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21:やすらぎの園

 「やっぱこれだよな~」


 陽炎の如く揺らめき立つ白い湯気は、幻想世界へと誘う道しるべとなるか。湯気に沈んで()く谷山の肉体は朗らかな暖かさに包まれる。


 「風呂は良い!」


 ゴブリン達への娯楽と考え思いついたのが温泉浴場である。1度に男女別100人は入れるであろう広さに、岩盤浴も完備。ぬるま湯から熱湯風呂、浅い浴槽から深いものまで幅広いラインナップ。のぼせ易い人にも長く寛げる仕様になっている。


 「課題としては露天風呂の風景だなぁ~」


 谷山の目線の先には僅かな光に反射する洞窟の壁。薄暗く、落ち着いた雰囲気だが、面白さに欠ける。


 「王道は海か山だよな~」


 海は良い。夕焼けに染まる黄金の海。風呂に浸かりながら眺めるなんて渋いぜ。


 山なら紅葉か。淡い暖色に囲まれて入る風呂もいいが、青々しい緑森の中も捨てがたい。


 「娯楽もそうだけど、疲労回復に、衛生的に病気予防にもなるから、一石三鳥だね」 


 「マスター! な、な、ななな!! なんで裸! これはなんですかぁあああ?!」


 「おぉ、エリカか。早速嗅ぎ付けてきたな! 女風呂は隣だぞ~」


 「ふろ? 風呂とはなんですか? 訓練してたらいきなり壁がぐわっと広がって、巨大な建物がいきなり現れたので偵察に来たのです」


 「そうか、ご苦労! 風呂というのは心身共に癒す場所だ。体を清め、お湯に浸かるべし!」


 「は、はぁ。」


 「訓練は終わったんだろ? 皆連れてきて。入り方をを教えます」


 「了解しました!」


 その後直ぐに、ドタドタとゴブリン達が浴場に集まり、谷山に風呂の入り方についてレクチャーを受けた。体を石鹸で洗い、湯船に恐る恐る爪先から水面に触れてみては、熱湯風呂に驚いてみたり、順応早い者は肩までどっぷり浸かり、極楽な顔をするものまで現れた。そうなってからは様子をみていた臆病な者達も好奇心が勝り、次々に風呂へ突入する。


 深風呂では泳ぐ兵まで現れたが、谷山より教育的指導が施された。谷山は、泳ぎ始めた個体を確認し、水への順応性の高さから、水兵団創設の可能性も視野に入れ、ダンジョン構築の想像を膨らませるのだった。


 その後、噂を聞きつけたダンジョン中の全ゴブリンが殺到し、将棋倒し防止の為の誘導、広報、入場規制を一挙に谷山が請け負う羽目となった。


 「うわ、ここ廊下狭すぎぃぃい」

将棋倒しで一番苦しいのが、胸を圧迫される事による窒息ですね。わんぱくな男子諸君は経験あると思いますが、人が重なり合って苦しくなるどえMな遊びですが、苦しくなったら退けばいいじゃんと思うかもしれません。ですが、何千万の密集した群集や雑踏の中心でそれが起こってしまった場合、直には動かせず、悲惨な事故になってしまいます。お祭りやイベント会場では、各自、焦らず、余裕を持った行動が大事ですね。運営がポカしたりすると大惨事になるので、当てにせず、各自危機意識が必要です。

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