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その頃、王都にて(9)
「・・・・・・・・・・
・・・承知しました。」
「うん、君ならそう言ってくれると思っていたよ。」
すまんコン・・・
本当にすまん・・・
今回ばかりは、『相手』が悪すぎた・・・
草食動物一匹が、肉食動物である熊や狼に立ち向かうのと同じくらい無謀だ。草食動物側である俺は、身を守る為の手段しか取れない。
この王都に来てから、俺は『身分』や『地位』について、深く考える事が多くなった気がする。山の中では縦横無尽に闊歩していた俺だけど、此処に来てからは、肩身の狭い思いをする事も多くなった。
山の中で通じた常識も、此処では通じない。むしろ、俺が追いやられる側に立たされたのだ。
俺だけではない、兵士長も自分の身分を把握した上で、アン殿下にやんわりと意見をする事が限界であるのを悟っていた。
いくら実力や実践経験があっても、身分という『見えない壁』には逆らえない。
その壁の先にある高い位に、今も尚、大勢の人間が挑み続けているのもまた事実。
足を踏み外して『堕ちる』人間もいれば、見事に登りつめる人間もいる。そしてまた更に、そこから新たな地位を目指す為、再び壁に挑む。
これこそ、『地位の階段』だ。
俺はその壁を到底登る気にはなれず、鑑賞するだけの第三者でしかなかった。
その階段の頂点にいるであろう存在に、底辺の俺が意見を言えるわけもなく・・・




