上へ。上へ参ります。
「ここが街中ですね」
ツヴァイに案内された私たちは、街に入る前に城壁で手荷物検査と仮入場手続きをし、街に通された。
ヨーロッパの家屋みたいに石や煉瓦造りの家が道路に沿って連なり、鋭角な屋根は降雪した山脈のようだった。
ただ、雪の量は先ほどいた平原より大分少ない。恐らく、この街を覆うように腕を広げたこの巨木のおかげだろう。
この巨木は聖樹カルタスと呼ばれているらしいが、葉がついていないことから落葉樹みたいだ。
別に植物学者じゃないが、ふと見上げたときにそう思った。
植物学者兼生物学者の須加さんにそういうと
「うん?あぁ、そうっぽいね。どうやったらこの大きさになって生きていけるのかはぜひ調べたいね」
と、不思議そうに言ってはいた。
私も早くここの未知の物質を調べたい。
「先に、皆さんの滞在場所に案内しますね」
ツヴァイがそういうと、空から巨大なゴンドラ状の乗り物が愉快な鈴の音を鳴らしながら降りてきた。
みんなが、カメラやらスマホやらで録画しながら感嘆の声をあげた。
未知の交通手段だもの、しかも空飛ぶ車みたいにうるさくもないし、空を滑るような優雅さがあった。
「これはナフスという言わば空飛ぶタクシーみたいな感じです」
竹本隊長が生き生きとした笑顔で説明した。この笑顔を見ると、彼はここが好きなのだろう。
「タクシー?が何かかはわかりませんが、地上でこの鈴の音が聞こえたら必ず上空を確認してください。皆さんを押しつぶすことは絶対にないですが、降下地点を離れば利用する乗客が素早く乗り降り出来るのでよろしくお願いします」
ツヴァイが説明する間にも降下したナフスの透明な天蓋がプシュッと空気が抜ける音とともにゆっくり開いた。
ツヴァイに急かされて乗る直前に動力源を探したが、どういうわけかまったく見当たらない。
ナフスの内装は映画とかで見る高級外車みたいな雰囲気で、他の人が乗って動き回ってもどういうわけか全く揺れない。
現実の船や車、飛行機でも大人数が乗ったり動き回ったりすると揺れるのに、微動だにしない。
これが魔法とやらによる技術なのか?
以前までは科学者として魔法などは鼻で笑い飛ばしていたが、今このナフスだけでも現代科学では説明できない点が多々ある。
何せ、父さん曰く、“魔素”なる物質が存在するらしい。
この“魔素”によって魔法やらが使えると証明されたら、一概に魔法を馬鹿にできなくなる。
なぜなら、魔法が“魔素という物質によって起きる現象”という科学的な説明ができてしまうからだ。
まぁ、この魔素とやらを研究するのが今回の私の目的だ。
魔法を科学化してみせる。




