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【未来視】でジャンヌ・ダルクを火刑から救った俺、歴史から消されたが最強の観測能力で世界を奪い返す ~奪取の因果:ラスト・ディシジョン~  作者: ガドウ@歴史改変チート


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第二話:未来を壊す少女

「――来るぞ」


廉が鋭く声を放つのと同時に 世界が歪みを見せた。


空間がひび割れ その不気味な裂け目から それ は這い出してくる。

 真っ白な仮面。

 節々のない無機質な四肢。

 感情を一切持たない 人型の 何か がそこに立っていた。


『――逸脱個体を確認 排除を開始する』


「……あれは、何ですか?」


ジャンヌの喉が 小さく震える。


「歴史の掃除屋だ。俺たちみたいな 間違い を消すためだけに存在する機械だよ」


廉の右目に 濁流のような未来が流れ込んできた。


――三秒後 心臓を貫かれる

――回避不可

――死亡確定


(……速すぎるな。視える未来が もう詰んでるパターンしかねえ)


「九条さん……」


ジャンヌが 不安を押し殺すように彼の手を握りしめた。

 掌から伝わるその温もりで 廉の思考は一瞬だけ凪を取り戻す。


(いや 違う。まだ終わっちゃいない)


さっき 自分は確かに目撃したはずだ。

 絶対に変わらないはずの 壊れた未来 を。


「ジャンヌ」


「はい……!」


「お前 さっき何をした? 何を考えていた?」


「え……?」


「俺が死ぬはずだった未来を お前は消したんだ」


ジャンヌの瞳が 困惑に揺れる。


「……自分でも分かりません。でも……」


彼女は 小さく しかし強く拳を握り込んだ。


「嫌だったんです。あなたが あんな風に死んでしまうのは」


その言葉を聞いた瞬間。

 廉の中で 曖昧だった確信が形を成した。


(……こいつは 聖女なんかじゃない)


確定したはずの未来を 壊せる 唯一のイレギュラーだ。


『――排除』


白い仮面が 無造作に腕を振り下ろした。


音はない。

 予兆さえない。

 だが 未来はすでに殺害を完了している。


(来る――!)


「ジャンヌ、右に動くな!」


「えっ……!」


「そこは死ぬぞ!」


ジャンヌは反射的にその場へ踏み止まった。


刹那。

 何もない空間が突如として裂け 彼女が動こうとした軌道を真っ二つに切り裂いた。

 もし一歩でも動いていれば 今頃は確実に肉塊に変わっていたはずだ。


「……見えているんですね。本当に」


ジャンヌが 震えながらも確かな信頼を込めて呟く。


「ああ。最悪な未来は 全部視えてる」


廉は短く息を吐き 右目の光を強めた。


「だからこそ 別の道を選べる」


『――再計算』


白い仮面が 次の排除動作へ移行する。

 廉の視界に 新たな結末が投射された。


――左に逃げる:死亡

――後ろに跳ぶ:死亡

――立ち止まる:死亡


(全部ダメか…… 逃げ道がない)


絶望が頬を掠めた時 一つだけ異質な未来が混じり込んだ。


――結果:不明


(……なんだ、これは)


視えない。

 確定した死の中に 未来が 存在していない 空白の領域がある。


「ジャンヌ」


「はい!」


「俺の言う通りに動け」


廉はその 空白 を射抜くように睨みつけた。


「そこに 俺たちの生きる隙間がある」


『――排除確定』


敵が動いた。

 世界が死の色に塗りつぶされていく。

 だが その混沌の中で そこだけ が鮮やかに残っていた。


「今だ、走れ!」


「はい!」


二人は同時に地面を蹴り飛ばした。

 一直線に 未来が存在しないはずの断層へと突き進む。


次の瞬間 バキンと硬質な音が響き渡った。

 まるで 世界そのものが限界を迎えて割れたような音だ。


『――エラー』


白い仮面の動きが ピタリと止まる。

 その腕は 本来なら廉たちの心臓を捉えていたはずであった。


「……当たって、ない?」


ジャンヌが 不思議そうに呟いた。


「違う。当たっていないんじゃない」


廉は 細めた目で敵を見据える。


「未来が存在しない場所では 当たる という結果さえも発生しないんだ」


『……理解不能』


排除の化身が 初めてその動作を停止させた。


「ジャンヌ」


「はい!」


「もう一回いくぞ。準備はいいか」


廉の右目が かつてないほど強く輝く。

 ジャンヌが力強く頷いた。

 その瞳に もはや迷いの色は微塵もない。


「……私が、壊します」


「いいや」


廉は 不敵な笑みを浮かべた。


「今回は少し趣向が違うぞ」


ジャンヌが 驚きに目を見開く。


「未来がないのなら――」


廉は力強く 一歩を踏み出した。


「俺たちが 今ここで作ればいいだろ」


その言葉と同時に。

 二人は 何者にも観測されない未知の領域へと踏み込んだ。


そこは まだ何ひとつとして決まっていない場所。

 運命も 歴史も 神の計らいさえも及ばない。

 完全なる 空白 の原野。


「九条さん……これって」


「ああ」


廉は 短く しかし確信を込めて答えた。


「ここなら 俺たちは――」


白い仮面の背後で 世界が必死に再計算を開始する。

 だが それももう遅い。


「好きに生きられる」


ジャンヌは 静かに息を吸い込んだ。

 そして。

 小さく でも確かに 晴れやかな笑みをこぼした。

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