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最強の剣の継承者〜その剣、俺が超えてやる  作者: 元始名
第一章 最強へと踏み出した第一歩
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竜王 ファフニール

SIDEーーリオン


「お前本当に魔法が使えないのか?」

オレが三人の目の前まで来た途端視線がオレの所に集まった、しかしレクスはそれを気にせずにオレに聞いて来た。


「あぁ、オレは本当に魔法が使えないんだ。今はそんな事より一つ要件を伝えないといけない、ジュリオさん。」


「そんな事でおいリオンおっ」


「何だ?リオン。」

オレの呼び声に反応して、ジュリオさんは突っかかってくるレクスの言葉に割り込んでオレに短く返事をした。


「はい、ちょっと行かないといけない所が出来だのでこれからそこに向かうから、一言を伝えに来ました。」


「リオンまた何処に行くの?」

ジュリオさんじゃなくクリスの方が聞いて来た。


「何処に行くのか、オレも知らない。でもそんなに遠くは離れていない筈だ、今日中に帰ってこれるから、夕食にはきっと間に合う筈だ。」


「本当にそうなのか?リオン。」

今度はジュリオさんがオレに聞いた。少しだが、眉を皺めでいるのが見えた。


「はい、そうです。あの、一様‘人’を待たせてるので、もう行きます。」


オレは反転し、三人に背を向けた。


「ちょっ、リオン、気を付けてね。」

クリスはオレを呼び止めて、近くまで寄って来た。


「…あぁ…行ってきます。」

こんな状況で何を言えば良いのか物心ついた頃から人と離れて暮らしているオレは考え込み、必死に言葉を紡いだ。


「うん!行ってらしゃい!」


久しぶりに、本当に久しぶりに人に 行ってきます を言った。そして久しぶりに人に 行ってらしゃい を言われた。


「……」

久しぶりに人と 行ってきます と 行ってらしゃい を交わすオレ、そんなやり取りになんか擽ったく感じた。


オレは無言のまま逃げるように、三人の所から離れて行き、べオルフの所に向かった。



『もう良いのか、小僧。』

オレはべオルフの目の前に辿り着き、あいつはオレに聞いてくる。


「あぁ、問題ない。それより早く行こう、場所がわからないから先導を頼む。」

オレはべオルフを催促する。


『それ何だが、小僧、我が運んだやろ。汝の足を信用してない訳ではないが、これから我ガ愚息を治しに行くのだ、治そうとする汝に労を掛ける訳にはいかぬのだ。』


「……」

オレは乗るかどうかについて考え込んだ。


『早よせんぬか、小僧!』

さっきの立場が逆転したように、べオルフがオレを催促した。


べオルフの催促にオレは折れてあいつの背中に乗った。


『しっかり掴まれ小僧。行くぞ。』


オレが背中に乗ったのを感じ、べオルフは翼を広げ、力強く羽ばたき、音際も置き去りにしそうな勢いで飛んで行った。



約二時間後


「なぁ、未だなのか?」


ベオルフの背中に乗って二時間くらい経ち、未だに目的地に到着していない事に退屈を覚えたオレはベオルフに聞いた。


『もうすぐ着く、目の前にあるあの山の頂だ。』


ベオルフはそう言って速度を上げで目の前にある山の麓まで打つから程の勢いで飛んで行った。


その麓の近くに着いた途端、オレが背中に乗っているのを気に掛けもしないまま急転向して、地面と垂直した線を描くように真っ直ぐ上に飛んだ。


オレはしっかりとベオルフに掴まり真っ直ぐに前を見据えた。


しかしその先に頂を見えず、それを包むように広がっていく雲海だけが見えた。


濃くて先の見えない雲海を前にべオルフは臆せずに減速しない、それ所か翼をより強く羽ばたき加速した。


加速したべオルフとその背中に乗ってるオレは雲海に突っ込み、べオルフの翼が羽ばたく度に周りの雲を掻き分けて行く。


数秒もしない内べオルフは雲を突き抜けた。頂を通り越した所為かべオルフは翼を羽ばたく事を止め、ただ広げたままに固定して、加速する事を止めた。


前にべオルフが加速した後のその勢いがオレを乗せたべオルフを前へ 上へと送り出していき、高度が上がるに連れその勢いも段々と減っていく。そしてもう勢いが消え掛け、ほぼ完全に無くなる時、べオルフは反転し下に向いた。


べオルフはもう一度翼を羽ばたいて加速した。この加速でべオルフは凄い速度で飛び、一秒も経たない内に頂の直ぐそこもできて、べオルフは慣れた感覚で翼をよりいっそう力強く羽ばたき急停止した。


