d-11
「―― ぐ、あぁぁぁぁっ!!」
幾人もの分身を出しているかの素早い動きから繰り出される華麗な超連打攻撃は、確実にナイトメアの身を切り刻む。―― 紛う方なき致命傷であった。
それでも、より安全を求めてか飛び退いて元の位置にと戻ったスバノンが、そこで怪我の為か膝をつく。が、それは約束通りブルーが回復魔法ですかさず綺麗に癒し切ってみせた。
「よくやったな、これで残るエルフィンちゃんも恐らく、悪夢から解放されるはずだ」
「……おい、あの武器やたら痛いぞ、マジ死ぬかと思ったぞっ。てか顔面すれすれでアレが弾け飛んだ時は死んだかと思ったぞ本気で!」
「結局生きてるんだから、いいだろっ。……いや怒るなよ、そこらはティリアちゃんが判断してちゃんとシールドを出してくれるだろうと思ってたんだ」
「て、それアイツが頭狙ってくるって解ってたって事だよな!? 知ってて俺を突っ込ませたんか、この冷血漢っ!!」
「結果オーライ、終わり良ければ全てよし、だ。納得しろっ」
【―― エルフィン博士の容態、回復傾向を見せ始めました。後数分内に精神安定レベル回復、安全圏内へ快気すると予測されます】
事が解決したと見るや、あっという間に日頃の「じゃれ合い」に入る2人の頭上に、そんな声が流れる。その報せに彼らも、またティリアも心底安堵した表情となった。
「……畜生……せっかくの“狩場”が ―― 全く、邪魔な連中だぜ……」
そこに届いた声に、全員の顔色が急転、一斉に倒れ伏す黒い影へと視線が集中する。
だが幸い、ナイトメアには回復魔法は使えないのか、その身が再び起き上がる気配は感じられなかった。
「ここで力を、つけまくって……やがて元の世界に帰ったら、カブラスの野郎に……目に物見せて、やろうと思ってたんだが、な。ま、あいつもいずれは……ストラウス探検する様な連中だ……きっと、こいつらに、やられて終わる ―― だろう、ぜ……」
独白の様な言葉が続いたかと思うと、最後、微かな笑い声と共に一瞬、その口元が歪む。しかしそれが限界だった様に、夢魔の身体は不意に崩れ、中空へと霧散していった。




