王都にて
翌朝になり、オレとジュリオさんそれからクリス三人は朝食を済まし、馬車に乗った。
その馬車は中々の大きさで、御者はソリュウス男爵家に長年仕えた者らしい。
オレ達三人は留守番をするマリアさんに挨拶した。そして御者は鞭を振り、馬を走らせた。
ソリュウス男爵家は王都からそれなりに離れていて、馬車で行くのも十数分はかかる距離だ。
王都へ行く途中、オレ達は(主にオレとジュリオさん)クリスの稽古について話し合った。
どうやらジュリオさんは昨日のオレとクリスの稽古を見たらしいが、最後まで見てなかったから色々と質問をして来た。
稽古をする所がジュリオさんに見られたと聞いたクリスは何故か黙り込んだ。心なしか顔が少し赤く染めてるように見えた。
ジュリオさんの質問にオレは丁寧に答え、その答えになんとな〜く分かるとジュリオさんは言った。
そんな和気藹々と言えるかどうか分からない時間が過ぎ、オレ達は王都に着いた。
「ラッセ、夕方時にまた頼む。」
「はい、ジュリオ様。どうかお気をつけください。」
オレ達は馬車から降りて、ジュリオさんは御者であるラッセさんに話し掛けた。
ヒヒン
馬の唸り声と共に、ラッセさんの馬車は屋敷に向かって行った。
「それじゃ、俺は先にレクスの所に行って話を付けてくる、君達は後で来ると良い。クリス、リオンと王都を少し見て回ると良い。レクスのいる場所は知ってるだろう?」
ジュリオさんはクリスに言いつけた。
「わかったわ、お父様。行きましょう、リオン。」
クリスはジュリオさんに返事した後、オレにそう言いながら、先行して此処から離れようとする。
「あぁ、今行くよ。では、ジュリオさんもお気をつけて。」
「あぁ、楽しんで来い。」
オレはジュリオさんと別れを告げた後、直ぐにクリスの後を追った。
王都の城門をくぐり、そのまま大通りを進むと多くな人がいて、周りを見るとそこが市場だと分かる。
道路の両側に様々な露店や店があって、その行き来する人も沢山いる。
朝から活気が溢れ出て、賑やか の一言で片付けられる程のものじゃなかった。
聖天の谷 で十五年間の生活してきたオレはこの人集りに驚き立ち止まった。
そんなオレを見て、クリスが面白がっているように笑う。
少しの時間が過ぎ、オレは心を落ち着かせた。
クリスはさっきジュリオさんに言われた通りにオレをあっちこっちを連れ回した。
クリスの案内で鍛冶屋にも行った。
最初は行く予定のないが、オレがクリスに頼んで、そして訳を聞かないままクリスは案内した。
「らっしゃい!クリスの嬢ちゃん。どうだったあの鎧は?」
鍛冶屋にいるただ一人の男がクリスに挨拶する。
「えぇ、あの鎧は良かったわ、スミスさん。でも、稽古には使えないそうよ。」
クリスは悪戯ぽい目でオレの方を見る。
どうやら鍛冶屋の人のスミスさんとクリスの言う鎧は昨日の朝クリスが着ていた鎧の事らしく、クリスはそれをわざとオレに振った。
「あの鎧でしたら確かにオレの稽古に使えないものです。」
オレはスミスさんに正直に話した。
「なんだと、小童?儂はてめえのような鍛錬のいろはも知らねぇわっぱに使えないと言われる程柔なもんは作ってねぇんだよ!」
スミスさんはオレを怒鳴ってきた。
「そうですか?あの鎧は耐久力や対魔対人などの性能を重視しすぎて、その為最も重視すべきものを見失った。だからあれは使えないと言ったんだ。」
オレはスミスさんに自分自身がその鎧に対する感想の述べた。
「見る目はあるようだが、やはり判っておらぬこわっぱでとこか。鎧に耐久力や対魔対人の性能こそが全てだ、その他になにがあると言う?」
「鎧を纏う人ですよ。あの鎧を纏うのはクリスだ。だが、あの鎧はクリスに合っていないんだ。」
「なにを言う、その鎧は儂がクリスの嬢ちゃんの為に作ったもんだぞ!」
オレの言葉に反論してくるスミスさん。
「クリスは魔法を習得している、そしてこれからオレがクリスに教える緒方一刀流にはそのような性能を必要とせずにただ動き易さを追求した鎧の方が良いのです。」
オレはスミスさんに説明をする。
「緒方一刀流だと!?わはは、困ったもんだな、どいつこいつも出来もしない流派の名を担ぎ出して堪ったもんじゃねぇな。てめえが本当に緒方一刀流の使い手ならこれを斬りさえて見る!」
スミスさんは緒方一刀流を聞いて、態度を更に悪くした。
スミスさんは一つの金属の塊を持ち出した。
その金属の塊は掌のような大きさだが、かなりの重量があるらしくスミスさんは両手で持ち上げ、そこら辺にある鋼で積み上げて作った台の上に乗せた。
ゴン
その金属の塊を台に下ろす時凄まじ音が響いた。
「それを ですか?」
オレはその金属の塊を指してスミスさんに聞いた。
「あぁ、これだ。斬れねぇつでんなら、別に斬らなくで良い。だが、その時はかの流派を勝手に名乗ったことに付いて謝って貰う、それと二度とそれの名を口にするな!」
スミスさんから微かに殺気が漏れて、この流派事を自分が作った鎧より大事してる事がはっきり分かる。だから、オレもこの流派の名に恥じぬようにしないと。
「…分かりました。約束しますよ、スミスさん。」
オレはスミスさん自信有り気な笑顔を見せた。
「ちょっ、リオン。大丈夫なの?こんな約束して。」
隣に居るクリスは心配してくれた。
「大丈夫だ。安心しろ。」
オレはクリスから顔を背き、あの金属の塊に向きながらクリスに返事をした。
オレはあの金属の塊を乗せてる台に近付き、構えもせずにそっと左手で鞘を掴み、右手を剣の柄に添える。そして一瞬に両手に力を入れ剣を引き抜き、金属の塊を一閃して、ゆっくり剣を鞘に納めた。
キン ドン
剣が鞘に納めた音と共にあの金属の塊は綺麗に真っ二つに斬り裂かれ、その所為でアンバランスになり倒れた。その倒れた衝撃に鋼で積み上げた台か崩れてしまった。
「こっこれは、まさか裏奥義斬鉄⁉︎」




