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閉ざされた心

 三郷ちゃんが毎日の様に来ていたのが、パタリとなくなった。


 連絡をしてみようかとも思ったが、一人で考えたいと言った事を尊重してあげようと思った。


 でも気にはなる……。

 実咲と父さんに連絡を入れて三郷ちゃんの状況確認をした。


 父さんには、心配するな、時間が解決するし、そんなに弱い子じゃないから大丈夫。 また変わった事があったら連絡するけど今のところないし、大丈夫だと思うと言われた。



 俺は三郷ちゃんが通ってくれたこれまでを思い出していた。


 いつも元気で前向きでひたむきで、恋愛から遠ざかりまた恋などする気がない俺に恋心を抱いてくれて、三郷ちゃん本人に俺の気持ちを向ける事によってまた人としての感情の一つを取り戻そうとしてくれていた。


 三郷ちゃんは、彩りのない毎日を送っていた俺に少しずつ色を足してくれていた様な気がする。


 いつも楽しい人で、心をくすぐられる感覚は何度もあった。


 もう誰かに対する恋愛感情は自分の中では無くなったと思っていたのにその感情を思い出すきっかけを作ってくれたのは三郷ちゃんだった。


 三郷ちゃんといると楽しい事ばかりなのかも知れないなと、この先、一緒に時間を過ごしていると気付けば……という事を一瞬でも想像したのは確かだった……。


 けど、その先がなかった。

 いくら考えても見えなかった。


 もしかしたら、本能的にきょうだいの血が騒いだのかなとも思う。

 こんな兄を人間らしく戻す為に出会ったんだろうかと都合のいい話だがそう思ってしまう……。



 要件は三郷ちゃんの話だが、実咲と久し振りに電話で話をした。


「実咲、今、話して大丈夫?」



「大丈夫。 今日お休みだから。 三郷の件でしょ? 司は大丈夫? ごめんね、嫌な役お願いして……」



「俺は大丈夫。 三郷ちゃんから連絡あった?」



「あっちからはないの。 私から連絡して話した。 いろいろ聞かれた……。 いつ付き合ってたの?とか、どれくらい付き合ってたの?とか……。 冷静に聞いてくれた感じはするけど、最後に今は話したくないから放っておいてって言われちゃった……。 あんまり実家に帰ってないんだけど、三郷の事も気になるし一度帰ろうかな……と思ってる……」



「実咲、何で実家に帰ってないの? そんなに実家から遠くで暮らしている訳じゃないんでしょ?」


 実咲ってどこで暮らしてるんだろう……。

 実咲の今を俺はほんとに何も知らなかった。



「うん……。 何かね……、帰りにくくなったの。 母と司のお父さんの事……。 司に申し訳なくて……。 司のお父さんだって事に何となく気付いてからかな、母と顔を合わす事が少なくなったかな。 三郷とは外で会ったりしてるけど、母とは距離を置いてしまってる感じかな……」


 実咲がそんな事思わなくていいのに……。

 ずっとそう思ってたのかと思うと申し訳ない……。



「実咲さ、それは実咲のお母さんと俺の父さんの間の話でしょ? 実咲が悪い訳じゃないし、実咲のお母さんを恨んだ事もないよ。 うちの両親の離婚はなるべくしてなったんだよ。 だから、もうそう考えるのは辞めな。 ね?」



「少しずつ……そうしてみるよ。 でも三郷の事は気になるからね……、一回帰るよ……」


 実咲にはいつでも誰とも笑ってて欲しいな……。

 実の母に持たなくていい思いを持ってもらいたくなかった。

 実咲っぽくない。


「実咲は今どうしてるの? 毎日、楽しい?」



「普通かな……」


 実咲にもっと話して欲しいのに自分の事になるとあまり話さなくなる。


 俺は何だかもどかしかった……。

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