べオルフはゆっくりと高度を下げ、慣れたようにゆっくりと着地した。


「もう着いたのか?...よいしょうと。で お前の息子は何処に居るんだ?」

オレはべオルフの背中から飛び降り、周りを見回した。


『あぁ、案ずるな。我が来た事は直ぐに奴の耳に入る、奴の方から顔出してくるであろう。』


べオルフの言葉を聞き、オレは気配を探り、直ぐに一つべオルフより一段と劣ってる気を感じ、その気配の主は明らかにオレ達の方に向ってきた。


『ファフニールか?姿を見せろ。』

べオルフは誰かの名前を呼んだ。


『はっ父上。ファフニールは此処に。』


空からべオルフより一回り小さい竜が一体オレ達の前に降り立ち、べオルフの前で頭を垂れて平伏せて名を名乗った。


『ファフニールよ、汝はもう王であろう、我に平伏す必要は無い、面を上げろ。』


『はっ。』

ファフニールはべオルフの言葉をまるで命令と思うように短く返事をして頭を上げた。


『うん?』

頭を上げたファフニールはオレに気付き、睨むようにオレを見据えた。その視線からは微かだが殺意を感じた。


『案ずるな、ファフニールよ。こやつはリオン、我が連れてきた者だ、そう睨む必要は無い。』

ファフニールの意を察したべオルフはオレの紹介をした。


「火竜の王よ、オレはリオンだ。君の父親との取引で君を治しに来た。」

オレは一歩手前に踏み出し、自分自身の紹介をした。


『竜の王を名乗り上げた私に矮小な人間が治しに来ただと。小僧、父上の連れだからと言って、身の程を弁えろ!』

ファフニールから感じる殺意が少し高くなり、その中に少し怒りや憎しみをも感じた。


『それを含めて 案ずるな と言った、ファフニールよ。傷をこやつに見せてやれ。』

殺意の高まりを感じたんだろうか知らないけど、べオルフはオレとファフニールの会話に割り込んだ。


『......』

ファフニールはべオルフの言葉に戸惑い、無言のまま背中を見せた。


「...えげつないやり方する野郎共だ。」

ファフニールの背中を見て、そのえげつなさにオレは思わず悪態を吐いた。


ファフニールはべオルフと同じく炎の竜だ、しかもその中で古竜に限りなく近い力を持つ竜王である。


ファフニールの体を覆う鱗は紋様は無いものの、その色はべオルフと同じ色鮮やかな真紅の色だ。しかし所々にその鱗が剥がされ、下にある皮膚や肉が剥き出しにされていた。しかも一箇所にだけでなく背中も、四肢も、尻尾を覆っていた鱗際も剥がされた。


こんなえげつないやり方にやられたファフニールに微かに同情の念が浮かび上がる、しかし竜王に対しての同情は汚辱に等しい、だからオレは同情の念をこんな仕打ちをした連中に対する怒りに変えた。


こんな事をする奴に二度と 緒方一刀流 の名を口にしないようにしてやる。


怒りを覚えたオレはそう考えながら 次元宝庫(じげんほうこ) から 薬神の脇差(やくしんのわきざし) を取り出し、望む効果を思い浮かべる。


この 薬神の脇差(やくしんのわきざし) に薬の材料や薬の名称等を知る必要が無く、なんの代償も無くただその効果を強く思い浮かぶだけ、ただそれだけで良い。だからオレは考え、身体の欠損を治す 効果を望んだ。


オレは効果を望み、脇差を右手に持ちながらファフニールに近付き、その背中に剥き出しになった皮膚に当てた。


『なんだ!?おい、小僧、貴様何をした!全身が痒くで堪らん!』


ファフニールは全身が痒く感じながら成す術が無く、じーとして必死に堪えた。


「ギュァーーーー」

しかし堪え切れずにファフニールは雄叫びを上げた、そしてそれに連れ体の欠損 剥がされた鱗が一瞬にして生えた。


「これでいいだろ。じゃオレはもう帰る、あぁ、帰りはオレ一人で良い。乗り心地は最高だが、ただじーとしてるのは少し退屈だ。」

オレは落ち着きを取り戻そうとするファフニールから目を背け、べオルフにそう言いだ。


『そうなのか?...なら仕方有るまい、麓まで送ってやろう。』


「いや、大丈夫だ、距離的にそんなに変わらないさ。じゃな、べオルフ。」

オレはべオルフの申し出を断って、軽く別れの挨拶をして、さっき来た方向に向けた。


『あぁ、しばしのお別れだ。ファフニールを治してくれた事に感謝する、彼奴らの事は汝に任せた。そうだ、これをお礼に上げよう、受け取るが良い。』

べオルフから感謝の言葉と共に、前に約束した通りにアイツらの事をオレに任し、そして 礼 だと言って何がをオレに渡した。


「...あぁ、受け取って置く。アイツらの事は任せろ。」


オレはべオルフから貰ったものを 次元宝庫 に仕舞って軽く頷き、べオルフに背を向け走り出した。そしてそのまま地を蹴り空に飛び上がって、全速力で駆け抜けた。

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