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第91話 深鉱循環区

 巨大な金属扉の内部から響き始めた駆動音は、長く停止していた機構が無理やり目を覚ましているように重く、何度か途中で引っ掛かりながらも少しずつ大きくなっていった。


 扉の表面へ埋め込まれた円形の紋様に淡い光が走り、壁際を通っていた古い金属管からも同じ周期の魔力が流れ込んでくる。


 エイルはすぐには近づかず、《警戒圏》を広げたまま数歩だけ後ろへ下がった。


 反応そのものは強い。


 ただし、今のところ明確な敵意はない。


 《衝界》を床へ薄く流し、扉の向こう側へ続く構造だけを探る。


 金属。


 その奥に空洞。


 さらに左右へ複数の通路があり、中央にはかなり大きな空間が広がっている。


 生物反応はほとんど感じない。


 代わりに、一定周期で脈動する巨大な魔力源が1つある。


「これがずっと動いてたのか」


 扉の継ぎ目から古い埃が落ちる。


 次の瞬間、左右へ分かれた巨大な扉が数センチだけ動いた。


 そこからさらにゆっくり開いていく。


 金属が擦れる低い音が地下へ響き、完全に閉ざされていた向こう側から、長い間滞留していた冷たい空気が流れ出した。


 エイルは剣へ手を掛けたまま待つ。


 隙間が5メートルほどまで広がったところで、駆動音が止まった。


 完全開放ではない。


 それでも人が通るには十分だった。


 向こう側は暗い。


 壁に古い魔導灯らしいものが並んでいるが、大半は消えている。


 ところどころにだけ光が残り、その明滅に合わせて床へ細い影が伸びていた。


 エイルは一度だけ後ろを振り返る。


 ここから戻れば、第6層までは問題なく帰れる。


 それを確認してから、扉の向こうへ足を踏み入れた。


     ◇


 内部へ入って最初に気づいたのは、迷宮らしさがほとんどないことだった。


 床も壁も人工物。


 幅8メートルほどの通路は真っ直ぐ続き、天井には何本もの金属管が走っている。


 ただし、長期間迷宮内部へ埋もれていた影響は大きい。


 壁の継ぎ目から結晶が生え、床の一部は隆起し、ところどころに見覚えのある《脈晶鉄》まで露出している。


 人工施設の上へ、迷宮が後から食い込んでいる。


 以前見た深層施設と似ていた。


 完全に同じ構造ではない。


 それでも壁面へ刻まれている古い文字や、魔力を通す管の配置には共通点がある。


「やっぱり関係ありそうだな」


 通路の途中には、読める文字がいくつか残っていた。


《第3循環路》


《圧力安定槽》


《外部採掘区接続》


《生体流入禁止》


 最後の文字だけ、他より深く刻まれている。


 エイルは少し気になった。


 生体流入禁止。


 つまり、本来は生き物が入る前提ではなかった区画なのだろう。


 それにもかかわらず、この施設の上には巨大鉱晶獣を含む特殊な魔物が何種類も生息している。


 さらに進むと、通路の壁へ大きな窪みがあった。


 中には壊れた金属製の箱が並んでいる。


 1つだけ扉が開いており、中には人間の胴体ほどある筒状の部品が残っていた。


 魔力反応は弱い。


 触れてみると、内部へ細かい結晶粒が詰まっている。


「濾過器みたいなものか?」


 確証はない。


 持っていける大きさではあるが、用途不明の古代部品まで全部回収していれば荷物が増えすぎるため、位置だけ地図へ書き込んで先へ進む。


     ◇


 200メートルほど進んだところで、最初の異常が起きた。


 天井の魔導灯が一斉に点灯した。


 暗かった通路が白い光で満たされる。


 同時に、エイルの右側にある壁面へ古い文字が浮かんだ。


《循環率 31》


《圧力回復中》


《外部流路 不安定》


《第3深鉱循環区 再稼働》


「再稼働……」


 自分が扉を開けたからなのか。


 それとも、迷宮内部で何かが変化した結果、たまたま同じ時期に起動したのか。


 判断はできない。


 ただ、地上の迷宮で発生していた変化と無関係ではなさそうだった。


 地殻変動。


 第7層の新通路。


 崩落。


 異常に成長した鉱物。


 そして、ここへ流れ込んでいる大量の魔力。


 すべてが1つの原因から起きている可能性がある。


 エイルは表示された古い文字を地図の余白へ書き写した。


 その直後だった。


 《警戒圏》が反応する。


 前方。


 距離はおよそ150メートル。


 今まで感じなかった生物反応が、突然現れた。


「どこから出た?」


 床下ではない。


 壁の奥。


 しかも1つではない。


 3つ。


 さらにもう1つ増える。


 《衝界》を壁へ流す。


 内部に細い空間があり、そこを何かが高速で移動している。


 通路の両側に同じ構造がある。


 つまり、施設内部に生物用ではない別の移動経路が存在している。


 エイルは長剣を抜いた。


 数秒後、前方の壁が音もなく開いた。


     ◇


 出てきたものは、普通の魔物とはかなり違っていた。


 高さは2メートルほど。


 全身が黒い金属に近い外殻で覆われ、胴体は人型に近いものの、首がない。頭部に当たる位置には扁平な楕円形の装甲板があり、その中央に青白い光を放つ細い線が1本だけ走っている。


