レクスとの稽古
SIDEーーリオン
オレはスミスさんに二振りの刀とクリスの防具を依頼し、クリスが先に向かったレクスの所 兵舎 へオレも向かって行った。
少しの間を歩き続け、オレは無事目的地へ辿り着く事が出来た。
オレは中へ入り、二人が 練武場 に居ることは直ぐに分かり、オレもそこへ向かった。
「ようやく来たか、遅いぞ、リオン。」
オレの到着と同時にさっきクリスと話して居るレクスは気付き、オレを視線で追っていた。
「あぁ、済まない、ちょっとした用事があったから遅れた。」
「おお!聞いてるぜ、クリスから。スミスのおっさんの所に行ったてな、しかもあのおっさんに気に入られたて話じゃねぇか。凄いな、あのおっさんこの王都じゃその頑固さと人嫌いは有名でよ、良くそんなおっさんに気に入られたもんだな。」
「まぁ、スミスさんとはちょっと縁があって偶々同じ人を知っているだけで、他人よりは少し会話がし易いくらいなものだ。」
オレはそうレクスに説明を着けた。
「それにしてはだな...」
納得の行かないようで、レクスはまた何かを言いようとした。
「お兄様、そんな事はもう良いのでは有りませんか?それより、早く稽古を始めましょう、リオン。」
レクスの言葉が飛び出る前に、クリスの方から 稽古しよう と言い出した。
「そうだな、大分遅くなったからな、オレの所為で。始めて良いか、レクス?」
オレはレクスにも確認を取る。
「まぁ、最初からそれの為だからな。もちろん始めて良いぞ!」
レクスは少し気が昂ぶり、気合を入れてオレに答えた。
「そうか、じゃクリス、レクス、これより稽古を始めるぞ。...そうだな、折角だから見本はクリスにして貰うとしよ。...出来るか、クリス?」
オレは前にクリスに教えた時のように、レクスにもそうしようとして、もう既に習ってたから見本はクリスに頼もうとした。
「えっ、わたし!?一様習ってるから出来なくはないけど、良いの、リオンが自ら基準にして見本を見せて上げなくて。」
クリスはオレに聞いてくる。
「あぁ、問題ない。この前の稽古の時、君はちゃんとそれをこなしているからな。自信を持ってレクスに見本としてやって見せると良い。」
「...そう。うん、判ったわ。...じゃお兄様、ちゃんと見ててね。リオン、木刀を出してくれない?」
オレから肯定を得られて、クリスは少し思案して、引き受けることにした。
クリスはオレから木刀を受け取り、前にオレから習った通りに木刀をゆっくりと持ち上げはきっちり全身の力を入れながらゆっくりと振り落とす。その動きの一つ一つがちゃんと注意を払われていて、それを証拠に前にオレが注意した部分はきっちりと意見した通りにこなしている。
クリスは前にオレが見せたと同じく、行き来しながら素振りを数回こなし、オレはきちんとこなしてるか、チェックをし、レクスもクリスの動きを目を離さずに最初から最後まできっちりと目に焼き付けるようにした。
「見事だ、前に教えて二日しか経ってないのに、もう此処まで出来るようになってるとは。オレで際最初の頃はもう少し時間を掛けるものだったのに、クリスやはり君はそれなりに剣士としての才がある。」
二日と言う短時間でもうちゃんと注意すべき所をきっちりと押さえ、正確に素振りが出来るとは。オレは今クリスの才能の一角を谷間見たような気がした。
「なぁ、本当にこれをやるだけで良いのか?」
良く理解していないレクスは疑問を感じたようだ。
「あぁ、説明は後でちゃんとするから。はい、これは君の分の木刀だ、先ずはこれをこなしてからだ。」
「......」
依然と疑問の答えが得られないレクスはオレが渡した木刀をじーと見詰めた。
「じゃ、開始だ!」
