3 王子
マイク王子は貧民対策には経済、医療、政治の取り組みが必要だと正論を述べた。ただ自分には無理なのでマリエールの取り組みを援助したいと言った。
3 王子
マイク王子は言葉を続けた。
「貧民が多いのは、国政に問題があるのだと思うのだ。働く気があるのに働き口がない。これは経済の問題だろう。働きたくても怪我や病気で働けないとすれば医療の問題だろう。親のない孤児が貧民街にいるとすれば孤児院が足りないせいだろう。好きで貧民をしている者がいるとすればその考え方は間違いだと教えなければならない。政治が有効的に働けば解決する問題が少なくないはずだ。有能な国王がリーダーシップをとって国を導けば上手く行くはずだ。残念ながら国王はそのような考えはない。次期国王と目される王子達もそのような考えがあると聞かない。僕はマリエール、きみが羨ましい。思うがまま、その手を貧民達に伸ばし思いの物を届ける事ができれば気が済むはずだ。政治経済で手段を持たない私は思いの物を貧民達に届けたい。私の歳費などたかが知れているが、気持ちだけでも貧民達に伝えたい。きみの部屋に女官を差し向けるよ。ほんの些少だが受け取って欲しい。」
本当の事が言えるわけがない。まして貰っても迷惑だなどと言えるわけがない。
「マイク王子様のお気持ち貧民の子ども達に必ず伝えます。王族の中に貧民の事を憂いている者がいる事が伝われば励みになるでしょう。」
心にもない事を平然と言えてしまう自分が恨めしい。マリエールは別に全ての貧民を救いたいわけではない。偶々複製の能力があり、アイテムボックスがあってアンドロイドがいて安全に楽に貧民の子ども達にお菓子が配れるから配っているだけだ。高尚な考えがあるわけではない。王子が本気で言っているなら聖人君主か妄想に囚われた馬鹿だろう。本気でそんな事が実現すると信じられるならある意味幸せなのだろう。そういう人に国王になってもらえばいいと漠然と思った。本気でマイク王子が国王になると思ったわけじゃない。マイク王子が国王になっても貧民がいなくなるとは思えない。前世にもホー厶レスという人達がいた。好んでなった人も止むを得ずなった人もいるだろう。しかし私はホー厶レスを無くしたいと望んだ事ないし世の中の政治家が声高にホー厶レスの絶滅を訴えた事を露ほども知らない。訴えた人がいるかも知れない。しかし実現した事実を私は知らない。ベディ王女が、
「あら、私も賛成よ。私も私の歳費をマリエール王女に持って行くわ。貧民を無くしたい王族が3人いると彼らに伝えて。きっと何時か貧民がいなくなる日が来るわ。」
マリエールは、
「ベディ王女の暖かいお気持ち、感謝します。何時の日かベディ王女の願いが叶う日が来るのを願っています。」
そんな日は絶対来ない。そんな夢のような話しは8歳の少年少女ならば夢見る子どもで済むだろうが大の大人が言ったら統合失調症を疑われて病院行きだ。マリエールは、
「私は子どもにお菓子を配るだけなので、大人には伝わりません。子どもに伝えるだけてす。ただお二人の暖かいお気持ちが込められたお菓子であることは必ず伝えます。」
偽善者と呼ばれても構わない。マリエールは貧民のためにやっているのではない。ただの自己満足だ。
マリエールは貧民を無くしたいと思って今の活動を始めたわけではない。どんな社会でも貧民はいる。マリエールのやっている事は単なる自己満足だ。