 腕は左右に2本。


 脚も2本。


 ただし関節の構造が人間とは違い、肘も膝も逆方向へ曲げられるようになっていた。


 手の先には指が3本ずつあり、そのうち2本は物を掴む形、残る1本だけが細長い刃になっている。


 背中には細い筒状器官が4本並び、内部で魔力が循環していた。


 生物なのか、人工物なのか。


 《魔力感知》だけでは判断しにくい。


 内部には魔力器官らしいものがある。


 しかし血流に相当する反応がない。


「……人形?」


 そう考えた直後、4体が同時に動いた。


 速い。


 壁際から中央へ入り、そのまま左右へ散る。


 先頭の1体が腕を振るうと、指先の刃が途中から伸び、1メートル以上の細い剣状になった。


 エイルは半歩ずらして避ける。


 続いて2体目。


 こちらは背中の筒から魔力を噴射し、一気に距離を詰めてきた。


 普通の身体強化ではない。


 機構による加速。


 エイルは長剣で相手の刃を受ける。


 金属音。


 予想以上に重い。


 そのまま力を受け止めず、《衝界》で刀身へ入った衝撃を横へ逃がしながら身体を回す。


 相手の刃が滑る。


 体勢が崩れたところへ胴体を斬った。


 刃が表面へ食い込む。


 硬い。


 ただし巨大鉱晶獣の結晶よりは薄い。


 エイルはそのまま《衝界》を内部へ通した。


 いつもの生物相手なら臓器や骨へ力を流す。


 しかし今回は内部構造そのものが違う。


 複数の金属部品。


 細い魔力路。


 胴体中央へ球状の核らしいもの。


 そこへ力を寄せる。


 衝撃が入った。


 人型が数歩後退する。


 それでも止まらない。


「硬いだけじゃないな」


 核周辺へ複数の衝撃吸収層が組まれている。


 人工的に作られているなら、戦闘を想定した構造だ。


 残り3体が同時に攻める。


 左右。


 背後。


 さらに正面。


 《警戒圏》には4方向の攻撃がほぼ同時に浮かんでいた。


 エイルは後退しない。


 右から来る1体へ《衝界》を遠隔で飛ばし、脚関節だけを狙って内部へ通す。


 関節が僅かにずれた。


 その瞬間に進路が崩れる。


 左の1体には床を経由。


 足元へ狭く衝撃を起こし、踏み込みの直前だけ軸をずらす。


 正面は剣。


 最後に背後。


 そちらだけ直接振り向いた。


 相手の刃が届く直前、《高密度強化》を腕へ集中させて長剣を振り抜く。


 金属刃同士がぶつかった。


 今度は受け流さない。


 真正面から押し返す。


 人型の腕が大きく跳ね上がる。


 エイルは空いた胴体へ踏み込み、同じ場所を2度斬った。


 外殻へ亀裂が入る。


 そこから《衝界》。


 内部の核へ直接。


 重い音はほとんどしなかった。


 代わりに胴体中央の魔力反応が途切れ、人型はその場で膝から崩れた。


【《衝界 Lv.7 → Lv.8》】


 1体。


 残り3体。


 構造が分かれば早い。


     ◇


 2体目は右脚の関節を先に破壊した。


 3体目は背中の加速器官へ《衝界》を通し、魔力循環を乱したところへ胴体を斬る。


 4体目だけは少し違った。


 仲間が3体倒れた直後、戦い方を変えた。


 無理に近づかず、壁際へ下がる。


 背中の4本の筒が同時に開いた。


 《警戒圏》が強く反応する。


「射撃もあるのか」


