王都の影がらの来訪者
SIDEーースミス
太陽が沈み、夜が訪れだ。
「はぁ、中々濃い一日だった。」
儂は店を閉めようとして、その間に今日の出来事を思い返して、楽しく感じながら思わず溜め息を吐いてしまった。
儂は外に出した見世物にした武器や防具を店の中に仕舞い、門を閉じようとした。
しかし夜になって全く人が居なくなった通りから足音が聞こえて、儂の手を止めた。
儂は気になり、店から出た。
「お久しぶりです、スミス師。」
フードを深く被る人物がわしの店の前に立ち、儂に挨拶して来た。
月の光のお陰であのフードが黒である事が分かる、だが満月が照らしてるにも関わらずにそのフードの下にある顔が見えない。
しかしその人物の声そして儂を スミス師 と呼ぶことに、儂は人物の正体を気付く事が出来だ。
「今日は本当にどうしようもない日だ。あのわっぱと会った日に竜とテメェと会うとは。で、何だ小童?もう二度と顔を見せるな と儂は言った筈だ!」
「小童で、僕はもう数百歳になるのですよ、スミス師。いい加減名前で呼んでください!」
目の前に突っ立つわっぱが儂の言葉に刺激を受けたようで、訂正を求めて来た。
「ふん!自分自身の流派も碌に使えない小童が何をほざくか、儂の機嫌がまだ良い内にとっとと消えろ。」
儂は目の前にいるわっぱの顔を思い出しながら小童を追い返そうとして悪態を吐く。
「そう思うなら僕に 最終奥義 を教えてくださいよ!他の技は全部極めて居ます、最終奥義際習得すれば完璧に マギウス師 以上に使い熟せてみせますよ。」
小童は儂にとんだ戯言を抜かした。
「儂はテメェみてぇな小童に教えるものはねぇ、とっとと消え失せろ!」
小童の戯言に儂は更なる悪態を吐いた。
「はぁ、じゃまた今度の機会で伺いますよ。」
小童は悪態を吐く儂に向かって溜め息を漏らした。
「そう思うならとっとと儂の目に入らない所に消えろ!」
儂は しっしっ とまるで犬や猫を追い返すよに手を振った。
「まぁまぁ、そんなに怒らないでください、スミス師。今日来たのは鍛治の依頼があったからなんです、前に言いましたよね、鍛治の依頼なら金際払えばやってくれる て、そうですよね。」
「ケェ、よく覚えてるな、小童。確かに儂はそんな事を言ったな。で、何を打って欲しいンだ、小童。」
儂は落ち着きを取り戻し、一様小童の話を聞こうとした。
「はい、もちろん‘刀’ですよ。緒方一刀流の剣士にとって刀は魂そのものなのですから。」
「刀?テメェの腰に今刺してるそれ、儂が前に打ってやった刀だろうが、今更刀をねだってどうする。」
儂は小童の腰に刺してるものを指して、不機嫌に眉を皺めた。
「スミス師も呆け始めたようですね。これは百年以上前に貴方が打ってくれたもので、遠に寿命が来てこんな風になっていますよ。」
小童はそう言って腰に刺してる刀を鞘ごと儂に渡した。
儂は刀を鞘から抜き出した。
刀が少しずつ抜き出しで来て、その刀の身にある波紋もそれに連れ少しずつ見えて来て、正しく波を打つようだった。
しかしその波紋と共に刀は半分の所に途切れ、その下にあった筈の部分がなくなっていた。
「小童、テメェ自身の未熟を儂の刀の所為にするんじゃねぇ!儂が打った刀は百年ちょっとじゃ寿命所か錆一つ付いたりしねぇんだ。」
儂は刀を鞘に納めで小童を叱り、刀を返した。
「そんな、でももうこんな風になったのですから新しいのを打ってくださいよ、スミス師。」
小童は そんな理不尽な と言わんばかりの目で儂を見て、開き直って新しい刀をねだった。
