30:本来の依頼
新年明けまして!
年末、新年は忙しいですね~
頑張っていきましょう。
ランドハルド王国魔法省ヴェルニカ大臣は偶発する膨大な魔力の探知結果報告書を眺め、溜息を吐く。隣国のルネタイト公国が、国境付近で連結魔術を行ってから発足した魔力探知システムだが、ここに来て信用性が問われる問題となってきた。度重なるベルニールの丘での偶発的な魔力爆発の観測は、今後どのような結果が現れるのかわからない。協力してくれている騎馬隊も、「訓練だと思ってお付き合いします」とうんざりしながらも手を貸してくれる事に感謝している。
「これはヴェルニカ大臣。例の魔力探知の解析にてこずっているようだな」
「これはベルケン・ハワード丞相。御見苦しい姿を見せてしまいましたなぁ。観測当初の目論見は、魔力の上昇を発見し、連結魔術を阻止するものであって、魔力の性質まで特定するようには出来ていないのです」
「であろうな。こちらも山賊対応が急務でな。そろそろ帝国も痺れを切らしそうだ」
「お互い悩みは尽きませぬな。我らも予算を帝国から引き出した故に突かれそうだ」
「はっはっは。我らはいびられるのには慣れているが、国王様の顔に泥は塗れぬ」
「ええ、全く。いつまでも帝国に舐められっぱなしというのもいい気はせん」
「その通り」
「帝国の魔法力には劣りますが、いつか追いついて驚かせて見たいものです」
「その意気込みを若い者にもっと持ってもらいたいものですな」
二人はしみじみと中庭が見えるテラスで思い耽るのであった。一方その頃、ベルケン・ハワードに依頼されたベルニールの風の面々は、細工をした馬車に乗り込み、山賊が蔓延っているであろうレベリスト山道へ向かっていた。
「用はこの荷物をバルセルド共和国へ運ぶ事が本来の依頼なんだから、山賊が出なければ儲けもんだよな」
「そうなるわね」
緊張感の無いメビスタをあしらうようにリービアは返答する。御者役のメビスタがこの調子なのだから、ある程度の緊張は解れるものの、浮かれすぎも良くない。メビスタを皆信頼はしているが、信頼されるのが嫌なメビスタは、敢えて不安がらせるような事をしているのかもしれない。
「思ったより静かで不気味だ」
珍しくメビスタから緊張感が伝わる。
「例のポイントはまだ先だな。取り合えず馬車の中は安全だ。メビスタは外に動きがあったら直ぐに中に入れ」
「あいよう」
馬車の車輪が転がる音と、馬の蹄が地面を蹴る音が岩山に反響する。崖との高低差のあるポイントである。
「なるほど。これは仕掛けやすいポイントだ。馬車の音が敵の動きを捉え難くしているし、そり上がった崖は下からの攻撃を受け難い」
「こりゃさっさと抜けちまおう」
「珍しく意見が一致したわね」
「皆、慎重に」
戦々恐々のメンバー達の不安を載せた馬車はそのままレベリスト山道を抜けて、バルセルド共和国へ無事到着してしまった。
「なんか、楽な仕事になっちまったな」
「帰りもこうなら良いけど」
「うげ、帰りも馬車でかえるの?」
「当たり前でしょ! 定期便はどれも運休なのよ!!」
「取り合えず今日は宿で休みましょ」
リーダーのテイリスは、いつもの宿を提示し、皆がそれに従った。
バルセルド共和国に入ると、彼らは耳を疑う情報に驚く事になる。
明日更新予定です。




