竜との交渉
SIDEーーリオン
ドラゴンレイジ 古代の言葉で 竜の怒り を意味するものた。怒り狂った竜は体から怒りの炎のように赤いオーラを身に纏う とそんな竜の姿を現す言葉だ。
しかしあいつから そう今目の前に居るべオルフの話によると全く別のもののようだった。
べオルフの話によると ドラゴンレイジ 竜達が自身に掛ける竜魔法の一つだ。
古竜の言語と違い竜魔法は竜であれば使うことが出来る、逆に言えば竜しか使えないことになる。
そんな竜魔法の中の一つが 竜の怒り だ。
名前から察するに理性を対価に力を上げるような魔法だが、実際の効果と言えば真逆だ。
確かに竜の怒りの感情の影響で出現し易いが、実際の効果は竜の精神を集中させ体の中に眠る力をほんの少しだけ体に纏わり付かせ、全体の能力を上げる とこんなものだ。
間違い易いのは竜達の持つもう一つの魔法、怒りを超えた真の怒り 竜の憤怒 だ。
べオルフから聞いた話だとこの二つの魔法は名前こそ似ているが効力として真逆の位置にいると。
竜の憤怒こそが人が一般的に認知してる竜の怒りのような効力を持つが、天と地程の威力の差があるんだ とあいつ言う。
そんな似ていて真逆な効力を持つ二つの魔法にもう一つ似てる所がある。
それは弱点だ。
この二つの魔法を発動してる最中に竜の体のある所を強烈な衝撃を与えると、発動は停止して正常な状態に戻る。そのある所と言うのは 逆鱗 の事だ。
さっきオレが剣の柄で叩いた所がその 逆鱗 だ。
この 逆鱗 もあいつの話によると世間の人達の認識と違うらしい。
一般的に 逆鱗 とは竜の鱗の中で一番柔らかい鱗の事で触るだけで竜は必ず激怒する と、しかし実際は竜の逆鱗はその身に纏う鱗の中で一番硬く、触る所か衝撃にも高い耐性がある。
逆鱗は衝撃に対し高い耐性があるが、それに一定以上の衝撃を与えると竜は一時的に物凄痛みを感じるが、その後はゆっくりと平常時の状態に戻る。
今目の前にいるあいつのようにな。
『小僧、何故我の邪魔をする?』
べオルフの言葉がオレの頭の中に直接響いてくる。
「何故 てお前の方から攻めて来たじゃないか!オレは反撃しただけだ。」
オレはべオルフの頭と同じ高さに昇り、あいつの真正面から言葉を交わす。
『ふん!言い訳にもならんぬな、小僧!汝なら我の攻撃から逃げ切り事は容易い、しかし汝はそれをせずに邪魔をした。覚悟はいいな、小僧!』
折角オレが無理矢理に正常な状態に戻したのに、べオルフからはまた赤いオーラが見え隠れする。
「落ち着け、オレは別に邪魔をしたい訳じゃない。オレはお前の気を感じたから会いに来ただけだ。だがお前が正常な状態じゃないから元に戻したまでだ。」
『それを邪魔だと言うんだ、小僧!我はこの都を滅ぼしにやって来たんだ、これ以上邪魔をするなら小僧だろうと灰にしてやるぞ!』
あいつから見え隠れするオーラは徐々に赤い色から真紅になって行き、殺気を込めた目がオレを睨む。
「この都を滅すなんてさせない、大切な人がいるこの都を滅すなんて絶対させない!」
オレは腰を落とし、剣を鞘に納めて構える。
『小僧、天空の覇者たる竜に、この世界の最高種たる竜の頂点に立つ我に刃向かうか!我の業炎の前に灰が残ると思うなよ、小僧!』
べオルフも闘いの姿勢を見せ、鋭い牙がある口を微かに開き、そこから短い炎の息が吐き出した。
「…なぁ、一つ聞いていいか?」
オレは構えたままべオルフに質問した。
『何だ!小僧!』
「お前は息子と嫁さんに会いに行ったんじゃないのか?何故この都を滅そうとする?」
