剣の稽古…の前に
SIDE--リオン
オレは自分が口調や他人の呼び方を変えるから、クリスにも自分のこと呼び捨てで良い とクリスにも呼び方を変えてもらった。
今はお互いの呼び方を変え、オレは彼女のことを クリス と呼び捨てにし、クリスもオレを リオン と呼んだ。
「じゃ、クリス。そろそろ稽古を始めようか?」
オレは言い出す。
「良いわよ、でもその前に一つだけ聞きたい事があるの。」
クリスはそう言う。
「聞きたい事?何だ?一つだけ言わずに何でも聞いて良いんだ。何せもう家族だろう。」
オレは少し悪戯心を込めて、クリスをからかうように言う。
「ゴホン、ひ 一つで良い。…リオン、あなた本当に魔法が使えないの?」
クリスはさっきに自身の言ってた言葉が返ってきて自身を恥ずかしいと感じ、顔を赤くして、態とらしく咳払いして話を進めた。
「あぁ、ジュリオさんにも言ったが、オレは魔法が使えないのだ。」
オレはクリスの問いに答える。
「本当に?でも、あの襲撃の時もあの朝にあなたに襲い掛けた人の時もあなたは動いていないのにあの人達は全部倒れ込んだのよ、それにお父様の バリア も簡単に切り裂いたりして。聴いたことがないけど、こんな事が出来るのは魔法以外にあり得ないわ!」
クリスは少し興奮するようにな声で聞き返す。
「あー、それ確かにそれら全部オレがやったんだけど、魔法じゃないんだ。あの襲撃者達を倒したのはオレが編み出した技 いや あれは技とは言えないが、まぁ、そんなものなんだ。ジュリオさんのバリアを切り裂いたのはすでに存在してるものだ。
元よりオレはマナの保持してた量は多いが、それを魔力に変換することもそれをただ放出することもオレにはできないんだ。だから、あれは魔法じゃないんだ。」
オレはクリスに説明する。
「貴方の技?剣を使った技はそんな事が出来るなんて聴いたことがないわ!貴方は本当に二十歳なの?わたしとそう変わらないのに、一体どうやってそんな技を作ったの?」
クリスはオレを質問責めにした。少しは高揚してる気を抑えて欲しいが、まぁ、マギウスさんの記憶から 技を編み出すにはかなり難しい て事をよく知っている。
「今年が本当に創魔暦 315年なら、オレは二十歳で合ってるよ。あの聖天の谷で十五年も生活したのならこれくらいは身につくさ。」
オレはクリスに答える。
確かに、マギウスさんの言葉で言うと 技を編み出すには 天より授かった才、それを支える生涯を掛けた鍛錬で作り上がる肉体と一時の閃き この三つが必要になる。
オレからすればオレと同じように聖天の谷で十五年も生活してその上マギウスさんの記憶を読んでいたなら出来て同然と思う。
オレは聖天の谷で十五年間ずっと鍛錬を重ね来た、もうそれがそこの生活と言って良いくらいにだ。それが聖天の谷で生活していくには当たり前なんだ。
だからオレは別に技を編み出す事自体に凄いとか思っていない。
「十五年も⁉︎あの聖天の谷で何処なのかしら?」
オレの話にクリスは驚き、とっくに一つを超え、また質問してくる。
「うん?すぐそこだよ、ここら一帯の山々が囲まれているのが聖天の谷だ。強くなりたい者達の聖地だそうだ。」
「ふぅん。これも聴いたことがないな、万魔の谷なら聴いたことはあるけど。…ねぇ、どうやってあの襲撃者達を倒したの?」
本来技の秘密を教えられないが、まぁそれは技じゃないし、元々後で教えるものだから、オレは答える。
「あの襲撃者達を倒した技は鍛練を重ねれば君も出来るようになるから、今知りたいのなら理屈だけを教えてやっても良い。」
「そうなの。じゃ教えて。」
クリスは頷き、聞くことに集中した。
「殺気と言えば分かる?」
「えぇ、お父様から聞いたことがあるわ。」
「殺気を浴びたことは?」
「一様あるにはあるんだけど、何か関係してるの?」
「あるよ、浴びた事があるなら分かると思うが、凄まじい殺気は恐怖を与える。生物は大き過ぎる恐怖から身を守る為に一種の假死状態に落ちるんだ。気をしっかり持ってばその効果は減るが、その気が緩んだ時に一瞬だけ殺気を相手に浴びさせ意識を奪う、それだけだ。」
ふぅん と頷いているクリスは本当に分かったのかは知らない、まぁ、鍛えて行けば分かるようになるから大丈夫だろう。
「じゃ、今度こそ稽古を始めるぞ。」




