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3話 【初公開!】セントラル・ルームツアー!

この話はプロローグの後書きにある設定と合わせて読むとより世界観を楽しめます。ですが読まなくても特に問題はございません。


800pvありがとうございます

「えーっと、これ……角度合ってる? あ、もうちょっと右かな。よいしょ……っと」


カシャカシャという機械的な音と共に、三脚に固定された最新式のカメラが小刻みに揺れる。

フレームに収まったのは、国家怪魔対策総局・地下基地の無機質な通路。

そこに、ふわりとしたボブカットの銀髪を揺らし、愛らしい笑みを浮かべた一人のアンドロイドが飛び込んできた。


彼女の肌は磨き上げられたパールホワイトのように美しく、口元のスピーカーボックスは桜色のカバーでデコレーションされている。


「はい! 皆さんこんにちはーっ! 国家が誇る最強の守護者、A班1型のサクラです! 今日は特別に、私たちアンドロイドが普段どんなところで生活しているのか、禁断の『セントラル・ルームツアー』を敢行しちゃいまーす! イェーイ!」


サクラはパチパチと拍手をして、三脚から手慣れた手付きでカメラを外した。


「今はここ、第2層のメンテナンス室の前にいまーす。あ、ちょうど誰か帰ってきたみたい!」


ピン、という電子音と共に通路に隣接されている大型エレベーターの重厚な扉が開く。

中から現れたのは、前回の激戦を終えたばかりのE班15型の面々だ。


「……だからさ、あのフェイント! 敵の動きが完全にスローに見えたんだって。僕の左フックが決まった瞬間、あいつ『えっ?』って顔してたもんね!」

「はいはい、自慢話は帰りのヘリから数えて48回目だよルーク。私は腕の傷が気になってそれどころじゃないのっ」


相変わらず能天気に胸を張るルークと、不服そうに自らの腕をさするベル。その背後でカイトが冷静に歩を進めていたが、カメラを構えるサクラの姿に真っ先に気づいたのはベルだった。


「あーっ! サクラせんぱーい!!」

「おっと、ベルちゃん! お帰りなさーい!」

ベルが子犬のような勢いで駆け寄ると、サクラはカメラを片手で器用に扱いながら、空いた手でベルの銀髪を優しく撫でた。


「せんぱい、見てくださいよー! 今回の敵、めっちゃ暗くて可愛げなかったんですよ。でもルークが変な動きして倒しちゃって……」

「あ、サクラさん! こんちはーっす!」


ルークも人懐っこい笑みを浮かべて合流する。彼はカメラのレンズを覗き込むと、無邪気にピースサインを作ってみせた。


「これ、動画撮ってるんすか? 僕の雄姿、バッチリ映してくれました?」


「撮ってるよー! ルークくん、相変わらず元気だね。ほら、アップで行っちゃうよー? イェーイ!」


サクラがカメラをグイッと近づけると、ルークは「おっ、美男子に映るかな」と冗談を飛ばす。そんな賑やかなやり取りを後ろから見ていたカイトが、一歩前に出て、サクラに丁寧な会釈をした。


「サクラ先輩、お疲れ様です。こんなところで何をされているんですか? A班は今、出動待機中ではなかったはずですが」

「んー? 動画撮影? 思い出づくり? ほら、私たちっていつ壊れるか分かんないし、こういう日常を残しておくのも大事かなーって!」

サクラが曖昧に、でも明るく答える。


すると背後のメンテナンス室から、白い作業着を着た人間の整備士たちが、台車を引いて現れた。

「はいはい、15型。お喋りはそこまでだ。データ汚染のチェックと外装の修復に入るぞ。さあ、台座に乗れ」

「あ、呼ばれちゃった。せんぱーい、また後でラウンジでねー! バイバーイ!」


ベルは台座の上にちょこんと座ると、ドナドナと運ばれていきながら大きく手を振る。ルークも「また後でっす!」と手を挙げ、カイトは最後まで礼儀正しく一礼して、巨大なメンテナンス室の扉の奥へと消えていった。