『人の口で良く言う。我が会いに行った息子にあんな屈辱を与えた人間がこの都に居る、だから彼奴らにはこの世から消えて貰う!』
「屈辱⁉︎お前の息子は竜王の筈だろう、今この都に居る人間の中に屈辱を与える事が出来る奴がいると思えない。この都に居る奴はオレを除けば皆並みの剣士の力量しか持たない筈だ、幾ら集まったて出来る訳がない!」
『小僧、我が間違える筈が有るまい!彼奴らは 緒方一刀流 の剣士と名乗り、怪しげな魔道具で我が息子を罠に嵌め、殺せぬとわかった途端魔道具で息子の鱗を無理矢理剥がしたのだ!』
べオルフの感情の昂りに連れ、あいつから見え隠れする真紅のオーラがはっきりと見えるようになって行った。
オレは即座に反応し、空を蹴って一瞬であいつの後ろに回り込み、剣の柄でべオルフの逆鱗をさっき以上に力を込めて叩いた。
「小僧ォォォ----!」
今まで直接頭に響くものと違い、べオルフの口から発した人間の言葉だ。
「悪いな、お前の息子を襲った奴らが 緒方一刀流 と名乗る以上、この借りはオレが付かなければならない。…だから奴らの事、オレに任せてくれないか?その代わりと言っじゃなんだが、お前の息子をオレが治してやる。」
『ふん!いかに汝が緒方一刀流の継承者と言えどこれは譲れぬな。第一汝は魔法が使えないのにどうやって我が息子を治すと言う。』
さっきの怒りが消え、前と同じくべオルフの言葉が直接頭に響いた。
「あぁ、それについてなら心配する必要はない。最近偶然でこんなものが手に入った。」
オレはそう言いながら 次元宝庫 から 薬神の脇差 を取り出し、べオルフに見せた。
『薬神の脇差 か?確かにそれなら治らぬ事は無いだろう、しかし彼奴らの事を任せる何ぞ…』
オレが言わずにべオルフは自身の目利きでオレの手にある脇差の正体に気付いた。
「頼む、これもあの人から託されたものの一つだ。」
オレは真剣な目でべオルフを見ながら、頼んだ。
『マギウス の事か。……それならやむを得ぬな。…良かろう、我ガ愚息の事は後でいい、彼奴らは汝に任せた。』
オレが言ってた あの人 が マギウスさん と分かるあいつは引き下がってくれた。
「いや、治すなら早い方が良いだろう。お前とオレの足なら日帰りで行ける距離だろう?」
『汝の速力ならばそれも可能であろう。しかし良いのか?先に我ガ息子を治しては我がまた怒りに駆り立ててこの都を滅すかもしれんぞ。』
「あぁ、お前の事はそれなりに信頼して居る、だからお前に信頼して貰う為にも先ずはお前の息子である竜王を治す、問題はない。仮にお前がまた襲って来ても、その時はまたお前を止めれば良い、それだけの話だ。」
『もし我を汝が止める事が出来なかったとしたら、どうする。』
「そしたらお前を真っ二つに斬り裂くだけだ。」
オレはそう言いながら、不敵な笑みをべオルフに見せた。
『わかっかっ、小僧、言うようになったな。あの者の剣を受け継いだ汝なら出来なくはないが、我はそう容易く斬らせたりはせんぬぞ。』
べオルフもオレに向けて不敵な笑みを浮かべた。
「じゃ、早速お前の息子の所に行くぞ、場しっ」
「「「リオォォォン!」」」
オレの言葉を覆い被る声が下から伝わって来た。
オレは声が響く方に向き、その声の元を探した。
空に居るオレはその声の元を見付けるにはそんな時間掛からなかった。
その声の元に居るのはさっきの建物の前に立ってるあの三人 ジュリオさんにクリスとレクスだ。
『あれが汝が言ってた大切な人か?小僧。』
べオルフもあの三人を気付き、オレに聞いて来た。
「あぁ、悪いちょっと待ってくれ。」
『それくらい構わんぬ。行って来い。』
オレは空を蹴って、三人の所に向かった。




