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車内取材ってこんな感じ?

今回の門番はアレクセイではなく若い垂れ耳のヴァルスリッド、ノアという好青年が担当していた。

「街中には武器の一才持ち込みは出来ませんのでこちらが預かっても?」

「迷宮に潜る予定なのだが」

さっきの魔素酔いの話から潜れるかは分からなかったが、竹本はとりあえず訊いてみた。

「あ!それは大丈夫ですよ。この保管庫は迷宮入場ゲートにある保管庫とも繋がっているので」

ノアが人の良さそうな笑みを浮かべながら答える。

心配そうな顔を浮かべる城島3曹に軽く事情を説明すると、

「仕方ないですね」

彼がそう言うと、武器一式をトレイに置き始めた。それを見ていた他の隊員たちも武器を置き始めた。

「トレイをこちらの箱に入れると保管庫に収納されます。収納しましたら、今回はDカードをお持ちでない人もいるのでそこの係員から符牒を受け取ってください」

竹本達は係員から、複雑な紋様が刻み込まれた鉛筆のような細長い棒を受け取った。

「その符牒は無くさない様にお願いします」

隊員がみんな武器を預け終え、符牒を受け取ると街中に通された。

そこには、先に武器を持たない学者や教授たちが、目を輝かせながら写真やメモを取って待っていた。

「この雨は聖樹の枝に積もった雪が溶けて起きているのにゃ。」

ミーシャの説明に、大の大人が「へー」や「ホー」と感嘆の声を挙げている。

自衛隊員たちが全員出て来たのを確認したツヴァイがDカードで何やら打ち込むと、2台の大型ナフスが遠くから飛んできた。

「本日は市長の意向で、直接聖樹の方に来ていただくことになります。まず、お話がしたいとのことです。」

前回同様、ナフスは愉快な鈴の音を掻き鳴らしながら降りて来た。

既に乗ったことがある竹本が率先して乗り込むと、それに釣られ一同がゾロゾロと後に続く。

ナフスが宙に浮き移動を始める中、帝都大学の佐々木教授だったか?がツヴァイに話しかけた。

「今日は不思議な天気ですね」

「えぇ、冬から春に移る時に起きる天気で、私達は“雪代雨”と呼んでいます。晴れているのに雨なので屋内で過ごす人が大半だと思います」

「休みの日には何をするのですか?」

「うーん、それは人によると思います。私の場合は、家で本を読んだり、広場で運動したり、買い物に行ったり、色々していますよ」

まぁ、普通だな。竹本は話に耳を傾けながら外の風景を楽しんだ。

「休日は人が多くなって混雑したりしないのですか?」

「混雑?あぁ、こちらは人によって休日が違うのですよ。二日働いて一日か二日休んでまた二日働いて一日か二日休む。1週間の七日ある内、労働日は四日、休みは三日って決まっていて、休日や仕事日もずらすことで極端な混雑とかは基本起きないのですよ」

「へー、羨ましい仕事環境ですね」

佐々木教授が羨ましそうに声を上げていたが、竹本も正直その制度が良いなと思ってしまった。

「出勤、退勤の日時も分けられているので、極端な混雑は祝日以外ほぼ見ないですね」

「それって、政府に行動を縛られているってことですか?」

今度は、洛中大学の教授が話に乗り込んだ。

「うーん、そういう感じではないですね。会社が個人と相談した上でシフトを割り当てて、勤務時間以外は基本自由なので特段縛られているという感じはないですよ。昔、決められた日時に出勤、退勤をしていたようなのですが、極端な混雑が起きていたのでそれを解消するための措置でこんな感じになって、暮らしやすくなったので継続した感じです」

フムフムと洛中大学の教授がメモする。

「夜遅くは高くなるとか、時間によって給料が変化することは?」

佐々木教授がまた参戦してきた。

「えっと、給料は時間によって変化しないです。成人になれば、勤労の義務があって各個人で職業が選べます。そして、職業に関わらず基本給という一定額が政府から毎月貰えます。これは、言わば生活費でして、税金もかからない上に生活以外のものには使えないようになっています」

ツヴァイは腰から下げていた水筒を手に取り、口をつけて一拍おいて説明を続けた

「そして各職種には追加報酬が設けられていて、その上限額は全て一緒。職業ごとの成果・負荷・責任・公共貢献度などに応じて政府と会社が算定しているんです。この追加報酬が課税対象なのですが、高額納税者は有料施設やサービスの無償化などの特典があるので、人一倍働ければ税金を除いても給料は高くなるし、得するので頑張ろうっていう気持ちなります」

ツヴァイの説明を聞いていた二人の教授は揃って考え込んでいた。

「うーん、なんか共産主義っぽいけど、資本主義的でもあるなぁ」

「ですね。不思議な感じですが、これで上手くいっているのでしょうね」

「まぁ、政府の受け売りですが、一番は暮らして貰うのが分かりやすいと思いますよ」

ツヴァイの言葉を咀嚼しようとした二人の教授が黙り込む。

この大型ナフスには20名近くが乗っているはずなのに、天蓋にあたる雨粒の音がやけに大きく響く。

竹本からしたら聞いた感じ、なんだか暮らしやすそうな場所だなと素直に思ったが、教授たちは何か違うものを感じたのだろう。

「あ、もうすぐ着きますよ」

ツヴァイが外を指すと、いつの間にか聖樹のすぐそばまで近付いていた。

ナフスは聖樹の枝の一部にできたランディングパッドのような広めの空間にフワリと降り立った。

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