

 三郷ちゃんはどう感じるんだろう……。


 俺はしばらく三郷ちゃんの様子を見る以外になかった。

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