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絶対攻撃力1  作者: 桜毛利 瑠璃
第一章
21/35

21.秘密の暴露

 朝起きてきたシュン達を、何事もなかったようにダイニングに迎えいれた。

 俺は、アレを片付けたあと準備を始めた朝食を、順番に出している。


 今朝のメニューはサラダ、豆のスープ、魔物肉のハンバーグと目玉焼きを挟んだ焼きたてパンだ。


 俺とチモシーは、魔物肉のハンバーグと目玉焼きを、レタスと豆腐ハンバーグに変えている。


 4人とも旨そうに普通に食べている。それを見て俺も普通を装って食べ始めた。


 なんせ俺は朝起きて、アノ事に気が付いてから大忙しだった。

 女性と言うのは一般的に勘が鋭いものだ。少しでも違う臭いを感じたり、行動がおかしかったりすればたちまち鋭いカンを働かせて何故か正解を突いてくるものだ。


 別にミリィやチモシーに昨日のことがバレても問題なんてないが、多感な年頃だし、その事で少しでも気まずくなるということは魔王戦の前だし、少なくとも今は避けたい。


 なので隠蔽工作に早朝の時間を大量に割いて、風呂場から廊下、俺の部屋と消臭殺菌効果の高いミントの香りで、充満して換気し充満して換気するを繰り返してやっておいた。


 爽やかなミントの香りが俺のアレの臭いを消しているはず。だから気が付かれることは無い、なので問題なんて何も起こらない。起こるわけがないんだ。



 朝食を食べ終えて、後片付けも終えて、今後の予定を話していると、やはりシュンが「先に進もうぜ」と言い出した。


 風呂でリフレッシュして、旨い食事をたらふく食べて、ぐっすり眠れば、そりゃあ元気も回復するはずだ。


【能力閲覧】魔法で見ても、俺が休憩を提案した時には、4人とも70%台だった生命力が90%を越えている。


 若い肉体は回復が早いってことだ。ここまで回復しているのなら先に進んでも良いのだが。

 この先の状況を知っている俺としては、今日の出発は避けなければならない。なので。


「シュン達は、見るだけでわかる。昨日の顔色とは雲泥の差じゃ。すっかり回復したようじゃの。じゃがワシが疲れとるんじゃ。ジジイはシュン達の様に直ぐに回復したりせん。今日は昨日言った通り1日休むぞ」


 こう言い切ってしまえば、シュンも否とは言えず。休むことに渋々ながら同意した。


 とは言え、若い身体は休養を必要とはしないことはわかっているので。


「この小屋の周囲に、難易度の高いアスレチックコースを造っておいたのじゃ。見事クリア出来たら、賞品をやろう。じゃが、ここが敵中真っ只中じゃと言うことを忘れるんじゃないぞ」


「そいつは、面白そうだぜ」


「ぬう、話を聞いただけで、筋肉が喜んでいるぞ」


「アスレチックかぁ。面白そうね。賞品も気になるし、私も参加しようかな。チモシーも行こうよ、ね」


「ん……わかった」


 疲れさせてしまったら、折角の休養が意味を無くすし、アリスからは草原に出たら知らぬが、管理区域の周囲2キロは絶対安全と、御墨付きを貰っているが、魔王が協定を守らず攻めてきたら大変なことになる。

 なのでアスレチックは、持久力は問わない、瞬発力がものを言うコースにしている。魔王も麒麟だと言うし、瞬発力=スピードの戦いになると踏んでのことだが。


 結果的にバロンには難しいかもしれないが、シュンはもちろん、ミリィだって、もしかしたらチモシーでさえ、クリアできるかもしれない。


 なので、挑戦してみれば良いと4人を送り出した。


 送り出したあと、俺は対麒麟用の対策品を、こっそり造ろうと考えていたのだが。


 ミリィとチモシーが、直ぐに戻ってきた。


 それを見て、アスレチックに何事があったのかと思い、見に行こうとしたら、ミリィに止められた。


「で、何があったのかしら」


 主語がないから何が、で、なのかさっぱりわからない、でもまさか朝のことがバレてるとでも言うのだろうか。


 だからと言って、女性二人で話を聞きにくるなんて考えづらい。とは言え、間違いなくミリィ達は何かを疑っているに違いない。


 俺は出来るだけ普通を装って「なんのことじゃい」と、とぼけたのだが。

 この時点でアウトだと言うことを知っている男子は、どれくらい居るのだろうか。


 恐るべき事に、80%以上の確率で普通男子は詰み状態となっている。

 この状況に陥ってしまったら、諦めるしかない。誤魔化そうとしても無駄な努力でしかないのだから。


 何かを疑っている女性が疑問を口にすると言うのは、何かしらの根拠を最低でも3つ握っている時だ、その3つの根拠を組み合わせて出てきた結論を、仮定ではなく事実だと決めつけて攻めてくるのである。


 なので、本気で事実を隠したい時には、言われた瞬間にノーヒントで、その根拠の1つを的確に当てた上、話題を逸らさずに真剣に話し、理屈で納得させるのでは無く感情が納得するように返さなければならない。普通男子には、到底無理な芸当である。

