レクスと
SIDE--リオン
スミスさんの鍛冶屋から離れ、オレは少しシンミリとし居た。
そんなオレに影響されたんだろうか、クリスも黙々と口を開かなかった。
「...クリス、色んな所を見れたし、スミスさんにもあった。もうそろそろジュリオさんの所に行く時間じゃないか?」
オレは切り出して、クリスに時間を聞く。
オレの言葉を聞いてクリスは空に浮ぶ太陽の位置を見て、時間の確認をする。
「えっ、えぇ、確かに時間的にもう行かないと不味いけど。...他に見たい所はないの?」
クリスはオレに聞いてくる。
「あぁ、もう無い。さぁ、行こう。」
オレは短く返事をして、そして もう大丈夫だ と意味を込めた笑顔をクリスに見せた。
「...そう、じゃ、行こう。確か、こっちよ。」
オレの笑顔を見て、クリスはオレの言いたい事を判ってたようで、行くべき方向を指して歩き始めた。
そんなクリスに案内を任せて、オレはクリス付いていきその隣で歩いて行った。
十数分後、オレとクリスは王城から少し離れた場所にある一つの建物の前に立っていた。
「あの、すみません。」
クリスは貴族の身分を意識せずに建物の中に向って誰かを呼んだ。
「はーい、只今。あのどうちらさ、あらまあ、クリス様ではありませんか!?お兄様を見にいらしたのですか?おや、後ろに居るのは誰かしら?もしかしてクリス様のボーイフレンドとかですか?」
建物の中から一人ジュリオさんの屋敷に居る侍女達とは少し違う侍女服を着た女の人が中から出てきた。
女の人はクリスを様付けに呼び、親しそうに雑談感覚でクリスに聞いた。
「いっ、いいえ、そ そこの彼はただの連れで、あのわたし達の前にわたしのお父様が来ている筈ですが、お父様はわたし達の事を言ってなかったのですか?」
クリスは何かに慌てて、オレの事を指しながら ただの連れ と言って、またおの女の人に聞き返した。
「あら、違ったの?ごめんなさい、私はてっきりクリス様にも春が...あ クリス様のお父様でしたら確かにいらしゃったんです、今は恐らくレクス様と一緒で練武場の方に居ると思います。」
女の人の話の途中、一瞬クリスを見て何かの話から逸らし、さっきのクリスの問いに答えた。
あの一瞬で何故か クリスが殺気を放った のを感じ取った、何故と思う以前にオレはクリスの成長に教える側として軽く感傷の念を感じた。
子は皆親の心を知らずして、素早く眩しく成長する 何じゃでな。
「そうですか、判りました、ありがとうございます。...行くわよ、リオン。」
クリスは軽く女の人に一礼して、後ろに居るオレに向けて言った。
「あ あぁ。」
まだ教え子の成長に嬉しく感じながら、感傷してるオレは殆ど思わずに反応したように、クリスの呼び声に応えた。
此処にくる道のりのように先頭にクリスが進み、オレがその後に追い掛け、隣で歩く。
「クス。」
微かな笑い声に気付き、オレは前に進みながら頭だけを振り返った。そしたらさっきの女の人が嬉しそうに笑ってるのが見だ。
何が良い事でもあったのかな?とまるで昨日のマリアさんのように微笑むあの女の人を見て オレは思った。
「なぁ、クリス、さっきあの人の言う ボーイフレンド てなんだ?」
オレはクリスに疑問を告げる。
「そ それは...」
クリスは何か歯切れが悪く、答えが出ない。
「それは?」
オレは問い掛ける。
「しっ」
「しっ?」
「......知らない!」
オレの追い討ちにクリスは怒鳴る様な声で言い捨て、ちょっと早足で前へ進んだ。
「おい、ちょっと、クリス!クリスでば...」
オレを置いて進んでいくクリスの名前を呼ぶオレ。
しかしクリスは後ろからするオレの呼び声を気にしないまま前へと進み、オレは答えを貰えないまま彼女に付いていった。
