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31:拾得

 「慌しいな」


 「特に商人があんなに慌てて」


 「商人が顔に出して慌てるなんて余程だぞ」


 「私は宿を取るついでに食事所で探りを入れます。皆さんはギルド何か情報を掴んで下さい」


 「俺は酒場だな」


 「なら、俺とリービアは冒険者ギルドだな」


 「メビスタ、飲み過ぎるんじゃないわよ」


 「お前は俺のかみさんかよ」


 バルセルド共和国の4つある港のうちの1つ、オリビアーノ湾である。8大商人が1人、オリビアーノ・カッパーノから名前が取られ、港町の名も彼の功績を称え、オリビアーノと呼ばれ慕われている。今、その町で一騒ぎ起ころうとしていた。


 事の発端は、1人の少年が冒険者ギルドへ、落し物を届けにきたというものだった。


 受付をしていたギルドの職員は、自警団の事務所へ案内しようかと考えたが、落し物探しの依頼と精査する為に、一度確認する事にした。


 「ご協力、有難うございます。物はどういったものでしょうか?」


 女性はハンカチや衣類を想像し、過去に出された拾得物関係の書類を探そうとしたところに、少年からおもいもしない返答来た。


 「あ~、物が多いし、口だと上手く伝えられない。広い場所に出したいのだけれども」


 女性は一瞬疑問を抱いた。物が多い? 目の前の少年は身軽で手ぶらである。まぁ、外に台車にでも置いてあるのだろうか、そんな大量の落し物など存在するのだろうか? 疑問を抱きながらも、彼に話を合わせた方が話が速いと思い、訓練場へと案内する事にした。


 「ここに出していいか?」と尋ねられ、「いいわ」と答え、依頼書に目を移した。「出したぞ」という少年の言葉に反射的に顔を上げた女性の目に映ったのは煌びやかに輝く金銀の硬貨や、滑らかな色合いの焼物。魔物の毛皮に際しては、この辺りには生息していない貴重な物である事は一目で分かる物だった。極め付けは、有名な大商人の家紋の蝋のついた契約書の束がゴロゴロと転がった。


 「こ、これは、どうやって!! いえ、どちらに……?」

 

 基本冒険者の能力は企業秘密な部分があるので、取調べ以外ではマナー違反にあたるが、受付経験の長い彼女でさえ取り乱してしまう程の衝撃であった。

 

 「えーっと、レベリスト山脈なんだけど、この街を背に右側だね。そこに洞窟があってさ」


 「山脈を渡ってきたのですか!? しょっしょしょお待ちいただいても宜しいですか! 今担当の者をお呼びしますね!」


 その日、オリビアーノの街の雰囲気は、異様な静けさから、祭りの様な騒がしさへ変貌した。

13日更新予定です。

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