「…仕方有るまい、今日は気分が良いから打ってやっても良い。が、以前のように素材はテメェが出せ。儂はそれに似合ったものを打つ、それだけだ。」
儂は嫌々な感じで奴の依頼を受け、以前がそうしたように条件を出した。
「はい、もちろん分かってますよ、きちんと準備をしてますよ。...はい、これです。」
奴は懐に手を入れ、一つそれなりの大きさの袋を取り出した。
儂はそれを受け取り、そこの机にその中身を出した。
「これは!?小童、こんなものをどこから掻っ攫ってきた?色だけで分かる、これは竜の しかも竜王クラスのものの鱗だ。技も碌に使えんテメェにそれを倒す力があると思えんぬ。」
儂は机に出した鱗を見た瞬間、長年で積み上げた経験がこれはどう言うものなのかを儂に囁く。
「流石ですね、色を見ただけで竜王の鱗だと分かる何で。確かに貴方の言った通り僕に竜王を倒す力は持っていません、なんせあの最強と謳われる マギウス師 際も竜王を倒せないのですから。最終奥義すら習得してない僕が弟子達を集めても、倒せる事は出来ない。でも捕らわれた竜王の鱗を剥がすくらい造作も無いのですよ、スミス師。」
奴は心にも無い褒め言葉を口にしながら儂に説明して来た。
確かに、儂の知ってる マギウス は最強といえど人間の中の話で、ただの竜なら兎も角、竜王なんて到底無理の話だった、まぁ今日まではだがな。
今朝、リオンと言うわっぱから聞いた話なら、マギウス は儂の知らない所で人の輪から離れ、真の意味で最強となって、その後人知れずに逝ったそうで、そんな マギウス なら竜王だろうと古竜だろうと目じゃねぇ なんて 儂はそう思った。
まぁ、古竜は流石に無理なんじゃないか?で思ったりもするがな。
そんな 自分が最強だ と告げに来た マギウス を幻視しながら、儂は机の上にある鱗を漁った。
とんだイカレタわっぱだな。
儂は鱗を三つに分類しながら、ふっとそう思った。
何故か と言うと、やはりこの鱗だからだ。
この鱗を見て、触る、それだけで長年この職に着いた儂は分かる。この鱗はたっだの一箇所のものじゃなく、竜の四肢 その前足と後足に背中と更に尻尾の別々の四箇所あるものなのだ。別々の箇所から剥ぎ取るのは恐らく最初から儂にこれを刀にしようと思ったからなのだろう。
だからこのわっぱは好かぬ と儂は思った。
「で、こんな多く出して何振りを打たせるつもりだ、小童。」
鱗の数の多さから儂は小童から複数の刀を要求される事を予想して、念の為に確認をした。
「何振りも要らないですよ、スミス師。ただ貴方にこれらの鱗を使って最高の刀を一振り、たっだの一振りを打って欲しいんです。なにせ最強の マギウス師 以上の強さを持つ竜王の鱗ですから、貴方の腕ならきっと最強にして最高の刀が出来上がるのです。だから一振り、唯一の一振りにしてください。」
「...儂は鍛冶に妥協や手抜きはしない、全力は尽くす。で、何時取りに来る?」
「何時に成れば出来るのですか?」
儂の問に奴は聞き返してきた。
「何せ竜王の鱗は初めて扱うのだからな、急がなければ半月程になるが、急いでも一日二日の違いしかない。」
「そんなに掛かるのですか?」
儂の言う事に奴は疑問を持った。
「あぁ、初めて扱う素材 で理由もあるが、こんなに時間が必要とする最大の理由はこの鱗は竜王の鱗だからだ。」
儂は奴に疑問を解くように説明した。
「うん?どう言うことですか?」
