その頃、王都にて(4)
緊張で頭が支配されているギンを見て
クスクスと笑うアン殿下
しかし、ギンの隣で立つ兵士長の不安は募るばかりだった
そんな一族の正当なる後継者であるアン殿下が、応接の間で俺を待っている。こんな異常事態を、誰が想像できただろうか。
俺を呼び出した兵士長でさえ、動揺が隠しきれていないのに、既に応接室で待っていた家臣やメイドですら、さっきから挙動不審な行動が目立つ。
俺・・・まだ何もしてませんよ??
式典で何か粗相をしたのかも・・・と思ったけど、式典で唯一言葉を交わしたのは、アン殿下の父である国王のみ。
しかし、その国王はこの場所にいない。ますますわけが分からない。
「君が ギン・シルフォ だね。」
「はっ・・・はい・・・」
「まぁ緊張しなくてもいい、そこに座りなさい。」
何故かアン殿下、さっきから俺を見ながらニヤニヤ笑っている。
服装が若干古いからか??
もしくは、何処かが破けているのか??
俺は恐る恐る、用意されてある椅子に座った。
やっぱり貴族や王族等、位の高い人間専用の椅子は、フワフワすぎて逆に座り心地が慣れない。正直今にも自分から流れ出ている汗が、椅子の毛皮部分に付いてしまいそうで、このまま立って話をされた方が楽に思えてしまう。
俺の動揺が顕著に見られるのが、耳と尻尾だ。自分でも分かる、耳と尻尾が極度に震えている事に。
その様子を見た家臣達は、ちょっとだけ笑みを浮かべる。アン殿下は隠しもせずに笑っていた。
この時ばっかりは笑われてもしょうがない、実際俺自身も笑いそうになったから。
耳と尻尾は俺の心に忠実だから、どうしても動揺が隠しきれないのだ。
でもそれを隠す為に、耳と尻尾を布で隠すのも・・・滑稽すぎて逆に大爆笑されそうな気がする。
もういっその事、爆笑された方がスッキリするんだけどな・・・




