幸せな毎日
窓川さんと付き合い出した事を木村さんに話した。
「そうなんだ! 思ったよりそうなるの早かったねー!」
「え? どういう意味!?」
「同期で飲み会したでしょ? あの時さ、『営業と親睦を図りたい人がいる』って言ったの覚えてる?」
「そんな事言ったっけ!?」
「あら? ご記憶にない? あれ、窓川さんなんだよね。 実はさ、窓川さんと話す事が何度かあってさ、その時にどうやら曽根くんの事をいいなと思ってるんだな……ってわかってさ、それで企画したの!」
「え!!」
「窓川さん、階も違うでしょ? 営業と接点もないから私が飲み会開くよって話したの。 窓川さんもそんなにガツガツいけるタイプじゃないから、じゃあ、私が幹事するわ、ってなったの。 それがきっかけになればいいな、と思って」
そうだっだんだ……。 全然知らなかった……。
週末、会った時に聞いてみた。
「木村さんにさ、付き合ってるのを話したんだけどさ、その時に、あの同期の飲み会は窓川さんがきっかけなんだよって言われたんだけど本当?」
「そうかな……。 今だから言えるけど。 私が曽根くんと話してみたかったんだよ」
「そうなんだ……」
「この間さ、大学の時付き合ってた人はいないの?って聞いたでしょ? あれはね、きっかけを作りたかったから聞いたんだよ。 もっと仲良くなるきっかけ。 まさかその後、付き合ってって言われるとは思ってなかったけど……。 私にとっては光栄だったんだよ。 たぶん、好きになったのは私が先だと思う」
「私のどこがよかったのか聞かせてもらってもいい? 先週会った後からちゃんと話してなかったから……」
好きな人から好かれてたって嬉しいかも。
だいたい、どちらからのアプローチで始まったりするでしょ……。
ベクトルがお互いだったんだ……。
「俺は、いつからだろう……? 何かもっと話したいなって思ってたけど、あんまり会わなかったから、会った時がチャンスと思って話してたかな。 何かね、話してても何か話さなきゃとか焦ったりしなくてよくて、そう思わなくてよかったのが心地よかったかな。 そんな雰囲気なとこや、でも一番はやっぱり優しいところかな……」
「……ちょっと待って……、これ、照れるよね……」
完璧に恥ずかしい。
2人で大笑いしてしまった。
「でもさ、私を選んでくれてありがとう。 今一番幸せかも知れない……。 曽根くんの隣に居れて嬉しいんだ。 まさか付き合えるなんて思ってなかったから」
こんなにも柔らかいオーラを放つ人、今まで会った事がなかった。
全てを包み込む様な優しさ。
この人を守らなきゃ、大切にしなきゃ……、そう思う他なかった。
窓川さんと付き合い始めて2年が経った。
今は、「窓川さん」「曽根くん」ではなく、「実咲」「司」に呼び名も変わった。
付き合った当初、周りには隠していたが結局早いうちに気付かれ、今は普通に社内恋愛をしている。
基本、休みは一緒だが、営業の俺は休日にも仕事になる事もあってゆっくり会う事ができない時もあった。
連休が取れれば旅行に行ったり、お互いが好きな遊園地へ行きジェットコースターを楽しんだり、他の人と変わらないデートをしていた。
どこかへ行った帰りに、
「実咲、今度はどこに行きたい?」
そう聞くのが定番になっていた。
実咲も即答する事が定番になっていて、すぐ答えられる様に常にどこに行きたいかをリサーチしているみたいだった。
友達や同僚の人に聞いたり、テレビで観たり、雑誌を買ってみたり、方法は様々。
いつも即答だった。
「次、京都行きたい!」
「京都? じゃあ、今度の連休は京都ね。 またどこ行くか計画しようかーー」
行き先がすぐに決まるので、その土地でどこに行って何をしたいのか、それだけを考えればいいからいつも早く決まるし、宿泊先もすぐ予約を入れれる。 社内カレンダーも既に決まっているので俺の仕事さえ入らなければ大きな変更はない。 と言っても大型連休の場合、他も休みのところがほとんどなので今まで予定を変更する事がなかった。
仕事以外は実咲と居る事がほとんどだった。
同じところに居て、同じ空気を吸う。
同じ物を見て感動したり楽しんだり。
同じ時間を過ごし、お互いを思いやり、愛おしく思う。
実咲が居て全てのモチベーションが変わった。
実咲と付き合えてよかった。




