14:燃やせるゴブリン
「マスター。あの個体は料理登板をさせていたゴブリンですね」
「見たか!? 今指から火を出して薪に火を付けたぞ!後天的か先天的かは今となってはわらんが、火魔法スキルが備わっている」
「思ったのですが、我々がこんなにコソコソと観察しなくても宜しいのではないでしょうか」
「お、おう。なんか探れると思ったら隠れて観察してしまった」
頭を掻きながら物陰から姿を現すと、二人は指から火を放つ、摩訶不思議なゴブリンに接触を試みる。
「そこのゴブリン君!」
「ゴ、ゴブ?」
「そうか、普通のゴブリンは喋れないのか」
「はい。訓練次第では片言ではありますが、喋れるようになりますが」
「ふむ。これではどのようにしてスキルを手に入れたか分からんな。まぁいい。料理登板は他と変わって、君は今日から魔法の特訓だ」
「ゴブ!」
「やる気はあるようだな」
「マスターの命令には、魔物達は素直に従うように出来ております」
「なんだか、王様になったようだな。魔物の王だから魔王か? いやいや、それだと討伐されてしまうではないか……殺されるのは御免だ」
「マスターは安全な管理室へ待機していて下されば、殺されることはありりません。管理室への扉は高度な隠蔽を施され、マスターの権限が無ければ開くことは出来ず、尚且つ、出入口も常に変更可能な為、状況に応じて脱出も可能です」
「センター長が、管理室を放棄か。そいつは未曾有の大災害時だな……」
「私は常に、マスターのお傍におります」
「有難う、マリ。それで魔法のスキルを伸ばすには?」
「魔法の使用回数に応じて熟練度が上がってきます。回数を重ねることで、魔力の流れや、溜め方なども覚えてきますので、そうなれば更に上達が早まります」
「ということで、魔法を使い続ける訓練をしてくれ! 家畜や、家の近くじゃ行わないようにな。魔力が無くなったら休憩でいいぞ」
「ゴブー!」
「いい子だ。さて、戻りますか……」
谷山がゴブリンの頭を撫でてやりながら、管理室に戻ろうとしたとき、遠くから奇声が聞こえた。振り返れば家畜の鶏が駆けて来る。
「マスター。どうやら様子がおかしいですね。錯乱しているようです」
「お、おう。てか、デカイな!」
迫り来る鶏は、見る見る遠近法が解けていき、その巨体を露にする。
「マスター。家畜の鶏が進化し、魔物かしと思われます!」
「ええ! 家畜も進化するんかい!! ええええ!!」
「ゴブゴブ!」
谷山を庇うように立ち塞がったゴブリンだが、身の丈が低いせいか全く安心できない。魔物は、軽トラックが突っ込んでくるようなイメージである。
「マジか! 逃げるぞ!!」
「マスター壁に扉を作ります!」
『ギャピイイイイイイイイイイ』
「「え?」」
振り返った二人の目に映るは、火達磨になった鶏の魔物と、体を淡い光で発行させている少女だった。