 青白い光が4本、ほぼ同時に飛ぶ。


 直線ではない。


 途中で方向を変える。


 壁面へ反射するように角度を変えながら、左右からエイルを挟み込む。


 ただし《衝界》を覚えた今なら、魔力の伝わり方そのものが以前より分かる。


 4本すべてを避けようとはしない。


 2本だけ軌道を外し、残る2本は長剣で受けた。


 刀身へ衝撃が乗る。


 その力を《衝界》で剣先へ寄せ、ほとんどそのまま前方へ返す。


 飛ばした衝撃が人型の胸部へ当たった。


 外殻が大きく凹む。


 エイルは少し目を見開く。


「これ、相手の力も流せるのか」


 完全にそのまま返したわけではない。


 受けた力へ自分の魔力を混ぜ、経路を作り直している。


 それでも以前の《衝撃》では難しかった使い方だ。


 人型が再射撃へ入る前に距離を詰める。


 壁を一度蹴り、《衝界》で反動を後方へ逃がしながら加速。


 正面へ到達した。


 長剣を振る。


 相手も腕の刃を出す。


 今度は互いに真正面。


 エイルの剣が先に入った。


 肩口から斜めへ外殻を断ち、その傷へ細く《衝界》を通す。


 核。


 そこでだけ広げる。


 4体目も停止した。


【《剣術 Lv.46 → Lv.47》】


【《衝界 Lv.8 → Lv.10》】


【《魔力操作 Lv.59 → Lv.61》】


 エイルは倒れた人型を見下ろした。


 強い。


 少なくとも第6層で戦った多くの魔物より、戦い方がずっと複雑だった。


 しかも4体とも完全に同じ動きをしていたわけではない。


 こちらの対応を見て、最後の1体は戦法まで変えた。


「守備用なのか?」


 施設が再稼働したことで出てきたなら、その可能性は高い。


     ◇


 倒れた人型を調べる。


 外殻は未知の合金。


 軽くはないが、見た目ほど重くない。


 内部には筋肉の代わりに細い金属束が何百本も通り、その1本1本へ魔力が流れている。


 特に興味深いのは関節だった。


 高速移動と急停止を繰り返していたにもかかわらず、接続部分へ目立つ摩耗がほとんどない。


 さらに背中の加速器官から伝わる負荷を、複数の小さな部品へ分散して逃がす構造になっている。


「これ、靴とか装甲に使えそうだな」


 装備更新を考え始めてから、本当に何を見ても素材に見える。


 自分でも少し笑った。


 ただし全部を解体している時間はないため、壊れた1体から関節部品を2つ、背中の加速器官を1本だけ回収する。


 金属束も少量。


 ドルガンやグレイグなら、何に使えるか判断できるだろう。


 素材を袋へ入れ終えたところで、通路の先から再び音がした。


 今度は人型ではない。


 施設全体へ響く低い振動。


 壁面の文字が更新される。


《循環率 38》


《圧力回復中》


《第2安定槽 接続失敗》


《流入量超過》


《自動保全機構 段階2》


「流入量超過……」


 迷宮の魔力がこの施設へ入りすぎているのか。


 あるいは逆に、施設が迷宮から吸い上げすぎているのか。


 どちらにしても、正常ではない。


 さらに下へ進む。


     ◇


 次の区画では、施設の損傷が一気に酷くなっていた。


 床は何ヶ所も割れ、壁の一部が迷宮結晶に押し出されている。


 金属管も半分以上が露出し、その隙間から濃い魔力が漏れていた。


 《魔力感知》へ入る情報量が増えすぎる。


