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【筍の小噺】其の伍 筍の旬や目利きなど

 こちらの小噺では、筍の中でも孟宗竹に焦点を当ててお話をさせていただきたいと思います。

 となれば、旬なんて春に決まっているだろ、なんてお声も聞こえてきそうな気がしますが、実はそう言い切れない部分もございます。というのも、確かに筍の旬は一般的に春なのですが、筍が一番必要とされるのはこの時期ではないため。

 「筍の旬」だなんてうっかり読み間違えてしまいそうな並びですが、この字は筍が十日の区切りを表す「旬」の期間ですっかり成長してしまうことに因みます。上旬だとか中旬といった言葉を思い出して頂ければ分かりやすいのではないでしょうか。

 雑談はさておくとして、恐らく筍が一番必要とされる時期は、年末のおせち料理の時期。おせちに入れる煮しめの具材に、縁起物とされる筍は欠かせません。

 筍はまっすぐと伸び、成長も早いことから古くより縁起物とされてきたといわれております。ただ個人的には、竹のそのものが縁起物であり、その影響なのではないかと思ったりもいたしますが、真相は定かならず。

 時季じゃなければ水煮があるじゃないか、という話になりそうですが、実はもう年末の段階で生の筍は市場に出回っているのです。

 この季節の主要産地は、鹿児島県を中心とした温暖な南九州。早いところでは、何と十月の末には出荷が始まるというから驚きます。

 ただ、いくら南九州が温暖だからとはいえ、まだ晩秋の段階ではさすがに筍も芽を出していません。そこで、芽が出る前の土の中の物を掘り起こすのです。

 通常よりも更に早い段階で掘ってしまうことから「早掘り筍」と呼ばれ、両手に乗るような、通常の物よりかなり小ぶりなサイズなのが特徴です。味は甘くアクも少なく、初物として大変珍重される存在です。

 ただし、掘る手間がかかること、数の少なさなども手伝ってか、その分値段もかなりお高め。

 この南九州の本来の旬が二月頃で、これを筆頭にして筍の旬は段々と日本列島を上っていき、遅い所ではだいたい六月ぐらいまで収穫されます。なんと桜前線よろしく、筍にも「たけのこ前線」が存在するそう。ただ、もちろん同じ地域でも場所によって多少の時期の差が生まれます。これも桜と同じですね。

 さて、最後はそんな生の筍をお手に取る際の目利き技を。

 まず何よりも大切なのは鮮度でございます。筍は取ったその瞬間からどんどんとえぐみが増えていきます。「朝堀り」など、鮮度がとにかくよい物を選ぶようにいたしましょう。穂先が茶色であれば、その筍が地上に顔を出す前に掘られた証拠。日にあたった物は緑になります。

 外の皮も同じ理由で薄い茶色の物がよろしいでしょう。そして、とにかくずんぐりとしてずっしりと持ち重りのする物を選ぶこと。筍はスッとした形の物より、ずんぐりと太く丸っこい方が美味です。

 筍を手に取ったら、ついでに根本も見るようにいたしましょう。新鮮な物なら、瑞々しくきれいな白色になっているはずでございます。土が付着している場合は、それがまだ湿っているようなら新鮮と申せましょう。

 そして最後に、時間をかけて丁寧にアク抜きをすること。これが何よりも一番肝要でございます。

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