第三話 魔法の才能?そんなの無いぜ!
仲間。仲間を作るにしても誰にするか結構重要だ。
推しのエクアドル先生は論外である。戦力としては申し分ないがマジサイコパス。あれは画面越しに見るからいいのだ。
『これはキャラストーリーの話なんだけどね、エクアドル先生にはライバルがいたの。エルフのシズイさん』
悪友の言葉が蘇る。私、この言葉でストーリーレベル上げて、分岐も調べて選んでキャラスト見たんだよな。
確かエクアドル先生がどれだけ努力を重ねても勝てない天才。この人に勝つためにエクアドル先生はどんどんダークサイドに落ちちゃったんだっけ。
「エルフねー。場所わかんないし、ワンチャン家庭教師として呼び出すか」
確かお金に困ってた描写あったし。
「誰をだ?」
「お、ケトルくんや、よく来たねぇ」
「いや、警備だから常駐してるし、俺と話す時のその謎キャラなんなんだよ」
茶髪の野生味あるこのオジサンは警備のケトル。
下級貴族出身らしい。
私の味方第一号だ。
話しやすいし、他の人は業務外のことを喋ってくれないので身内以外で唯一話す人だ。
「魔法使いのシズイさんに会いたいの。氷の魔法の勉強も行き詰まってきたし、そろそろ家庭教師欲しいなって思って」
「げ、シズイの野郎を?」
お、その反応は知り合いか。
なら話は早いかも。
「知ってる?手紙送りたいの」
「それは魔導総管理局に送ればいけるだろ。
しかし、あいつねぇ。金に困ってるから受けるだろうが…」
「だろうが?」
「相当のドジだぞ」
お?性格に難があるとかではなく?
「真っ直ぐなのはいいんだが、あのドジっ子気質はなかなかに凄いぞ。何もない所で転ぶのは勿論だが、それで靴が吹っ飛んで頭に当たった後、写真立てにぶつかってそれも頭に直撃する3段活用は見事なものだった」
見事か?不運すぎるんだが。
「何度巻き添えを食らったことか…」
「良い仲だったんだね…?」
「小遣い稼ぎの冒険者業務でペアになっただけだ。ま、エルフのくせにハーフエルフの俺を見下さなかったところは有り難かったが」
…エルフって純血主義だったけ?
ゲームに書かれてない設定か。後で調べておこうかな。
「で、嬢ちゃんは何で俺を呼んだんだ?
シズイのことだけって訳じゃないよな」
「あー、魔法で行き詰まっててね。
"吹雪の理"って魔法を練習してるんだけど上手くいかないの」
「雪を大量発生させて撹乱させるやつか」
そう。せめて視界さえ潰せば勝率上がったり逃げたりできると思ってる。セコい?セコくないと死ぬ自信しかないわ。
魔力をケトルの前で練る。
淡い光が手に集まる。
「"吹雪のーー"」
パラ。
情けない音とともに力が霧散する。
失敗だ。
「うん。前提として嬢ちゃんは魔力の練り方が絶望的に悪いがーーー」
うへ?!練り方悪いの?!そしてまだダメ出しある?!?
「そもそもどんなイメージで練ってるんだ?」
「そこら中から雪が発生して四方八方へ飛び散る的な?」
「なるほど。雪の発生源を一つずつ作ろうとしてるから滅茶苦茶効率悪いんだな。だから手に集まった魔力も低かった。たぶん雪の発生源は外に設定してるのに、基礎の『手の中で魔力を練りましょう』を忠実に行ってるせいで効率も悪いし、イメージとの乖離が起こって失敗してる」
oh…なんか耳から耳へ通り抜けそう…。
魔法、思ったりフワフワじゃないな。
難しすぎるわ。
ケトルはマジすごいね。
剣士なのに魔法の解説出来るとか偉すぎるわ。
「うーん、つまりどうすればいいの?」
「雪玉を全部手から発生させて飛ばしゃあいい。
そしたら魔力源を一つにできる。
…その顔、分かってないな?」
「うぐっ!原理は分かんないけど、やり方は分かったから!!魔力を手に集中させて、…"吹雪の理"!」
手がさっきよりも強い光を放つ。
風の渦がゆっくりと回転し、手から溢れる雪を散らせていく。
…大分、雪の散り方がトロイが、ちゃんと発動した。
「成功した!初めて!やったぁ!!」
「成功…?まあ、よくやったな。
後は風の渦を速めて、雪の生成も速くすれば完ぺきだな」
「うっ!まだ課題がたくさん…」
「2個しかないぞ。どっちも速くすればいいから実質1個だから」
おう…。初級魔法でこれか。
私、魔法向いてないのでは?
「どうしよ。私、家庭教師を貰うレベル足りてないよね?」
「あー、俺には上流の子がどのタイミングで家庭教師つけるのか知らんが、嬢ちゃんは変な癖つく前に呼んだ方がいいと思うぞ」
さらっとディスられてる?
ま、家庭教師を呼べるならば良し!




