【筍の小噺】其の陸 筍の料理帖
最後に、本作に登場した筍料理の作り方を。
【九十一膳目 茹で筍の刺身】
・生の筍
・糠
・唐辛子
①生の筍は表面の皮を数枚剥いて水でサッと洗い、上を斜めに切り落とす。
②糠を混ぜた水を大鍋に張り、その中な筍を入れ、唐辛子を少量丸のまま入れて水から炊く。
③吹きこぼれないよう火加減をしながら炊いていき、筍に竹串がスッと通るまで、一時間から二時間ほど炊く。炊き上がったら鍋のまま半日程度冷ます。
④よく冷ましたら皮を剥いて糠をよく洗い流し、食べよい大きさに切る。切ったらもう一度サッと茹でて糠臭さを抜き、冷水に取って冷やす。
⚠️注意⚠️
とにかく新鮮な筍を手に入れるが肝要。アク抜きは焦らずゆっくりと丁寧に。
【九十二膳目 焼き筍と春野菜のサラダ】
・茹で筍(茹でて糠抜きを終えたもの)
・アスパラガス
・スナップエンドウ
◎オリーブ油
◎醤油
◎塩
①筍は穂先を中心に一口大に切り、オリーブ油を敷いたフライパンで焼く。途中で醤油を垂らして少し焦げ目をつける。
②アスパラガスとスナップエンドウはそれぞれ下処理をし、塩茹でにして一口大に切り分ける。
③皿に筍と野菜を盛り合わせ、上からオリーブ油と塩をかける。
※補足※
塩はあれば藻塩がよい。
【九十三膳目 姫皮の雲丹和え】
・姫皮
・練り雲丹
◎鰹出汁
◎醤油
◎味醂
◎酒
①皮の中でも白っぽい内側の皮だけを集め、細かく刻む。包丁に違和感を覚えるような繊維質の部分は除く。
②刻んだ姫皮を糠抜きのためサッと茹で、その後に味を調えた鰹出汁で炊く。下味をつけることが目的なので、ほんの数分炊けばよい。
③練り雲丹をボールにあけ、酒や醤油などで味を決めたら、汁気を軽く絞った姫皮を混ぜ合わせる。
※補足※
出汁はどのような形でもよいが、鰹の物が一番筍と相性がよい。
【九十四膳目 若竹煮】
・茹で筍(茹でて糠抜きを終えたもの)
・若布(生食用のもの)
・蕗(茹でたもの)
・木の芽
◎鰹出汁
◎鰹節
◎酒
◎味醂
◎醤油(可能なら薄口醬油)
◎砂糖
◎塩
①筍は穂先や根元など場所に応じて切り分ける。鰹節を一掴み、こぼれないよう専用のパックなどに包んでおく。若布と蕗もそれぞれ下拵えをしておく。
②冷たい鰹出汁を鍋に張り、その中に筍と鰹節を入れて炊き始める。最初の段階では少量の酒と味醂のみを入れる。
③汁が沸騰してきたら鰹節を取り除き、筍の甘味を見ながら砂糖や味醂を足す。甘みはやや控え目に。塩と薄口醬油も足して汁を煮含める。
④汁気がかなり減ったら、一度火を止め、冷めるまでゆっくりと味を染みさせる。食べる直前に温め直し、その時に若布と蕗も一緒にサッと炊く。木の芽を天盛りにして供する。
※補足※
根気よく時間をかけることで、固い筍でも中まで味が染みる。一度置くのが重要。
【九十五膳目 筍メンマ】
・茹で筍(茹でて糠抜きを終えたもの)
◎胡麻油
◎鶏がらスープの素
◎酒
◎醤油
◎味醂
◎辣油
◎粉唐辛子
①筍は固い部分を選んで短冊状に切り、胡麻油で炒める。鶏がらスープの素を湯で溶き、その中に酒、醤油、味醂などを合わせる。
②炒めた筍に合わせた調味料を入れて炒め煮にし、汁気を飛ばしていく。
③汁気が飛んだら再度味を確認し、仕上げに辣油と粉唐辛子を加える。
【九十六膳目 筍の吸い物】
・茹で筍の穂先(茹でて糠抜きを終えたもの)
・蛤(砂抜きを終えたもの)
・姫皮(出汁で炊いて下味をつけたもの)
◎酒
◎出し汁
◎塩
◎味醂
◎醤油
①鍋に蛤を入れ、被るぐらいの水と少量の酒を加えてじっくりと火にかける。蛤の貝が開いてきたら貝だけを先に取り出しておく。筍の穂先は縦に割るように切っておく。
②汁に出し汁を足し、塩と味醂で薄味に仕立てる。そこに筍を加えてひと煮立ちさせる。
③仕上げに醤油を数滴落とし、蛤、姫皮を加えて椀に張る。
※補足※
椀に張る時、柚子皮や木の芽を加えても美味。出汁は合わせ出汁より、昆布か鰹だけの物がよい。
【九十七膳目 筍の木の芽田楽】
・炊いた筍(若竹煮の際に作ったもの)
・白味噌
・木の芽
◎酒
◎味醂
◎砂糖
①小鍋に白味噌を入れ、酒、味醂、砂糖と共に火にかけて練り混ぜる。木の芽はすり鉢で擂り、この味噌の中にたっぷりと混ぜ合わせる。
②筍は一度炊いて味が染みたものを用意し、汁気を切って木の芽味噌を表面に塗る。そのままグリルなどで味噌に軽く焦げ目がつくまで焼く。
【九十八膳目 筍と豚の鼈甲蒸し】
・炊いた筍(若竹煮の際に作ったもの)
・豚ブロック肉
◎醤油
◎酒
◎砂糖
◎味醂
①豚肉は一度下茹でし、塊のまま角煮の要領で調味料を加えてゆっくりと煮ておく。
②煮た豚肉を一口大に切り、筍と共に深めのバットに入れる。肉の煮汁をその中に張り、ラップをして蒸し器で十分程度蒸す。
【九十九膳目 筍のあられ揚げ】
・炊いた筍(若竹煮の際に作ったもの)
・むき海老
・あられ
◎酒
◎塩
◎小麦粉
◎卵
◎揚げ油
①むき海老は背ワタを取り、包丁で叩いておく。酒と塩で下味をつけておく。小麦粉と卵を使い、少しゆるめの天衣を作っておく。
②筍の表面に小麦粉を打ち、それを二枚用意した間に海老を挟む。再度側面などに小麦粉を打ち、天衣、あられの順にまとわせる。
③かえしながら、揚げ油できつね色になるまで揚げる。焦げやすいので、温度はやや低めに。
※補足※
そのまま食べる以外にも、椀物などにしても大変美味。あられは砕いた煎餅で代用可。
【百膳目 筍ご飯】
・米
・炊いた筍(若竹煮の際に作ったもの)
・人参
・油揚げ
◎出し汁
◎醤油
◎酒
①筍、人参、油揚げは細かく刻んでおく。米は洗い、ザルに上げておく。
②文化釜に米と具材を入れ、出し汁を通常の水加減と同量入れる。少量の醤油と酒で味をつけて炊き上げる。
③炊きあがったら蒸らし、杓子で全体を軽く混ぜる。
※補足※
文化釜を使ったが、もちろん炊飯器でも可。