 エイルは範囲を少し絞った。


 漏れている魔力そのものは危険ではない。


 ただし、この状態が続けば施設が壊れる可能性はある。


 中央通路を進む途中、床へ大きな亀裂があった。


 その下。


 かなり深い位置に、生物反応がある。


 1体。


 大きい。


 しかも動いている。


 施設内部の生物ではない。


 迷宮側から入り込んだ魔物らしい。


「ここまで来てるのか」


 さらに2体。


 その向こうにも3体。


 深層側の魔物が、施設の損傷箇所から流れ込んでいる。


 人型守備機構が起動した理由もそれかもしれない。


 エイルが亀裂を覗き込んだ瞬間、下から何かが跳ね上がった。


 反応は分かっていた。


 すぐ横へ避ける。


 床を突き破って姿を現したのは、全長8メートルほどの細長い獣だった。


 身体は6脚。


 前脚2本だけが異常に長く、先端には三日月形の刃状骨がある。


 頭部は蛇に近いものの、顎は縦方向へ4つに割れ、その中央から細い舌ではなく黒い針状器官が伸びていた。


 背中には迷宮結晶が直接生えている。


 結晶は規則的ではなく、皮膚を突き破って無数に伸びており、動くたび肉との境目から血のような液体が滲んでいた。


 自然な成長には見えない。


 施設周辺の魔力に長期間晒された結果、身体そのものが変質しているようだった。


 魔物は着地と同時に前脚を振るう。


 刃状骨が床を削りながら横へ走る。


 エイルは一度跳び、空中で《衝界》を使って方向を変えた。


 そのまま相手の背中へ降りる。


 結晶の隙間へ長剣を入れた。


 《衝界》を細く通す。


 しかし内部へ入った力が、予想外の方向へ逃げた。


「……中まで結晶か」


 筋肉の間にも細かな鉱晶が入り込み、魔力路と一体化している。


 巨大鉱晶獣ほど完全ではない。


 それでも普通の生物とは構造が大きく違う。


 魔物が背中を震わせる。


 エイルはすぐ離れた。


 直後、背中の結晶が一斉に破裂し、周囲へ細い欠片を撒き散らす。


 壁。


 床。


 天井。


 無数の結晶片が突き刺さった。


 エイルのコートにも2本が掠め、新しく補修したばかりの布地へまた傷が増える。


「本当に長持ちしないな」


 今回ばかりは自分だけのせいでもない。


 魔物が再び襲う。


 エイルは正面から相手を見る。


 内部へ結晶が増えているなら、それを避けて攻撃する必要はない。


 むしろ逆。


 結晶そのものを経路に使える。


 魔物が踏み込む。


 エイルは刃状骨をかわし、胸部へ剣を突き入れた。


 《衝界》。


 身体中に散らばる結晶へ力を流す。


 広げる。


 ただし全身へ均等にはしない。


 頭部。


 胸。


 脚の付け根。


 内部にある大きな魔力器官へだけ収束する。


 同時に4ヶ所。


 低い音が重なった。


 魔物が前へ崩れる。


 そこへもう1度。


 今度は中心だけ。


 完全に動かなくなった。


【《衝界 Lv.10 → Lv.12》】


【《振動感知 Lv.52 → Lv.53》】


 強い。


 しかし今のエイルなら、それだけで止まる相手ではない。


 むしろ新しい構造を見るほど、《衝界》の使い方が増えていく。


     ◇


 その後も、施設へ侵入した魔物が4体現れた。


 最初の1体と同種が2体。


