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気持ちの違い

 三郷ちゃんは週末になると俺の家へやってきた。

 ジムへ行くくらいしか用がなかったので断り切れず、2週続いてやって来て来週こそはどう断るかを考える様になった。


 三郷ちゃんはうちに来るとひとしきり俺と会話だけして帰る。

 今は自分という人を俺に知ってもらって自分に興味を持って欲しいからとそう言っていた。


「曽根さんはあのイベントで私に初めて会った時の印象はどうだったんですか?」



「あ、若いな……って感じかな」



「それだけですか? かわいい、とか、あ、タイプ!とかは?」



「今時な感じ? あ、かわいいんじゃないかな……」



「じゃあ、生理的に無理じゃないんですよね? タイプじゃないの?」



「タイプ……? タイプってあってない様なもんだから……」



「じゃあ、付き合えるよね!」



「それとこれは話が違います……。 ねぇ、三郷ちゃん……、何で俺なの?」



「曽根さんがいいと思ったからですよ。 じゃあ教えてください。 何で恋愛するつもりがないんですか? 目の前に恋愛、ぶらさがってますよ。 しかも愛される事が確定の!」


 三郷ちゃんは笑ってそう言った。



「しようと思わないだけだよ。 誰かを思ったりする事をやめたんだ、もう随分前に」



「何でやめちゃったの? でもそれって前に誰かを思ってた事があるから言える言葉ですよね? それなら、また誰かを思う事はできるって事ですよね!」



「三郷ちゃん、……そう考えるの!?」


 俺は吹き出してしまった……。



「だってそうでしょ? 可能性があるなら賭けたいじゃないですか! 曽根さんだって一緒! 可能性がある事はやった方がいいですよ! だって自分の人生でしょ? しない後悔はしない方がいい! ね? だから私と付き合ってみましょう? 人生に恋愛は必要ですよーー」



「それはそうだけど……三郷ちゃんっておもしろいね……」


 三郷ちゃんの元気でポジティブなところは俺の心をくすぐっている感じで、ただ、くすぐられ続けると大きな笑いになりそうな予感もした。



「おもしろいは嫌だ。 そこから好きに発展します? 曽根さん、今、女の子と密室で2人ですよ? 何も思わないですか?」



「だって、三郷ちゃんでしょ?」



「その三郷ちゃんを襲ったりしようと思いません? 襲ってもいいですよ? そこから始まる恋愛もあるでしょ?」



「襲いません……。 そんな事言わないの。 でも三郷ちゃんっていつも発想がおもしろいね。 三郷ちゃん、誰に影響されたの? きょうだいいるの?」



「姉1人です」



「お姉ちゃんいるんだ。 いいね。 俺、一人っ子だったからきょうだいって羨ましい」



「曽根さん、一人っ子なんですか? じゃあ、私が一緒に居てあげますよ! 寂しくさせませんよ!」



 俺はテーブルに静かにコーヒーを置いた。



「三郷ちゃん、来て喋りっぱなし。 ちょっとブレイクしたら?」


 三郷ちゃんはコーヒーを一口飲んで一息ついた。


「何か、曽根さんと居れるこの空間が幸せです。 今は片想いだけど、いつか想ってもらえるのかなぁ……」


 恋愛ってどうするんだっけ……?

 何で三郷ちゃんを恋愛対象に見れないのかを考え始めていた。


 もし、もしもの話、付き合う事になったとして三郷ちゃんも30代、結婚も意識するだろうし。 俺は16歳の歳の差も考える……。

 三郷ちゃんは歳の差は関係ないと言っていたけど、それは【今は】関係ないかも知れない。

 この先、関係ないとは言い切れない時がやってくる。

 その時、俺は三郷ちゃんを守れるのかな。


 三郷ちゃんに想ってもらってるのはありがたい。

 三郷ちゃんの無邪気さや元気でポジティブなところに楽しさを感じたり、自然と朗らかになる自分は確かに存在する。

 けれど、それが恋愛に直結するスイッチではなかった。

 いい子だとは思うけど、三郷ちゃんの気持ちには答えられそうにない……。


「何か曽根さん、大人な男の人って感じでさらっと受け流されてる気がする。 私とちゃんと向き合って。 もっと知って欲しい。 私をちゃんと見て欲しい」


 16も下の女の子からストレート過ぎる依頼……。

 三郷ちゃんの本気さが伝わった。

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