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【未来視】でジャンヌ・ダルクを火刑から救った俺、歴史から消されたが最強の観測能力で世界を奪い返す ~奪取の因果:ラスト・ディシジョン~  作者: ガドウ@歴史改変チート


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第一話:俺だけが認識されない世界で、彼女だけが俺を見た

「――ジャンヌ・ダルク。火刑、執行」


その宣告が下された瞬間に 世界の未来は残酷な結末へと固定された。


積み上げられた薪が 乾いた音を立てて爆ぜていく。

 群衆の上げる熱狂的な怒号が 広場を埋め尽くした。

 そこには逃れようのない 確実な死の予感が漂っている。


九条廉は その光景をただ見つめていた。

 いや 彼には「視えて」いたのだ。


(あと十二秒で炎が首まで到達 十五秒後に意識喪失 死亡確定)


右目の端で 無機質な文字列が激しく明滅する。

 未来視。

 それは彼に与えられた唯一の特権であり 同時に絶望的な呪いでもあった。


「……俺は、何もできない」


廉の手が 虚空を掴んだ。

 だが指先は 熱を帯びた空気を捉えることなく ただ虚しく透過する。

 彼はこの世界の「観測者」に過ぎないのだ。

 歴史という名の記録を正しく保存するための 不純物。

 誰の目にも映らず 誰にも触れられず ただ奔流の傍らで立ち尽くすだけの、空っぽの存在。


それが この世界が課した絶対的な摂理であった。


「……神様……」


火刑台の上で 少女が小さく呟いた。

 煤に汚れ 絶望に濡れた祈りが 天へ向けられる。

 本来なら その声が誰かの耳に届くはずなどなかった。


「……なあ」


不意に 廉の心臓が激しく跳ねた。


ジャンヌの瞳が 正確にこちらを射抜いていたのだ。

 互いの視線が 逃げ場もなくまっすぐに絡み合う。


「……あなた、誰ですか?」


「…………は?」


思考が 白濁していく。

 有り得ない。

 認識されるはずがない。

 自分は この場に存在していないも同然のはずだ。


(俺を……見ているのか?)


だが 彼女の瞳に宿っているのは 聖女としての高潔な使命などではなかった。

 もっと泥臭く 剥き出しになった 生存への渇望だ。


――生きたい。


その一心のみが 世界の壁を突き破り 透明なはずの男を捉えて離さない。


「……あー、クソ」


視界の端で 未来ログが猛烈な勢いで警告を発し始めた。


――介入禁止

――歴史固定

――違反時、存在削除


そんな警告など もはや不快なノイズに過ぎない。

 廉の中で 何かが音を立てて千切れていく。


「……死ぬ未来なんて」


彼は一歩 強く地面を踏みしめた。

 外側から 内側へ。

 傍観を捨て 泥沼の歴史へとその身を投じる。


「――ぶっ壊せばいいだろ」


廉の身体が 高く火刑台を蹴った。


「え――」


少女の細い身体を 強引に抱き寄せる。

 腕に伝わる柔らかな重み そして肌のぬくもり。

 透過することのない「感触」が 掌に生々しく刻み込まれた。

 生きている。

 その事実だけで 立ち上がる理由としては十分すぎた。


刹那 世界が軋みを上げ 崩壊を開始する。


『――エラー』

『――歴史改変を検知』

『――九条廉を排除対象に指定』


「……ああ、そうなるよな」


指先から 存在が薄れていくのが分かった。

 粒子となって 世界から削ぎ落とされていく感覚。


「離さないで……!」


ジャンヌが 必死に廉の衣を掴んだ。

 血の気の引いた指先が 彼をこの世界に繋ぎ止める唯一の楔となる。


(……なるほどな)


廉は 不敵に口角を上げた。

 右目に宿る 琥珀色の光が輝きを増す。


「俺が未来を見る」


「お前が、それを壊せ」


ジャンヌの瞳が 強く 激しく揺れ動いた。


「……できますか?」


「できるかじゃねえ」


「やるんだよ」


迫り来る炎も 歪む空間も 消えゆく身体さえも。

 そのすべてを突き放すように ジャンヌが小さく頷いた。


「……信じます」


その瞬間。

 確定していた「死」の未来が 脆いガラス細工のように音を立てて砕け散った。

※ここまで読んでいただきありがとうございます。

この物語は「未来を見る男」と「未来を壊す少女」が、正しい歴史そのものに反逆していく物語です。

少しでも続きが気になれば、ブックマークで追っていただけると嬉しいです。

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