 残りは別種。


 胴体が岩塊のように厚い4脚種と、天井へ張り付く結晶皮膜の大型虫だった。


 いずれも施設周辺の魔力を長期間取り込んだらしく、普通の魔物より身体内部へ鉱晶が多い。


 エイルは戦うたび、それを障害ではなく経路として使う方法を覚えていった。


 敵の硬い部分を無理に壊さない。


 そこへ力を通す。


 内部構造に沿って流し、必要な場所だけ選ぶ。


 《衝界》のLvが上がるほど、その制御も速くなる。


【Lv.89 → Lv.92】


【《衝界 Lv.12 → Lv.16》】


【《魔力操作 Lv.61 → Lv.63》】


【《警戒圏 Lv.24 → Lv.26》】


【《振動感知 Lv.53 → Lv.55》】


 数日前まで《衝撃》だった技能が、すでにLv.16まで上がっている。


 自分でも早すぎるとは思う。


 それでも《越境》Lv.6になってからは、驚くこと自体が少しずつ減っていた。


     ◇


 施設の最奥へ近づくにつれて、脈動はさらに強くなった。


 やがて通路の先が開ける。


 そこには円形の巨大空間があった。


 直径は80メートルほど。


 中央には深さの分からない縦穴があり、その周囲へ6本の巨大な柱が等間隔で立っている。


 柱の内部では、地下から汲み上げられたような濃い魔力が上方向へ流れていた。


 そのうち2本は壊れている。


 1本は途中から迷宮結晶に覆われ、正常に機能していない。


 残る3本だけが、何とか動き続けている。


 壁面に文字が浮かぶ。


《深鉱循環炉 稼働率41》


《外部圧力 上昇》


《第1・第2・第5経路 閉塞》


《代替流路 形成中》


《生体侵食率 17》


 最後の1行で、エイルは目を細めた。


「生体侵食……」


 施設へ魔物が入り込んでいるという意味なのか。


 それとも、もっと別の何かか。


 次の表示が現れる。


《上層迷宮核との接続を確認》


「迷宮核?」


 それは重要な言葉だった。


 グラウゼン旧鉱山が迷宮化したのは約60年前。


 つまり、この古代施設は迷宮が生まれるよりずっと前から存在している。


 にもかかわらず現在は、その迷宮核と接続されている。


 偶然繋がったのか。


 施設側が取り込んだのか。


 あるいは迷宮核の方が、この施設へ引かれて生まれたのか。


 考えられる可能性はいくつもある。


 エイルが中央の縦穴へ近づいた。


 《警戒圏》が、強く反応した。


 今までとは違う。


 危険は下。


 距離が分からない。


 深すぎる。


 《振動感知》を流しても、途中から情報が乱れる。


 ただ1つだけ分かった。


 何かが上がってくる。


 かなり大きい。


「まだいるのか」


 縦穴の内部から、重い音が響く。


 1度。


 2度。


 壁面の表示が急激に変化する。


《外部圧力 急上昇》


《生体侵食率 22》


《27》


《35》


 数字が止まらない。


 エイルは長剣を抜いた。


 中央の縦穴から、巨大な何かが壁面を掴む音が近づいてくる。


 そして次の瞬間。


 施設全体が大きく揺れた。


 エイルの《警戒圏》へ、これまでこの迷宮内で感じたどの魔物よりも強い危険が流れ込んだ。


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