24:不合理な成長
遅れてすみません。
沢山のブックマーク有難うございます!
扉を開けた少しの隙間から舞い込んでくる土煙に咳き込みながら、視界の悪いフロアを見つめる。現在のダンジョンのフロアは、1階部分が家畜フロアでB1階が農業フロア、B2階が訓練用件迷宮ダンジョン。そして最近新設された魔術師用の練習場がB3階だ。
「魔力を錬り込め! 錬り込んだら維持しろ!! おい、魔力がだだ漏れじゃねーか」
ハイゴブリンのベルが教官キャラに変貌し、タクトを振りながら若いゴブリン達に魔法の指導をしているようだ。
「いいか! 魔力の操作は慣れればある程度は簡単だ! 錬った魔力を外に出さずに維持しろ」
ゴブリン達は、華奢な体に、大量の汗を掻きながら魔道の修行に励んでいた。
「自分で十分だと思った奴から打っていけ!」
その号令を合図に、ゴブリン達の手からバスケットボール程の大きさの炎の球体が飛び出す。既に的は消滅しており、炎弾の弾幕は土壁に激しく当り散らし、熱風と衝撃が全身に降り注ぐ。鼓膜の振動は頂点に達し、聴覚神経を脳が遮断したかのように、キーンと一瞬張り詰めた無音の世界が訪れた。
「ベル! ベル!」
谷山の必死の呼びかけにようやく気が付いたのか、ベルが慌てて振り返る。
「マスター! どうされましたか? 敵襲ですか!?」
「敵じゃない! 騒音がすると思って巡回してたらこれだよ! 確かに訓練届けは出てたけど、ここまでだとは思わなかった! みな急に魔法が上達したのかい?」
「はい! 私の魔力操作スキルは、相手に触れると相手の魔力も操作可能のようで、それがわかってからは教えるのも楽になり、ゴブリン達もメキメキ魔法レベルが向上しました」
「そ、それはいい事だな! 想像以上の功績だ。こちらも能力に見合った設備提供しなければ……」
「マスター! 訓練用に1フロアを貸し与えていただけた事だけでも十分です! マスターには感謝しております」
「お、おう! 無理せず励んでくれ!」
ベルは一礼して訓練に戻っていった。
「こりゃ、当分訓練時間とずらして就寝しないとだな」
谷山の呟きに、マリはいつでも寝れるでしょと呆れ顔。
「あ、そうだ。このフロアは火災探知全部取っ払ってるから監視カメラ多く付けとくか。確かフロアの設定であった気が」
「Dポイントを使用しますが、フロアのオプションで増設可能です」
「お、早速弄ってみますか」
谷山はこの世界での魔法修得がいかに難しいか知る由も無かった。師を持たぬ、天然もとい自己流で魔術師となったベルは、天性の勘で魔力を感じ取り、自由に操る。理屈や理論は完全無視。それでは魔法の指導者となるには不適合かと思いきや、他人の魔力を操作し、感じさせる事で魔力操作を無理やり覚えさせ、短期間で魔法師団を生み出した。
明日も更新予定です。




