表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時を刻む  作者:
48/72

繋がった嬉しさ

 見つけた実咲のLINE。

 見てみるとプロフィール写真は夜の空に星が一つ、ぽつんと光っている画像だった。

 背景写真は風景の写真で、どちらも実咲を連想させるものではなかった。


 【追加】のボタンを押す。

 これで、実咲と繋がった……。

 俺は勇気を出して、LINEを送ってみる事にした。


 けれど、文を作っては消してを何度も繰り返す。


 今頃、何?って思われないかな……?

 俺の事覚えてくれてるのかな……?

 迷惑だったらどうしよう……。



 『こんばんは。

  実咲、だよね?

  久しぶり。

  元気なの?』



 こんな文章だけ作るのに1時間くらいかかった……。

 送るのにも時間がかかる。

 ただ押すだけなのにそれができない……。

 結局迷っている間に遅い時間になってしまい、今日は送る事をやめた……。

 恋が始まる前のあの感じに似た感覚だった。



 次の日の朝、いつもより早く目が覚めた。

 LINEを開いた。

 実咲にまだ送れてないメッセージを眺める。


 とりあえず出勤の準備をする。

 朝ごはんを作り、それを食べて片付けて……。

 顔も洗って歯磨きもして着替えもして……。

 心が急いでいるのがわかる。

 いつもより段取りよく準備を進められた気がする。


 全ての支度を終え、ソファーに座る。

 出勤するまでにまだ時間がある。

 改めてLINEを開き画面を見る。


 悩んでも仕方ない……。

 そっと送信ボタンを押した。


 昨日あんなにまで迷って押せなかった送信ボタン。

 心が急いでるそのままに押した感じだった。


 実咲にちゃんと届くかな……。

 いつ、このLINEに気付くんだろう……。


 しばらくLINEの画面を眺めた。

 ほんとに実咲と繋がったのかな……。

 半信半疑。


 まだ既読は付かない。

 今日は夜勤なのかな……?

 気付いてないだけなのかな?

 出勤前でそれどころじゃないのかな……?


 実咲に思いを馳せる……。


 もう出勤時間になり家を出た。

 運転しながらもLINEの事は気になっていた。


 実咲、どう思うんだろう……。

 そのことばかりが気になった。


 会社に着き、席に着いてスマホを取り出して確認してみたが、まだ既読にはなっていなかった。


 残念に思う自分がいた……。


 今日はいつもより忙しく、朝からバタバタしていた。

 やる事もいっぱいで、午前中がすぐ終わった感じだった。

 そんな時でも何となくLINEの事は頭から離れなかった。

 席を立つ時だったり、コピーができるのを待ってる時だったり、LINEの事が頭をよぎる。


 でもまたすぐに目の前の仕事に引き戻される。

 とにかく忙しい午前中だった。

 少し遅れてお昼に入った俺はいつもの定食屋へ行った。

 席について日替わりをオーダーしスマホを開く。


 あ!


 LINEに1件送られている事を示す表示があった。

 一瞬息を飲む。

 ドキドキしながらLINEを開いてみる……。



 実咲からだった。

 1時間くらい前に返信してくれていた。



 『久しぶりだね。

  LINE、ありがとう。

  今、気付いてびっくりした……。

  司、元気?


  もしかして、夜送ろうとした?

  【こんばんは】ってなってるよ。』



 自分が【こんばんは】と送ってしまった恥ずかしさよりも、実咲と20年ぶりくらいぶりに話せた事が本当に嬉しかった。



 『ほんとだね。

  【こんばんは】に気付かず送ってしまったよ。

  LINE、最近始めたんだ。

  実咲、元気にしてたの?

  母さん、亡くなったんだ。』



 母の事を伝えようと思った。

 実咲はどんな20年を過ごしたんだろう……。

 もう結婚もして子供もいると思っていた。

 俺の想像とは違った。


 いろんな事を話せたらいいなと思っていた。



 でもその後、実咲から返信がなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