球技大会
この前のテスト範囲の「試験勉強に励む女の子の物語」の「語り聞かせ」が終わり、ゆっくり別な話を読みたいと思い始めた頃、学校では年に一度の全員強制参加の「球技大会」の出場者の班分けが行われていた。
「運動神経」で困っている訳ではないが、私はいわゆる「コミ障」なので、チーム競技は苦手だ。
今年の種目は、バレーボール、バスケットボール、ソフトボール…と、どれを選んでも、チーム競技ばかりで、どれに出ても苦労しそうで憂鬱な気分。
だけど、どれかに出ないといけないので「対人距離」が比較的離れている「ソフトボール」に出る事にした。
そして「グリモア」を開くと「球技大会を頑張る女の子の物語」が語られていた。
これが、また面白い。
こうして、本を読んでいて…、気が付くと、チーム別練習をサボってしまっていた。
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翌日、練習に参加し、チームのみんなに謝まろうとしたが、どうも、うまく説明出来ない。
わちゃわちゃ…と困り果てていると、
今回、うちのクラスのソフトボールチームのキャプテンをしてる「宮田 葵衣」さんが、
「あはは、明石さん、本好きだもんね。本に夢中になりすぎて、練習に出るのを忘れちゃったかぁ。でも、今日からは、頼むよ」
私が、どうしてうっかりサボってしまったかを察して、
説明する前に、皆に伝わるような大きな声で豪快に笑い飛ばし、彼女なりに察した理由を代弁してくれた。
こうして、なごやかに迎えてくれたのが、うれしかった。
私は「コミ障」なので、人前で説明とか苦手なので、とても助かった。
そして、耳元で…
「実は昨日、明石さんを呼びに行ったんだけど、
とても本に夢中になっていて、私がボディタッチしても気づいてくれなくてさ…。
でも、なんだか、とても楽しそうにしてたので、なんだか、邪魔するのも悪いかな…って思っちゃったんだわ」
あわわ…。昨日、呼びに来てくれたなんて、申し訳ない。
「ごめんなさい。でも…いろいろ察してくれて、ありがとう」
「いいって…」
そう言って、とても、まぶしい笑顔でニコッと笑ってくれた。
私は「運動」が「得意」ではないが「苦手」ではない。
それなりにボールを受ける事が出来るが、それなりに受け損なう事もある…みたいな感じだ。
ただ、今日は「グリモア」の物語で知った体の使い方で、いつもよりはサマになっていた…気がした。
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球技大会当日。私は、外野を守っていた。
とりあえず「グリモア」の物語で打球が飛ん来た場所で構えていた。
そして、案の定、その場所に打球が飛んで来た。
結果、私のところに飛んで来た打球は、すべて「アウト」になった。
犠牲フライとかは、なかったので、返球で苦労する事もなかった。
打撃は9番打者をつとめた。
でも「グリモア」の物語で主人公がやってた「体の動き」と「タイミングの取り方」をマネてみただけで「初球をホームラン」にする事が出来た。
「すごいね、明石さん」
「いえ、まぐれです」
しかし、全打席「初球をヒット」にしてしまったので…
「すごいね、明石さん。ねぇ、本格的にソフトボールやってみる気ない?」
キャプテンの宮田 葵衣 (みやた あおい)さんが、目をキラキラとさせて、勧誘して来た。
彼女は、この学校のソフトボール部で、中学の時には、部長を務めていたらしい。
チームスポーツは「コミ障」の私には、キツイんです…とは、言いだしにくくて、困っていると…。
「明石さん、困ってるじゃん、あんまりグイグイ行っちゃダメだよ」
同じチームの「名塚 恭代」さんが、助け舟を出してくれた。
ありがたい…。けど、彼女も、宮田さんと同じ中学の出身で、中学時代は宮田さんとソフトボール部で副キャプテンをしていたらしい。
この二人に、名前覚えられてしまったのは、失敗だったかな…。
うちのチームのピッチャーは宮田さん。中学時代は、人より速い速球が投げられると有名だったらしい。
しかも、ストライクゾーンの端っこギリギリに投げ分ける精密なコントロールが出来る人で、
変化球こそ投げられないものの、なかなか打たれる事はなかった。
こうして、うちのチームは、快勝を続け、決勝戦まで進んだ。
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決勝戦がはじまる前、私は、悩んでいた。
決勝戦で、宮田さんが、ケガを負ってしまう事を、伝えておくべきか…。
「グリモア」が見せてくれる話は、今まで、絶対に、その通りになっていた。
だけど、そんな話を伝えても、納得してもらえるとは、思えなかった。
更に言えば、伝えた上で、注意して行動してもらったところで、回避出来るとも思えなかった。
こうして、迷っている間に、決勝戦は始まってしまった。
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決勝戦の相手は、うちの学校のソフトボール部で、
ピッチャーでエースを任されているのに加え、
打者としても4番打者を任される「超高校級」とか言われている人がいるチーム。体格も大人みたい。
そのクラスは3年生で、他の子も、皆、背が高く体が大きい人たちばかりだった。
チームのうち6人が、うちの学校のソフトボール部のレギュラーだという。
対してうちのクラスのチームは、まだ1年生だし、私を筆頭に、比較的、背が低い子が集まっていた。
試合前の挨拶で、並んでみると、大人と子供…みたいな感じになってる。
ちゃんと試合になる気がしない…。
実際、まともな試合にならない事は「グリモア」が見せてくれる物語の中で知っていたのだけど…。
相手チームの先行で試合が始まった。