「ふふ、相変わらず賑やかな子たちだね。じゃあ、ルームツアー再開!」

サクラは再びカメラを自分に向け、軽やかな足取りで歩き出した。


【第1層:出動フロア】

「まずはここ! 先刻みんなが降りてきた第1層。ここは任務に向かう時の玄関口だよ。巨大なモニターには今の日本の『歪み』っていう怪異が出てきた場所が全部映し出されてるんだ。出動前はみんなここでキリッとしてるけど、終わるとさっきみたいにヘロヘロになっちゃうんだよね」


【第2層:メンテナンス区画】

「そして今いるのが第2層。私たちアンドロイドにとって、ここは病院みたいな場所。怪魔に触れると『データ汚染』っていう最悪、機能停止になって動けなくなっちゃうのが起きちゃうから、ここではそれをスキャンして、データ汚染から守ってくれる浄化液を補充したり、凹んだ装甲を直したりするの。ここを通らないと、私たちは明日を迎えられない……いわば、最重要スポットだね!」


【第3層:アンドロイド寮区画】

サクラが再びエレベーターに乗り、下の階へと降りる。扉が開くと、そこには先ほどまでの殺風景な基地とは一変した、温かみのある空間が広がっていた。


「ここが私のイチオシ、第3層の寮区画! 見て見て、このラウンジ!」

そこは広大な吹き抜けのロビーのようになっており、ふかふかのソファや観葉植物、さらには最新のゲーム機まで備わっている。


あちこちで、数組のアンドロイドたちが円になって談笑していた。

「あ、あそこでトランプしてるのはB班の子たちかな? 私たちは人間みたいに食事は必要ないけど、専用の『模擬食』を食べて味覚データを楽しんだりもするんだよ。ここはね、戦いを忘れて『ただの存在』になれる、大好きな場所なんだ」

6人で円を作ってトランプを机の上に広げている所に駆け寄りカメラを向ける。


「いぇーい、みんなげんきー?」

「おぉサクラ先輩!こんちわっす!」

「こんちわっ!今君たちは何してるのかな〜」


サクラがカメラを向けながら陽気に話しかける。


「いま、ババ抜きってのやっててさっきまで大富豪ってのもやってたんすよ!これがおもしろくて人間界で主流なのも納得っす!」

「へぇ!いいねぇ〜今度A班1型のみんな連れて一緒にやろーよ」

「いいっすね!負けませんよ!」


サクラのカメラが、笑い合う仲間たちの姿を映し出す。その光景は、ここが地下深層の兵器拠点であることを忘れさせるほど、平和で穏やかだった。

【第4層:研究区画】

「ここから下は、ちょっと空気が変わるよ。第4層は研究区画。……あ、ごめんなさい! ここは立ち入り制限がかかってるから、入り口だけね。私たちの新しい体や武器を開発してる、頭の良い人間さんたちがたくさんいる場所だよ」


それだけ言うとすぐにエレベーターに戻っていった。

【第5層:封鎖区画】

サクラは最後に、さらに下へと続く、固く閉ざされた重厚なシャッターの前で足を止めた。


そこには灯りもなく、冷たい静寂だけが横たわっている。

「最後は第5層……なんだけど、ここは私も入ったことがないんだ。噂では、昔の暴走しちゃった個体とか、失敗しちゃった旧型機が眠ってる……なんて言われてるけど。まあ、ただの都市伝説だよね! 私たちには関係ないないっ!」


サクラは努めて明るい声で締めくくると、カメラを再

び自分の顔に向けた。

「以上! セントラル・ルームツアーでした! 私たちの日常、少しは伝わったかな? それじゃあ、メンテナンスが終わったベルちゃんたちと合流して、模擬食のイチゴパフェでも食べに行ってきまーす! またねー!」

サクラがカメラに手を振ると、画面はふっと暗くなり、動画の終了を告げるロゴが浮かび上がった。


次回更新は3月12日を予定しております

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