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28:古狸

お疲れ様です。少し遅れてしまって申しわけ。


二日酔いで酒に後悔するのに、しばらくしたらまた飲みたくなってしまう忘年会シーズンの今日この頃。皆様、体には御気を付けて。

 「さて、強欲な冒険者の顔でも拝もうと思ったら君達か」


 ベルケン・ハワード丞相は残念というか期待外れというか、肩透かしを食らったような抜けた顔をして、依頼を受けた冒険者の顔を見渡した。その冒険者というのが、ランドハルド王国で頭角を現してきたA級冒険者である。ランク付け制度はレイガ帝国領土内で実施されている、冒険者の評価の証であり、依頼の難易度を示す良い判断材料ともなる。


 「この依頼だしたのベルケンさんだったんですか? 人が悪いなぁ、総務局からとしか書いてなかったから、お偉いさんが無茶振りでもさせてきたと思っったんですよね」


 「メビスタ、失礼よ。でも、ベルケンさんにしては大胆な事を考えますね」


 ベルケン・ハワード丞相の出した依頼が、バルセルド共和国への荷物の輸送であった。当然のことながら、レベリスト山道に出現する山賊対策に国が苦戦している事は、商人の間でも有名だし、ギルド関係者の間では当然の情報である。そこであえて国から輸送の依頼が出された。それもかなり高額な金額で1000000ぺスタである。庶民の食事が一食30ぺスタ程である為、30年は食い扶持に困る事はなくなる。当然報酬はパーティ間で山分けだが、配当に関してはパーティの形態も様々な為、配当も様々だ。リーダーが圧倒的に強ければ、パーティの主権を握り配当も決められるだろう。だが、不満を抱かせるようであれば、他のパーティに引き抜きを行われてしまう為、慎重に成らざるを得ない。


 「冒険者を囮にして山賊を誘きだし、影で情報を集めようって腹ね」


 このAランクのパーティ「バルニールの風」のリーダーであるテイリスは核心を突いた。


 「話が速くて助かる。まぁ、返り討ちにしてもらっても構わんぞ」


 「簡単に言ってくれる。相手はどこぞの傭兵団って噂も聞く。まともにはやりあわねーぜ」


 口は悪いが、このパーティの情報屋で斥候のメビスタは顎をしゃくりながら言う。


 「だが、そこまで切羽詰まってしまったという訳だろう。こんな依頼は後輩達にはやらせられん」


 「後輩思いなこった。まぁ、用は荷物届ければいいんだろう? 山賊がでなかったらどうするんだ? 向うさんだって怪しがってこないかもしれんぞ」


 「その辺は心配要らない。今の所馬車は全て襲撃されている」


 「徹底的だな。奴らはの目的は、窃盗ではない?」


 今まで静観していた前衛の槍使いベスタは口を開いた。


 「ほう、どうしてそう思った?」


 「山賊も馬鹿じゃない。何度も襲われたら自分達の餌がが来なくなる。まるであの山道を封鎖させる事が目的のように見える」


 「流石だな。現に、馬車だけを破壊して去っていく事もあるらしい。だが、どこの連中か、どんな組織なのかは全くの不明だ」


 「という事は、プロの戦闘集団ってこともありうる。金に見合うでかい山だな」


 「もう少し考える時間を与えようか?」


 「いえ、受けましょう」

 

 後衛の魔道士リービアは力強く発言する。親友の妹を助ける為に。

  


 

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