歩いて数分、クリスのさっきの様な気の荒ぶりが治り、オレとクリスは足並み揃えてさっきの建物の一部である 練武場 て所に到着した。
練武場はその名の通りで、外から見ると木作りで凄く大きく感じた。
中を見ようとすると、門が無くてただの広い空間が広かって、十数人くらいは余裕に入る程大きい。全体的に見るとまるで マギウスさん の記憶の中の 道場 みたいだった。
「おぅ、ようやく来たか?こっちだ、リオン!クリス!」
オレ達を発見したジュリオさんはオレとクリスの名前を呼び、その呼び声でオレ達もジュリオさんに気付き、そっちに向った。
「遅かったじゃないか、何処まで案内したんだ?」
ジュリオさんはクリスに聞いた。
「......王都でそれなりに重要な場所とスミスさんの鍛冶屋を案内しました。」
クリスは少し思案して、ジュリオさんに答えた。
「えっと、貴方がレクスさんですね。」
ジュリオさんの隣でチラチラとオレ見る男にオレは声を掛けた。
その男は逆立ちしてる赤い短髪でその髪を止めてるように深い灰色のバンダナをしている。そしてその体はいかにもの魔法師の細身でオレよりも少し高い、しかし服の上からでもわかる良く程に体の筋肉が引き締まっている。
「いかにも俺がレクスだ。お前がリオンで奴か?」
その男 レクスさんは何故か挑発の態度を取った。
「おい、レクス。」
ジュリオさんは挑発的なレクスを止めようとする。
「大丈夫ですよ、ジュリオさん。そうだ、オレがこれから貴方...いや 君とクリスに剣を教える、リオンだ。」
ジュリオさんはオレの言葉を聞き入れ引き下がった。そして挑発してくるレクスに対し、オレはオレより年上のレクスを君呼ばわりにして、更に挑発で返した。
「面白い、この俺に教えるつもりなら、さそかし強いだろうな。なぁ、どうだ。この俺とも戦ってみるか?」
レクスは皮肉交じりの言葉と共にオレに戦いを挑めた。
「良いだろう、君が 教え子が望むなら、教える側に居るオレは当然それを受ける。...ジュリオさんとクリスはそのまま見てて良いよ。」
オレはレクスが挑めてきた戦いを受け、大きな戦いにすらならないから大きな空間を必要としないと思い、ジュリオさんやクリスにそのままで良いと言った。
「なめるなよ、リオンとやら!俺は父さんのようには成らないぜ!」
レクスはオレが彼の舐めているのを判り、魔法師のように距離取らないで逆にオレとの間合いを詰めてきた。
レクスは直ぐにオレの前に踏み込ん来て、そのまま拳を握り締め、オレを目掛けて殴り込んできた。
こうしてオレとレクスの戦いは始まった。そしてそれと同時に終った。
レクスが踏み込むと同時にオレは構えせずに右手を剣の柄に添え、間合いを確認して、一気に引き抜く。
オレが剣を引き抜こうとする動作を見て、レクスは 狙い通り と言わんばかりの笑みを見せた。
あぁ、こっちにとっても狙い通りだ。
そんな笑みを浮ぶレクスを見て、オレも同じ表情で返した。
オレは剣を引き抜く勢いに乗って高速の初太刀を放ち、刃がレクスに届く前にオレとレクスの間に一枚の透明の壁が出現して、ジュリオさんと闘った時に使われたものと同じ奴だ。
緒方一刀流裏奥義 斬鉄
オレは右手に更なる力を入れ、数分数里の狂いも無くレクスの防壁の一箇所に神速の斬撃を重ね、そのまま防壁を斬り裂いて、レクスの喉の前に寸止めした。
防壁が切り裂かれた事と共に剣が自分自身の喉笛の前に寸止めされた事に驚き、拳を振り上げたまま足を止め、オレの剣の剣先を見詰めて固まった。
隣で観戦してるジュリオさんも固まって、流石に技の事を知っているクリスはこんなに驚かなかったようだ。
オレは固まってるレクスを見て、そのまま剣を退き、鞘に納めた。




