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地味な読書少女と、世界を綴る本 ~静かに始まる小さな奇跡  作者: 秋月心文


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12/20

私を襲いに来た敵が仲間になった

 白人が世界の中心である世界を、取り戻そうとする結社があった。


 だが皮肉なことに、そこで活動しているのは白人だけではなかった。


 彼らが求めるアーティファクトも、その解読者も、白人以外の人間に依存していたからだ。


 結果だけが重要で、過程を重要としてない人にとっては、それで良いのかもしれないが…。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 その結社で、ルイス・ホークスという名前で活動している男がいた。

 本名は、鷹村 圭佑 (たかむら けいすけ)だが……

 この結社の中では、白人と同じ様な名前以外を、使う事が許されていない。


 母が瑞穂(この世界における日本)系の二世で、風貌は金髪、青眼、白い肌。

 普段から、サングラスを常用している。


 彼には不治の病を患った妹がいた。


 その治療法を求めて結社に加わった。


 そういうのが治療出来る「アーティファクト」があるかもしれないと…。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 今回のミッションは、瑞穂の女子高校生が持っている「特殊な本」を強奪する事。

 なんて、カンタンな依頼だ……と思った。


 彼女が、本を置いて、席を離れた時に、

 それに触れようとしたが、なぜか触れる事すら出来なかった。

 手で、モノを介して……、いずれも、すり抜けてしまう。


 結局、1週間以上、失敗が続いている。


 依頼の期限は「明日」だ。

 そこで、正攻法?に出る事にした。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


「明石晶だな。その本を渡してもらおうか」

 ルイスは、晶の首元にナイフを突きつける。

 しかし、彼女は、何も動じる事なく、堂々としている。


 俺が、人をケガさせたり、

 殺めたりする事が出来ない人間だと、

 「あらかじめ知ってた」かのように…。


「出来ないわ。だって、この本、私以外、触れる事すら出来ないんだもの」


「あぁ、それは知っている」


「なるほど、ここ数日、私のノートが無くなったりしてたのは、あなたの仕業だったのね」


「あぁ、そうだ」


「この本は、よくわからない何かで、私と一体化してるらしいの。

 だから、この本を手に入れたいのなら、私ごと攫うしかないわ。

 でも、それでは、あなたの願いは叶わない」


「何?…」


「だって、あなたの所属してる結社は、

 集めた『アーティファクト』を使うつもりがないのだから。

 ましてや純血の白人以外に、使うつもりなんて欠片もない」


「何を知っている…?」


「白人以外をこの世から消し去る行動に出る時まで、

 集めた『アーティファクト』を温存するつもりなの」


「………」



「ねぇ、私と取り引きをしない?


 私は、この本の力で、あなたの妹さんを治せるかもしれない。

 その代わり、影ながら、出来る範囲で、私を守って…。


 最近、なんか、よくわからない人たちから、攻撃されたりして困ってるんだ。


 更に、必要なら、あなたと結社の関係を、完全に断ち切る事も出来るけど…。」

 


「おまえ、どこまで知って…」


「とりあえず、試しに、

 私を妹さんのところに連れてって……

 返事は、そのあとでいいよ」


「いいだろう。付いて来てくれ」


 ……と、ここまで堂々としたやり取りを「演じていた」晶だったが……。


 本当は心臓がバクバクだった。


 ナイフも怖かったけど……、

 何よりルイスは、晶にとって、見た目が、どストライクだった。


 密着されたまま平然としている演技を続けるのは、かなり大変だった。


 ちょっと変な子って、思われたかな?。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 ルイスによって、連れて来られたのは、セキュリティが優れた事で有名な「新築のタワーマンション」だった。


 凄いところに住んでるな……と思いながら、部屋に入ると、とても衰弱しきって青い顔をした女の子が、ベットに横たわっていた。


 晶は、彼女に向かって「グリモア」をかざした。

 グリモアは、すぐに原因を示した。


「あなたが原因じゃない!」


「え?」


「あなたが、発掘された『アーティファクト』に触れた時に、

 古代の何か特殊な病原菌を拾って、妹さんに感染させたみたい」


「俺、何ともないぞ…」


「どんな病でも、感染してもピンピンしてる人っているでしょ。そういうものかも?」


 晶は「グリモア」を通じて、

 彼女から、病原菌を無くす事を祈る。


 すると、彼女の体と、

 その周辺が光りはじめ、

 彼女の顔色は、急速に改善した。


「彼女の体内と周辺から菌を消し去ったけど、

 これまでの病気で、衰弱してるから、

 しばらくはクスリを飲んでもらう事になるかな……」


 そして、空中で、何もない空間に、クスリを調合。

 それを、胸に入れていた、使ってないハンカチで包んで、ルイスに渡した。


「1回5g。毎食後に…。

 念の為、1か月分作ったよ。

 計量は、申し訳ないけど、自分でやって……」


「あ、あぁ…あ、ありがとう」

 ルイスは涙目になっている。


 ルイスは、目の前で起こる不思議な出来事の連続で、

 理解がついていかず、頭がまわらない状態だ。

 けれど、妹の容態が、あきらかに良くなったのは確かだ…。


 彼女の力は、本物だ…。


 ルイスは、この時より、晶に仕える事を決めた。

「これからは、あなたに仕えていきたいと思う。

 あなたを守り、サポートしてく事を誓う」


「ありがとう……。

 結社の方は、私の方で、除名しちゃって構わない?」


「出来るのか?」


「もちろん!」

 晶はグリモアの力を使った。


「ルイスに関する情報と記憶を消したわ。

 これより、

 結社には、ルイスという人はいなかったし、

 会っても初対面の人としか思わない」


「それで、これから…あなたの事は、何と呼べば……?」


「結社で使っていた『ルイス』はコードネームなので、

 それは、ちょっと避けたいかな。

 本名が『鷹村圭佑』だから

 『圭佑けいすけ』と呼び捨てで構わない」


 いきなり、名前呼び!? 


「わかったわ。け…けい…すけ……」

 名前を呼ぶだけなのに、妙に恥ずかしかった。

 お読みいただき、ありがとうございます!


 少しでも続きが気になったら、

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