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その頃、王都にて(9)
・・・ヤバい・・・もうそこまで話が進んでいる。
さっきから話を聞いていた筈なのに、いつの間にか置き去り状態になっていた自分。隣に立つ兵士長は、完全に諦めた顔になってしまった。
・・・確かに、もう俺からは何も言えない。断る理由もなければ、自分の真意を話すわけにもいかない。
アン殿下の後ろにいる家臣達も、俺の『OK』を待っている状況。この空気でもし断ったら、俺は色んな人を敵に回すことに・・・
でも、もしここで俺が首を縦に振ったら、コンを身代わりにした罪悪感がある。
コンだって、いつかは身の丈に合った男性を結ばれて、結婚する未来がある。
王都に来てから、身分の高さから発生するトラブルや揉め事は、散々見てきた。その後処理をするのが、大抵俺達兵士のの役目だから。
その揉め事に、心優しい妹を巻き込むのは、兄としては阻止したい。いや、阻止しないといけない。
あんな理不尽で滅茶苦茶な世界に、妹を放り込むわけにはいかない。自然の中でこそ、コンの美しさや優しさは映えるのだから。
もっとコンには、里の生活を満喫してもらいたい。
コンには、自由な生き方を楽しんでもらいたい。
・・・ただ・・・
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