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プレゼント

 買い物エリアに入るとさらに人はたくさんになった。


「何にしようかなぁ……」



 道行くおじさまたちに目を向け、付けているものを見てみる。


「お父さんはどんな仕事?」



「サラリーマン……だと思う……」



「そっかーー。 じゃあ、スーツだよね? スーツに合わせるものや仕事で使うものは?」



「その辺りで探してみようかな……」


 いろんなお店に入り、いろんなものを見て回った。

 ネクタイや名刺入れ、お財布……。

 これと決めきれず……。

 アンティーク調な店舗を見つけ、フラッと入ってみた。

 見ると値段もそれほど高くない。


「私、こういうの好きなんだよねーー」


 そう言って、店の中を回ってみていると店奥の角に腕時計コーナーがあった。


「あ! 腕時計! ……腕時計いいかも!」


 何種類か置いてある腕時計の中にはメンズ物もあった。


 腕時計を見ていたら店員さんが来て、今なら時計の裏に文字を入れてくれるサービスをしていると教えてくれた。


「妹さんの予算はいくらぐらいなの?」


 そう聞くと、


「5000円渡された! 妹、まだ小学生なの……」


 と教えてくれた。


 そんなに歳が離れてたんだーー。


「そっかーー。 そんなに歳、離れてたんだねーー!」



「そうなの」


 5000円じゃ腕時計買えないなぁ……と思って他を見ていたら窓川さんに、この中だとどれがいいか聞かれた。

 俺の好みのデザインの物を手に取って、窓川さんに渡すと、


「じゃあ、これにする!」


 と決めた。


「予算オーバーだけどいいの?」



「残りは私が出すからいいよ! 妹が父に渡す時に嬉しそうに渡してくれるといいな……」


 店員さんに手渡された用紙に裏に入れてもらう文字を記入した。


【From Misato】


 窓川さんは実咲(みさき)だ。


「窓川さんって【実咲】さんでしょ? 窓川さんの名前は入れないの?」



「あ、私はいいの。 妹が父に渡すプレゼントだから」


 そう言って、記入した用紙を店員さんに渡した。

 出来上がりに1週間くらいかかるので後日取りに来る事になった。



「任務終了ーー! 付き合ってくれてありがとう! どこかでお茶しよっか!」



 テラス席が空いていたカフェに入り、ゆっくりした時間を過ごす。

 妹からのお願いされたプレゼントを買うという役目を終えた窓川さんは開放感でいっぱいだった。


「何? 疲れたの?」



「まぁ、そんなとこかなーー? 曽根くんにも付き合ってもらってるのに今日決めないと悪いから……。 見つけてホッとした!」



「でも、窓川さん、優しいね。 妹の為にさ、お金も追加してあげて裏に自分の名前も入れないし……」



「あぁーー。 お金は私、社会人だしさ……それは大丈夫。 かわいい程度の追加だしさ。 妹には父といい時間を作って欲しいかな……」


 裏方に徹する窓川さんはかっこよかったし、妹思いの優しい人だ。

 けど、窓川さん自身はお父さんとはあんまり仲良くないのかな……?

 そう思ったけど、窓川さん本人もお父さんと妹の話を嫌そうに話す訳でもなかったしそれ以上は聞かなかった。


「今日はありがとうね。 曽根くんがいてくれてよかった!」



「俺、役に立った? ならいいけど……」


 俺は話を続けた。


「次の週末、プレゼント取りに来るんでしょ? 来週、今度はさ、俺に付き合ってよ!」



「何するの?」



「ストレス発散!」



「ストレス発散!? 私が一緒でストレス発散になる!? 大丈夫!?」



「大丈夫! 俺に付き合ってよ」


 来週も会う事に成功した。

 もっと一緒に居たいし、もっと知りたかった。

 目の前にいるその人の視線を全部自分に向けたかった。

 自分で確信した。

 窓川さんが好きだ。

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