オレの言葉が合図となり、二人は互いに距離を置き、クリスはきちんと自分自身の体を意識しながら素振りをして、オレの説明を受けていないレクスはクリスの動きを真似して素振りをした。当然途中までのレクスもクリスの最初の頃と良く似たミスをした、しかしオレはわざとそれを教えずに続行させ、そして途中からクリスにも注意した点をレクスにも注意した。
前のような同じ動きだが、前と違い少し数を増やし、昼食を取る時間の少し前になるまで休みなしに続けた。
最初の頃は二人とも歩調が合っていて、ほぼ同じ時間で一回分をこなして来た。しかし時間が経つに連れ、レクスのペースが速くなり、しかしながらきちんと注意したようにゆっくりと体を動かしている。
才能か?...いや、これは才能と言うよりも 前からこういう体を扱う感覚を覚えている て感じだな。
レクスのペースが上がった事にオレは直ぐに気付き、ちゃんとしてるからオレはレクスに注意をせずに好きに遣らせた。そして最初はレクスにも才能かあると思っていたが、レクスの数回の素振りを見る内にその考えを改めた。
レクスの体の扱いはクリスより慣れていて、その所為で全身の力でゆっくりと木刀を振り落とす時にクリスよりスムーズにそれをこなす事が出来た。そしてその体の扱い方からは 才能の賜物 じゃない事は直ぐに気付く事が出来、それが鍛錬して手に入ったものであると、オレは思った。
二人は苦を言わずにきっちりと昼食より少し前の時間まで素振りを続けた。
「それまで!休憩に入って良いぞ!」
オレの言葉に二人は反応し、手を止め型を崩して、練武場の木作りの床に座り込んだ。
「はぁはぁ、やっぱ最初は基礎からか。でも思ってたよりきついな。」
レクスは息が整うのを待たずに感想を述べた。
クリスは前にオレが教えた通りに少し息を止めた後に数回深呼吸して、荒くなった息を整えた。
「ちゃんと息を整えでから喋る事だ。クリス、息を整えてからより深く息を吸い体に行き渡るように想像し、体を巡った後にそれを全部吐き出せ。数回も繰り返せば疲れは取れる。」
オレはレクスに忠告し、クリスが疲れてるように感じ、オレ自身の方法を彼女に伝えた。
クリスはオレの言われた通りに息を体に巡らせ、さっきの疲れた顔は段々と元気を取り戻し、レクスもちゃんとオレの忠告を聞き入れ自分の息を整う事に集中した。
「リオン、お前は随分と妹の方を贔屓するな。俺にはその疲れが取れる方法を教えてくれないしな。」
息の整えたレクスの最初の一言がこれだ。
「贔屓はしていない、そもそも君は余り疲れていない筈だ。悠にも君はそれなりの体を鍛えているからな、そんな君と違いクリスはまだ体作りを始めて間もない、君以上に疲れを感じているからな。」
オレは心に思ったことを口に出す。
「...少しは贔屓してもいいのに...」
クリスは小さい声で囁き、オレはちゃんと聞き取れなかった。
しかしレクスにはクリスの言った事が聞こえたようで、何か意地汚い笑みを浮かべた。
「俺の妹もようやく自分の幸せを見つけたか。よがったな、クリス、父さんと俺より強い男で。」
何故かレクスは悪戯っぼい顔でクリスをからかうような事を言い出した。
幸せ?なんの話だ?
「なっ!お兄様!なにを言い出すの!そんなんじゃないわ!」
クリスは慌てだした。何だか前の夕食の時にマリアさんにからかわれた時の彼女に似た感じだった。
どうやら、レクスの内側はマリアさん似だな。まぁ、この二人の事だからオレは傍観する事にしよう。
「はいはい、判った判った。冗談だ、冗談、そうムキになるな。」
レクスは慣れた感じでまるで暴れ馬に大人しくさせる為に ど ど をするように両手を振り、少しだが笑顔を引き攣ってるようだ。
「お兄様なんか、もう知りません!」
クリスは ふい とそぼを向いた。




