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【未来視】でジャンヌ・ダルクを火刑から救った俺、歴史から消されたが最強の観測能力で世界を奪い返す ~奪取の因果:ラスト・ディシジョン~  作者: ガドウ@歴史改変チート


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第四話:初勝利――未来を喰い破る

「……しつこく追ってきやがったな」


廉は不快げに舌打ちをした。


崩壊した世界の裂け目から それ が再び這い出してくる。

 無機質な白い仮面。

 一切の揺らぎを持たない殺意の塊。


そして その背後には。


「逃げ場はありません」


もう一人の自分。

 正しい九条廉 が 氷のように冷たい声で宣告する。


「あなたたちは既に観測済みです。次の一手で 必ず仕留める」


ジャンヌの細い指先が わずかに震えた。


「九条さん……」


「心配いらねえ。大丈夫だ」


廉は即座に突き放すように言った。

 その声に 迷いの欠片も混じってはいない。


(……視える。はっきりと 視えるぞ)


右目が焼けるように熱い。

 網膜に流れ込んでくるのは 分岐し 重なり合う無数の未来。


死。

 死。

 絶望的な 死。


だが その暗黒の羅列の中に。


(あるな。たった一つだけ)


確かな手応えを伴った 勝てる未来 が混じっている。


「ジャンヌ」


「はい!」


「今から勝つぞ。準備はいいか」


ジャンヌの瞳が 驚愕に大きく見開かれた。


「……本当に 勝てるのですか?」


「ああ」


廉は 不敵に口角を上げた。


「俺はもう 負けるつもりはねえ」


その一言を境に 周囲の空気が劇的に変質した。


『――排除開始』


白い仮面が 爆ぜるような速度で踏み込んでくる。

 常人の動体視力では 残像すら捉えられない。


だが。


(視えすぎているくらいだ)


「ジャンヌ、三歩前へ!」


「はい!」


彼女が迷いなく踏み込む。

 その直後 ジャンヌがたった今までいた空間が 鋭利な真空によって切断された。

 もし一瞬でも判断が遅れていれば 命はなかっただろう。


『――再計算』


敵が攻撃の軌道を変え 未来が再び塗り替えられる。


(来るな。次は 左上から――)


「しゃがめ!」


「っ!」


ジャンヌが即座に身を屈める。

 彼女の頭上を 視認できない刃が轟音と共に通過していった。

 背後の地面が爆ぜ 土煙が舞い上がる。

 本来ならば 避けることなど到底不可能な神速の連撃。


だが。


「当たらねえよ。そんな掠り傷さえな」


廉は冷ややかに言い捨てた。


「お前の動きは 全部 俺の右目が読み切ってる」


もう一人の自分が わずかに眉を動かした。


「……未来視の精度が向上しているというのか」


「違うな」


廉は力強く地面を踏みしめる。


「お前たちのやり方に 慣れただけだ」


ジャンヌが 荒い息を整えながら立ち上がった。


「九条さん……次は……何をすれば」


「決めに行くぞ。今度は 守り じゃねえ」


短く言い切る。

 その言葉を受けたジャンヌの表情から 恐怖が消え失せた。

 代わりに宿ったのは 岩をも通すような 覚悟 だ。


「……はい」


白い仮面が 再び排除の構えをとる。


『――排除確定』


未来が流れ込む。

 だが 今度は先ほどまでとは決定的に違う。


(読める。全ての因果が手に取るように分かる)


敵の駆動 予備動作 そして結果。

 そのすべてが 廉の支配下にあった。


(なら――)


「ジャンヌ!」


「はい!」


「右、左、そして前だ!」


矢継ぎ早に飛ばされる指示。

 ジャンヌは一瞬の迷いも見せず しなやかにそれへ従った。

 その一連の動きは もはや偶然の回避などではない。

 勝利へと続く 必然 の歩みだ。


『――命中』


敵の無機質な腕が振り下ろされる。

 だが。


「そこだ!」


ジャンヌの拳が 空間そのものを叩き据えた。


バキンッ!!


未来が粉々に砕け散る。

 確定していたはずの 命中 という結果が この世から消滅した。


『――エラー』


初めて 敵の動作が完全に停止する。


「まだだ! 手を止めるな!」


廉が叫ぶ。


「次で 全てを終わらせるぞ」


流れ込む情報の濁流。

 その渦中で 廉はついにはっきりと 視た 。

 この絶望の 終わり を。


「ジャンヌ、今だ!」


「はい!」


ジャンヌが深く踏み込む。

 その拳に宿るのは 理不尽な未来を喰い破るための力。


「――壊します!」


渾身の力で振り抜かれた拳が 空間ごと敵を叩き割った。

 ガラスが砕け散るような音と共に 白い仮面の輪郭が激しく歪む。


『――損傷……確認……機能停止……』


初めて与えた致命的なダメージ。

 それは 揺るぎない 敵の敗北 を意味していた。


「終わりだ」


廉は静かに 引導を渡す。


「お前が勝つ未来なんて もうこの世界には存在しねえよ」


ジャンヌが 最後の一撃を正面から叩き込んだ。


「これで――!」


凄まじい轟音が響き 白い仮面の身体が完全に崩壊した。

 それはノイズとなって霧散し 虚空へと消えていく。


一帯を 深い静寂が包み込んだ。


「……勝ったの、ですか?」


ジャンヌが 信じられないといった面持ちで呆然と呟く。


「ああ」


廉は短く 確信を込めて答えた。


「俺たちの勝ちだ」


その瞬間 世界が再び大きく鳴動した。


「……ふむ。まだ終わらせてはくれないようだな」


背後から響く声に 廉は振り返るまでもなく相手を悟った。

 もう一人の自分。

 正しい九条廉 が 静かにこちらを見据えている。

 その虚無的な瞳に 微かな変化が兆していた。


「……評価を更新する」


感情を排した声で 淡々と告げる。


「脅威レベルを 上方修正 。再度の排除を推奨する」


ジャンヌが 思わず息を呑んだ。


「……まだ 来るのですか」


「当然だろ。俺たちは 世界そのものに喧嘩を売ってるんだからな」


だが 廉の表情には悲壮感などなかった。

 その口元は 確かに笑っていた。


「上等じゃねえか」


そして 真っ直ぐに前を見据える。


「次も ただ勝てばいいだけだ」


ジャンヌが 釣られたように小さく笑みをこぼした。


「……はい、九条さん」


二人は並んで 未知の荒野を見つめる。

 そこにあるのは まだ何者にも観測されていない 明日 だ。


「行くぞ」


「はい!」


世界の歪みの向こう側へと 二人は迷いなく踏み出した。

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