 尚、逆ギレなんて持ってのほかだ、気を付けてほしい。


 因みに今回の場合はとてもわかりやすい根拠がある。

 なので話を早くに切り上げたければ、正解は、疑問を口にされた直後に。


『ミントの香りに気が付いたのじゃな。良い香りじゃろ。この香りは、精神を安定させる効用があるのじゃ。折角の休養日なのじゃから。ミリィ達が今日1日、リラックス出来る様にと、ワシの長年研究の成果を披露したのじゃ。どうじゃ。気分爽やかじゃろ』


 と言えれば、長年の研究していたと言う、香りの効果の秘密を白状して、更に私達の為にしてくれたと印象づけることが出来る。

 もしこれが根拠の3つ目であったのなら、根拠は2つとなるため、この時点で女性は手を引くのである。


 繰り返すが、ノーヒント、ノータイムで返せればだからな。

 根拠を間違えたり、少しでも考えてしまった時点で女性は、感情で追求する機械となり根掘り葉掘り聞かれ、理論を無視して矛盾点を突いてきて最後は、自白することになるぞ。


 まぁ。それは少しでも相手に恋愛感情がある時の話だから、裏を返せば羨ましい奴めってことだ。こう言うことを相談してくる奴がいたら、爆発しろとでも思っておけばいいのである。


 話を戻して。


 俺の「なんのことじゃい」に対して、ミリィは易々と結論を述べてきた。


「ではジン様、質問を変えますね。これから何があるのですか」


 さすがは、ミリィだ。勇者チームの頭脳(ブレイン)である。恋愛感情が無い場合、自分で考えることを知っている女性は話が早くて良い。

 しっかり状況を把握して、自分なりの答えを持って話してくるからだ。


 ミリィの頭の中では、きっとこの先に魔物やら天物の集団が待ち構えていて、それに備えての休養だと理解しているのだろう。もしかしたら最悪、魔王が近くにいることまで見抜いているのかもしれない。


 ならば、俺も早目に準備に取り掛かりたいし、言っても驚くことは無いだろう。


「さすがはミリィじゃ。ワシの言動だけで、そこまで推測しているとは、もう賢者と名乗っても良いのかもしれんな」


「は、ハイ?」


 あれ? なんか反応がおかしい気もするが、時間も無いことだしいいか。


「ミリィの推測している通りじゃ。明日は魔王と戦うことになる。じゃから今日はゆっくり休め」


「え?、あ、はい…………って、ええぇぇえーーぇ」


 いきなり叫びだしたミリィに、こっちが驚いたって言うか、耳鳴りがする。隣にいるチモシーはと見れば冷静に耳栓をしている。ミリィが叫ぶことを、事前に察知していたようだ。何気に凄い。


「わ、私はただ、森の管理者が文句を言いに、今日追い出して、圧倒的な魔力を風呂場で昨夜一人になってすぐ消えた、デートなのに、魔王が若返って朝から良い香りがして、チモシー可愛そう、戦いに応援ですって!」


 ミリィが大混乱に陥っている。


 どうやらミリィは、ここで今日1日休憩した理由が、明日は厳しい戦いになると推測して、俺に話を聞きにきたのではなく。


 俺が昨夜、皆が寝静まった時間に、こっそり森の管理者と風呂場でデートしていたのは知ってるぞ。一瞬で消えたけど、私達を圧倒したあの魔力は、森の管理者以外に考えられないから。

 そして今朝起きれば小屋中、爽やかな香りがするし、ジンの見た目が若返ったような気がするし、昨夜何かあったんじゃないかと。

 しかも、今日も何だかんだ言って、自分達を小屋から追い出したのは、今日もこっそり森の管理者とデートするからなんだろう。

 ミリィとしては、幼い恋心をジンに対して抱いているチモシーを応援していると言うのに、目の届くところでデートなんかしたら可哀想じゃないかと文句を言いにきたらしい。


 俺は、脳筋リーダーのシュンに代わり、色々考えていた勇者チームの頭脳であるミリィを過大評価していたみたいだ。


 ミリィは、ここが安全地帯だとは知らないはずだ。だと言うのに、のんびり休憩しようとしている俺を見て不信に思い、何かあると思われたのだろうと予想していたのに、こんな敵地の真ん中で恋愛話になるなんて思いもしなかった。


 ほんと、思考分割スキルは、いつも良い仕事をしてくれる。


 ああ。そう言えば、これも疑ってきている女性を黙らせる方法だ。疑問がどうでも良くなるほどの秘密の暴露。でもこれは諸刃の剣だから推奨しないぞ。愛があるなら疑問の追求を先伸ばしをしただけだし、暴露した秘密が受け入れられなければ、待っているのはサヨウナラだからな。


「魔王が……チモシーが……森の管理者が……デートなのに…………」


 未だに混乱しているミリィを放置して、俺は対策品を作るために部屋に戻ることにした。


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