親子の時間
翌朝、俺は早く起きて朝食を作っていた。
早く起きてというより、寝付けなくて朝を待っていた、という方が正解だった。
キッチンでいつもの朝食を作っていると、三郷ちゃんが起きてきた。
「おはようございます。 早いですねー。 あ! 朝ごはん、作ってくれてるんですか?」
嬉しそうにキッチンを覗く。
三郷ちゃんは朝から元気だった。
「あ、おはよう。 寝れた? 朝ごはん、もうすぐできるから座って待ってて」
「寝れた。 待ってていいの? じゃあ待ってようーー」
足をパタパタしながら待っている。
子供みたいな人だな……。
その待ってる光景がおもしろかった。
「はい、どうぞ」
トーストと焼いたベーコンとスクランブルエッグにサラダ。
朝ごはんはいつもこんな感じだ。
「わーー。 いただきまーーす!」
モグモグ食べてる三郷ちゃんは子供みたいだった。
「三郷ちゃんってさ、一生懸命食べるね」
「え? そう? 曽根さん、おいしいですよ!」
「それはありがとう」
温かいコーヒーを注ぐ。
コーヒーのいい匂いが部屋いっぱいに広がる。
のどかな土曜日の朝、ゆっくりと時間が流れる。
三郷ちゃんが朝から同じ空間にいてものどかに感じた……。
三郷ちゃんは不思議な人だ。
「ごはん食べたら用意しよう!」
三郷ちゃんは準備を始めた。
俺も準備しなきゃ……。
急いでごはんを終わらせた。
映画を観たり、お茶したり、買い物に付き合ったり、普通のカップルと変わらない休日を過ごしていた。
年の差もあるし、ジェネレーションギャップももちろんある。
こんな俺のどこがいいんだろう……?
「三郷ちゃんさ、年上がいいって言ってたでしょ? 今まで付き合った人みんな年上だったの?」
ちょっとした疑問を三郷ちゃんに聞いてみた。
「みんなじゃないですよ。 同い年の人もいました。 前彼は年上の人でしたよ」
「何で別れちゃったの? せっかくの年上の人なのに……。
「年上の人だったけど、年上っぽくなかったからかな……? 年上と言っても3歳上だったんで、あんまり変わらなかった……」
「年上の何がいいの?」
「考え方? 大人な男の人って感じ? よしよししてくれる感じ?かな……?」
「何歳上までならいいの?」
「たぶん、何歳でも。 付き合った事はないけど、お父さんより上でも大丈夫な人もいると思う……。 おじいちゃんでなければ大丈夫かな?」
「そういや、明日お父さんに会うんだよね?」
三郷ちゃんがそう言っていた事を思い出した。
お母さんと離婚した後、お父さんとは今も定期的に会っているみたいで、明日会うのは半年ぶりらしい。
お父さんが40代の頃に三郷ちゃんが生まれたというのもあってかわいがってくれていると言っていた。
だからお父さんが大好きらしい……。
「じゃあ、明日会うの楽しみなんだね」
「曽根さん、紹介しようか?」
「いや……、今、誰にでも紹介していいとは言ったけど、お父さんはちょっと違うかな……。 ちゃんとしてないとダメでしょ……」
「そう言うと思ってた。 じゃあ、ちゃんと付き合ってからね!」
大人になった今でも、離れて暮らす父と定期的に会うっていい関係だなと思う。
明日はいい時間を過ごして欲しい。
翌日、三郷ちゃんから指定されたカフェで三郷ちゃんを待っていた。
今は15時。
そのカフェの近くでお父さんとランチに行くらしい。
コーヒーを飲みながら待っていると三郷ちゃんがやってきた。
「おまたせ!」
「あ、お父さんに会ってきた?」
「会ってきた。 ちょっと頼まれ事があって寄ってきた。 ちょっと待たせちゃったね、ごめん」
「あ、全然。 なんか飲む?」
三郷ちゃんはアイスティーをオーダーしてお父さんとの話を始めた。
三郷ちゃんがとても楽しそうに話すのを見るとお父さんといい時間を過ごせたのはわかった。
「お父さん、今からお料理教室行くんだって。 70オーバーだけど頑張るでしょ?」
「じゃあ、今度何か作ってもらったら?」
「そうだね! お願いしてみよっと!」
三郷ちゃんはほんとにいい父娘関係なんだろうな……。
まだまだ続く今日のお父さんとの話をコーヒーを飲みながらゆっくり聞いた。




