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地味な読書少女と、世界を綴る本 ~静かに始まる小さな奇跡  作者: 秋月心文


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17/20

本を読んでいただけで優勝した

 ◇ ◇ 学園祭が近づいていた ◇ ◇


学園祭では、歴史研究会が「ロシア帝国」という架空国家について展示するらしい。

「昔の架空戦記によく出てくる国なんだって」

「設定が細かすぎて笑えるよね」

クラスのみんなは笑っていた。

そんな国、あるはずないのに……。

なぜか私は、その話が少しだけ現実味を帯びて聞こえた。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


クラスの出し物では、喫茶店をやる事になった。


明石さん、なんでも、出来そうだしと料理担当を任されるも、

晶は、料理が壊滅的に下手くそだった。


切ったり、混ぜたりするのは、問題ないが、火加減、味加減が、おかしかった。



生焼けだったかと思えば、黒焦げ。


だけど、砂糖の代わりに、塩を入れてしまった、パンケーキが、なぜか大うけだった。


でも、晶には、2度と、同じものが作れなかった。



あまりに好評だったため、クラスの子たちが再現に挑戦した。


最終的に「塩パンケーキ」という不思議な名物が誕生した。



なんだかなぁ……。



 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


グリモアに頼れば、何とかなったのかもしれない。


だけど、料理くらいは出来る女の子でありたいと思い、意地をはっていた。

だから、何度もグリモアが提示してきた、料理の話は、読んでなかった。


でも、あんまり、失敗しすぎて、さすがに凹んで来た。

晶は、当日前夜になってから、グリモアの料理の話をいっぱい読んだ。



 ◇ ◇ ◇ 学園祭 当日 ◇ ◇ ◇


当日、料理するつもりでいたが、

これまでの結果が酷すぎたので、接客を担当する事になった……。


結局、グリモアで得た知識を、披露する機会はなかった。



でも、ここで、新たな問題に直面しました。


晶は、極度なコミ障だったのです。

人見知りが、はげしく、うまく話せません。


「えーと、あの…」


「い、いら……いら……」


みたいな感じで、挨拶すら出来ず、接客にならない。


見かねたクラスの子が、フォローに入ってくれた。



 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


「接客無理だから、そこ座ってて」


「う、うん……」


教室の前には、入口と張り紙をした机が置いてあった。

晶は、そこで、本を読みはじめた。


それだけだった。


だが気付くと、


「あの子かわいくない?」


「とても楽しそう」


「なんか、すごい気になる」


……という声が聞こえ始めた。



 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


クラスの子に、体を揺すられて、呼び止められた。


「ちょっと、明石さん、これ何?」


本を読むのをやめて、周囲を見ると……


教室前からの長い列が、廊下の端まで伸びていた。


隣のクラスの呼び込みしてた子が、迷惑そうに、こっちを見ていた。


「何? これ?」


「いや、あたしが聞いてるんだけど……」


「何もしてないよ?」


こうして、うちのクラスは、学園祭最優秀賞をもらう事になった。

 お読みいただき、ありがとうございます!


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