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い〜や〜

「この区画は原則女の子しか入れないの〜。だから男の人を連れてくる場合はDカードで申請しないといけません」

木を生やしていたアールヴのお兄さんにえーちゃんが声を掛けた。

「申請なしに男の人が入ろうとするとこんな感じで見えない壁に阻まれます〜」

アールヴのお兄さんは門扉の前で軽く拳を突き出した。

コンコン。

何もない空間から、まるでガラスを叩いたような乾いた音が返ってくる。

さらにパントマイムのように両手で空気を押したり叩いたりしてみせると、本当にそこに透明な壁が存在することが一目で分かった。

えーちゃんに感謝されるとお兄さんは、ひらひらと手だけ振って足早に去っていった。

「でも、宅配や郵便とかは企業が自動的に事前申請するので、特に問題はないよ〜。お友達を呼ぶ時だけDカードで申請します〜」

まだDカードを持ってない勢 (私と櫛田さん)は、えーちゃんの画面を覗き込む。

やり方は結構簡単そうで、行政に申請するためのアプリの項目のうち、まず「アース区画」を押す。

私たちの区画は初めから「アース区画」という名称が付いていたらしい。

興味深い。

「みんなが住んでいる区画は、まだ人が住み始めたばかりだから項目が少ないの〜。でも、街が発展していくと、このアプリもその都度更新されるから、毎日軽く確認する癖をつけてね〜」

そう真面目な顔で説明しながらも、しれーっと櫛田さんの頭を撫で続けるえーちゃん。

「んじゃ、それぞれ分かれて家に入ろうか」

ジャンヌさんが提案したので、テント割り通りに一旦分かれる。

自衛隊4人とその他3人。

「なんかつまんなくない?」

細川さんが渋い顔を浮かべる。

「うち、家にいる時ぐらいは自衛隊のことは考えたくないんだけど」

文句を聞いて苦笑するほかの自衛官たち。

「じゃあ籤をしましょう〜」

ニコニコと見守っていたえーちゃんが楽しそうに提案すると、枝で地面に阿弥陀籤を引きはじめた。

ものの数秒で七本の線が引かれ、あっという間に阿弥陀籤が完成する。

……妙に手慣れているが、いちいち突っ込むのはやめよう。

落葉で線を隠し、ジャーンとドヤ顔で披露するえーちゃん。

ウッキウキで細川さんが一番初めに選ぶと、みんなも各自線を選ぶ。

私は一番右のものを選んだ。

結果として、私、櫛田さん、細川さんが一緒に住むことになった。

外務省の梶原さんは、律儀に3人の自衛官に頭を下げている。

「よろしくね!ウチのことは舞衣って呼んで!」

細川さんが嬉しそうに言う。

「じゃあ、私はハルで!」

「私はユイで!」

「私はえーちゃんで!」

自分も当然このグループの一員ですけど、みたいな顔で入り込もうとするえーちゃん。

「姉貴はあのグループの引率を」

「い〜や〜、ハルちゃんと住むの!ハルちゃん〜!」

ハルちゃんが私の背後に隠れて引きずられていくえーちゃんをそーっと見送りながら小さく手を振っていた。

「またねー」

「大変やね、ハルは」

にししと笑う舞衣。

えーちゃんを無事送り届けたジャンヌさんが数分後、汗を拭きながら帰ってきた。

「見苦しいところを見せた。いつもはもっと自重しているのだが、今日は少々浮かれているのかも知れない」

ジャンヌさんが軽く謝罪する。

「今度こそ、家に入ろう」

そう言って、ジャンヌさんが門扉をくぐった。


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