第六話 兄妹
「リーフィリア、おいで」
兄様に抱きつくと、私を抱き上げてくれた。
コツコツと兄様が歩く音と耳元で兄様の心臓の音が静かに響く。心地良い。
「兄様…」
「なあに?」
「兄様も正式な社交界デビューはまだだというのに、兄様は味方を増やしていた。それがその、私にはできないレベルで、繋がりで、わたし、」
「うん」
兄様の声が優しい。あの日冷たかったのがウソみたい。いや、言葉の抑揚も目線も私の感じ方の問題で、始めから優しい兄様のままだったのかも。
「兄様のこと凄いと思う。私、力ある人に支持してもらえるような人間じゃないもん」
「それはボクを買い被りすぎ。
リーフィリアだって家庭教師を自分で選んで、魔法の勉強を頑張ってるでしょ」
「でも、それだけ。その魔法だって上手くいかないし」
「前に進もうとする気持ちが少なくとも君にはある」
兄様が私をベットに降ろす。
いつの間にか私の部屋に着いたみたいだ。
「その真っ直ぐさが兄としては嬉しい。
愚直だっていい。一歩ずつ歩んでほしい」
兄様が私の額に手を乗せる。
温かい。フワフワする。
「ボクはこのままでは何時までも君を守れない。
ホントはミルフィリアの分も君を守ってあげたいのに」
何を言ってるの?
瞼が重くなっていく。
まだ、兄様とお話したいの、に。
「君を守り続ける方法は一つ」
ーーーーーーー君の歩みを止めることだけだ。
聞こえない。分からない。
だけど、そんな悲しい顔、しないでよ。
兄様…………
夢を見た。
これは兄様が黒幕のルートのゲーム画面だ。
『グレイス兄様!リーフィリア姉様を解放してあげて!!』
ヒロインのミルフィリアがグレイスを倒した後のエンディング。
グレイスはボロボロの教祖服でリーフィリアを包みこんで離そうとしない。
リーフィリアも魔力を縛る首輪が取れたはずなのに抵抗しなかった。
『無理だよ。強い君とは違う。リーフィリアはボクがいないと生きられない』
ヒロインがリーフィリアの好感度を回収していなければ辿り着くエンド。好感度が無いからリーフィリアはヒロインの呼びかけに応えない。
リーフィリアはただ一心不乱にグレイスを呼び続ける。
『兄様、兄様、』
『うん、ボクは此処にいるよ』
『ごめんなさ、私、弱くて』
『大丈夫。いつもボクが側に。
死が二人を分かつとも、必ず』
グレイスはリーフィリアごと剣で自分を突き刺す。
二人は血を流しながら倒れていく。
『いやぁぁぁぁ!!兄様!姉様!一人にしないでぇぇ!!!』
ヒロインの悲鳴のみがこだまする。
バッドエンド「死が二人を分かつとも」。
エンディング回収に成功しました。
コンテニューしますか?
→はい
コンテニューを開始します…………