「竜王の鱗はあらゆる魔法に耐性がある、確かに竜王の体から離れ、その耐性は少し落ちるが、だが小童 テメェの持ってきた鱗は炎竜王の鱗だ。精錬するのに魔法の炎が使えないから、唯の炎でするしかない上、炎そのものにもそれなりの耐性がある可能性があるから、精錬だけで一週間は掛かるのだ。」
儂は仕方なくさっきの説明を理解してない奴にもっと詳しく説明した。
「そうですか、では半月後に取りに来ます。よろしくお願いします、スミス師。」
ようやく儂の説明を理解した奴は頭を下げ、儂にお願いをした。
「ふん!言うまでもない、儂は鍛冶に全力を出す、ただそれだけだ。だから、小童もう用がないならとっとと消えろ、儂は今すぐに鍛冶場に行かなければならないからな。」
儂は用の済んだ小童を追い返そうとする。
「はい、僕が頼んだ事ですから、直ぐにでも出て行きますよ。では、半月後にまた会いましょう、スミス師。」
用の済んだ小童は素直に儂の言葉を聞きいれ、儂に別れの挨拶と共に再会の日時を告げ、儂の店を後にした。
「そうさ、儂は鍛冶に妥協も手抜きもしない、全力を出し尽くす。そう言う約束だからな、マギウス。」
儂は去っていく奴の背中を見て、リオンでわっぱのお陰で今までに忘れていた もうこの世にいない友人どの約束を思い出し、そいつの顔を思い浮びながらそれを囁いた。
奴の姿が無くなり、戻ってこないだろうと思い、儂は店を閉め、奴が持ってきた竜王の鱗を持って店の裏にある鍛冶場に入って夜が明けるまで、鱗の精錬やリオンの剣の鍛え直しをした。
SIDE--???
「師範、本当にあの爺さんに任せて大丈夫なのですか?」
僕はスミス師の店から離れ、その店が見えなくなる頃に一人僕より少し年上の感じの人 僕の弟子 道場の門下生の一人が僕と同じようなフードを被ったまま聞いてきた。
「あぁ、心配ないよ。あの人は口にした事は必ず遣り遂げる、例えどんな嫌な事であってもね。」
僕は弟子に答える。
「そうですか?それなら良いんですけど。」
弟子は僕の答えを聞き入れた。まぁ、当然ではあるがな。
「あの、ではどうして一振りしか作らせなかったのですか?幾ら凄くでも刀は何時かは折れるのですよ、それならいっその事あの爺さんがまだ生きてる内に多く作らせた方が良いじゃないですか?」
僕は前へと進み、後ろに着いてくる弟子は御尤もの質問をしてきた。
その質問に僕は口が裂けるような笑みを浮かべた。
「君は馬鹿で甘いな。」
「えっ!?」
弟子は僕の言葉に驚いた。
「あれ程の素材だ、あの人の腕なら竜王の鱗を最高活用して、最強な刀を作り出すに決まってる。それこそがその刀があれば竜王を倒せるくらいの刀が出来上がるんだ。それを多く作らせて、万が一に他人の手に落ちだらどうする?だから、唯一の一振りを要求したのさ、この馬鹿者。」
僕は馬鹿で不甲斐ない弟子に軽~く説明した。
「そうですか?...あぁ、そうですね、流石は師範です。最強の一振りを完遂させて、それを手に入った途端にあの爺さんをこっ」
「おっと、君の頭も切れるようになったな。でも、そんな事を軽々口にしない事だ。あの人は僕の尊敬するたっだの二人の中の一人だから、それ以上口にすると、...分かるはよね。」
僕は口の過ぎた弟子を責めて、微かな殺気を出した。しかし、弟子はなんでもない顔をしたまま僕の後を追い、僕に向って 心にもない事を みたいな意味を篭った笑みを浮かべた。
心外だな、ちゃんと尊敬してるのに、でもその人と一緒の時があの人が一番尊敬してるのだから。だから僕がちゃんとあの二人にあわせてやらなきゃ、ねぇ。
僕はそう思いながら、弟子とこの都の夜の中に溶け込み、姿を消え去った。




