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地味な読書少女と、世界を綴る本 ~静かに始まる小さな奇跡  作者: 秋月心文


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8/9

球技大会

この前のテスト範囲の「試験勉強に励む女の子の物語」の「語り聞かせ」が終わり、ゆっくり別な話を読みたいと思い始めた頃、学校では年に一度の全員強制参加の「球技大会」の出場者の班分けが行われていた。


「運動神経」で困っている訳ではないが、私はいわゆる「コミ障」なので、チーム競技は苦手だ。

今年の種目は、バレーボール、バスケットボール、ソフトボール…と、どれを選んでも、チーム競技ばかりで、どれに出ても苦労しそうで憂鬱な気分。

だけど、どれかに出ないといけないので「対人距離」が比較的離れている「ソフトボール」に出る事にした。


そして「グリモア」を開くと「球技大会を頑張る女の子の物語」が語られていた。

これが、また面白い。

こうして、本を読んでいて…、気が付くと、チーム別練習をサボってしまっていた。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


翌日、練習に参加し、チームのみんなに謝まろうとしたが、どうも、うまく説明出来ない。


わちゃわちゃ…と困り果てていると、

今回、うちのクラスのソフトボールチームのキャプテンをしてる「宮田みやた 葵衣あおい」さんが、

「あはは、明石さん、本好きだもんね。本に夢中になりすぎて、練習に出るのを忘れちゃったかぁ。でも、今日からは、頼むよ」


私が、どうしてうっかりサボってしまったかを察して、

説明する前に、皆に伝わるような大きな声で豪快に笑い飛ばし、彼女なりに察した理由を代弁してくれた。

こうして、なごやかに迎えてくれたのが、うれしかった。


私は「コミ障」なので、人前で説明とか苦手なので、とても助かった。


そして、耳元で…

「実は昨日、明石さんを呼びに行ったんだけど、

 とても本に夢中になっていて、私がボディタッチしても気づいてくれなくてさ…。

 でも、なんだか、とても楽しそうにしてたので、なんだか、邪魔するのも悪いかな…って思っちゃったんだわ」


あわわ…。昨日、呼びに来てくれたなんて、申し訳ない。

「ごめんなさい。でも…いろいろ察してくれて、ありがとう」


「いいって…」

そう言って、とても、まぶしい笑顔でニコッと笑ってくれた。


私は「運動」が「得意」ではないが「苦手」ではない。

それなりにボールを受ける事が出来るが、それなりに受け損なう事もある…みたいな感じだ。


ただ、今日は「グリモア」の物語で知った体の使い方で、いつもよりはサマになっていた…気がした。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


球技大会当日。私は、外野を守っていた。

とりあえず「グリモア」の物語で打球が飛ん来た場所で構えていた。


そして、案の定、その場所に打球が飛んで来た。

結果、私のところに飛んで来た打球は、すべて「アウト」になった。

犠牲フライとかは、なかったので、返球で苦労する事もなかった。


打撃は9番打者をつとめた。

でも「グリモア」の物語で主人公がやってた「体の動き」と「タイミングの取り方」をマネてみただけで「初球をホームラン」にする事が出来た。


「すごいね、明石さん」

「いえ、まぐれです」


しかし、全打席「初球をヒット」にしてしまったので…

「すごいね、明石さん。ねぇ、本格的にソフトボールやってみる気ない?」

キャプテンの宮田 葵衣 (みやた あおい)さんが、目をキラキラとさせて、勧誘して来た。

彼女は、この学校のソフトボール部で、中学の時には、部長を務めていたらしい。


チームスポーツは「コミ障」の私には、キツイんです…とは、言いだしにくくて、困っていると…。

「明石さん、困ってるじゃん、あんまりグイグイ行っちゃダメだよ」

同じチームの「名塚なづか 恭代たかよ」さんが、助け舟を出してくれた。

ありがたい…。けど、彼女も、宮田さんと同じ中学の出身で、中学時代は宮田さんとソフトボール部で副キャプテンをしていたらしい。

この二人に、名前覚えられてしまったのは、失敗だったかな…。


うちのチームのピッチャーは宮田さん。中学時代は、人より速い速球が投げられると有名だったらしい。

しかも、ストライクゾーンの端っこギリギリに投げ分ける精密なコントロールが出来る人で、

変化球こそ投げられないものの、なかなか打たれる事はなかった。

こうして、うちのチームは、快勝を続け、決勝戦まで進んだ。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


決勝戦がはじまる前、私は、悩んでいた。


決勝戦で、宮田さんが、ケガを負ってしまう事を、伝えておくべきか…。


「グリモア」が見せてくれる話は、今まで、絶対に、その通りになっていた。

だけど、そんな話を伝えても、納得してもらえるとは、思えなかった。


更に言えば、伝えた上で、注意して行動してもらったところで、回避出来るとも思えなかった。


こうして、迷っている間に、決勝戦は始まってしまった。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


決勝戦の相手は、うちの学校のソフトボール部で、

ピッチャーでエースを任されているのに加え、

打者としても4番打者を任される「超高校級」とか言われている人がいるチーム。体格も大人みたい。

そのクラスは3年生で、他の子も、皆、背が高く体が大きい人たちばかりだった。

チームのうち6人が、うちの学校のソフトボール部のレギュラーだという。


対してうちのクラスのチームは、まだ1年生だし、私を筆頭に、比較的、背が低い子が集まっていた。

試合前の挨拶で、並んでみると、大人と子供…みたいな感じになってる。

ちゃんと試合になる気がしない…。

実際、まともな試合にならない事は「グリモア」が見せてくれる物語の中で知っていたのだけど…。


相手チームの先行で試合が始まった。

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