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姉の方を所望していたと言った婚約者に、突然連れ帰られて気づいたら溺愛されています  作者: もちもちほっぺ


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13/42

13

翌日から、リリアーナは庭に出るようになった。

理由は単純だった。地下室にいるより、庭の方が虫が多い。それだけだった。


最初の朝、リリアーナは庭の隅にしゃがんで、土を少しだけ掘った。

芋虫がいた。

白くて、丸々として、土の中でのんびりと丸まっていた。リリアーナはそれをそっとつまみ上げて、しばらく眺めた。

アリより、ずっと大きかった。

口に入れた。


濃い。

濃くて、なめらかで……これは、クリームだ。生クリームをそのまま口に入れたような、でももっと深みがある。カスタードに近いかもしれない。甘くて、ほんのり温かくて……。


リリアーナは少しの間、口の中の感覚を確かめた。

それからもう一匹、土の中を探した。

また、いた。

また、食べた。

また、濃かった。

リリアーナは土の上に座り込んで、しばらくの間、夢中になった。


その日の午後、マルタが洗濯物の山を持ってきた。


「お嬢様、これをお願いできますか」


「わかりました」


洗濯物を抱えて、井戸へ向かった。

いつもなら、ここで頭がぼんやりしていた。重い洗濯物を抱えて歩くと、足元がふらついた。でも今日は違った。


足元が、しっかりしていた。

頭が、澄んでいた。

体の芯に、かすかな力が満ちているような感覚があった。

リリアーナは洗濯物を井戸の縁に置いて、少し考えた。

芋虫のおかげだろうか。

おそらく、そうだった。


数日が経った。

リリアーナの食事は相変わらずだった。

イザベラが気まぐれに食べかけを持ってくる日もあれば、何も来ない日もある。マルタが雑用の合間に、古いパンを一切れ置いていく日もある。


でも以前と、少し違った。

たちくらみが、起きなくなった。


重い本を抱えて脚立に上っても、頭が澄んでいた。薪を割っても、腕が疲れるだけで目眩はしなかった。廊下を雑巾がけしながら歩いても、足元がしっかりしていた。

虫を食べると、力が湧いた。


不思議だったが、事実だった。

リリアーナは毎朝、庭に出るようになった。


ある朝、草むらでバッタを見つけた。

緑色の、ぴょんぴょんと跳ねるやつだ。リリアーナは少し追いかけて、手で捕まえた。

口に入れた。


かたい。最初はかたい。でも噛むと……香ばしい。ナッツみたいな香りがする。クルミに近いかもしれない。いや、もう少し軽い。アーモンドかな。サクサクして、後から香ばしさが広がって……悪くない。むしろ、かなりいい。


リリアーナはもう一匹、草むらを探した。

また捕まえた。

また食べた。

やっぱり香ばしかった。


また別の朝、花壇の縁を歩いていたダンゴムシを見つけた。

丸まっていた。小さくて、灰色で、つやつやとしていた。

少し躊躇った。

でも口に入れた。


……土っぽい。最初は土っぽい。でも後から、なんだろう、きのこ? きのこに近い、深い香りが残る。

クワガタほどではないけれど、土の香りが強い。これは……好みが分かれるかもしれない。私はあまり得意ではないかも。


リリアーナは少し考えて、結論を出した。

ダンゴムシは、あまり得意ではない。

でも食べられないことはない。


蝶々を食べたのは、うっかりだった。

庭の花壇に止まっていた蝶々を、リリアーナはなんとなく追いかけた。遊びのつもりで、そういう気分だった。


捕まえた。

手の中に、蝶々がいた。

羽がふわふわと動いた。

食べてみようか、とリリアーナは思った。

そっと口に入れた。


……薄い。羽がふわふわして、最初は口の中でどこにいるかわからない。でも噛むと、ほんのり花の香りがする。何の花を食べていたのかな。

甘い花だったのかも。後味が、かすかに甘い。羽の食感は……ないに等しい。

これは食事というより、口直しに近いかもしれない。食後にいいかも。


リリアーナは手についた鱗粉を見た。

きらきらと、光っていた。

綺麗だと思った。

食べてしまって、少し申し訳なかった。


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