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地味な読書少女と、世界を綴る本 ~静かに始まる小さな奇跡  作者: 秋月心文


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11/20

最強の魔法使いが心を折られた

 カトリーヌ・ブラウンは、

 子供の頃から、魔法では何をやっても1番だ。


「英国魔法協会」の中で、常に記録を塗り替えてきた。


 周囲は常に彼女に期待した。


 新たな記録を。


 新たな伝説を。


 だが、彼女自身は感じていた。


 もう、自分の成長は限界に近いと。


 そんな時「アカシックレコード」という、伝説の本の存在を耳にする。


 その本は「読み手」が必要とする限り

「この世の中の究極の真理」でさえ知る事が出来るという。


 その本さえ手に入れば、私はさらに高みへ行ける。


 私が「読み手」になれさえすれば……。

 つまり、私が、その本を「奪う」事が出来れば…。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 カトリーヌは、

 当代の「読み手」明石晶の通う、県立葛城高校 普通科1Bに、

 転校生:野木香織として潜入した。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 彼女はアニメで、日本語を覚えた。


 しかも、悪役令嬢ものだった。

 その結果「わたくしは~ですわ」が、普通の日本語だと思い込んでいた。


 結果、周囲は「中二病全開のこじらせ女子」と評価していた。


 けれど、いつも「孤高」を気取っている彼女が、それを知る事はなかった。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 一方、ターゲットの明石晶も、いつも本としか付き合いがないような女の子。

 クラスの子と話をしてるのを見る事がない。


 そんな感じで、同じクラスだというのに、

 ターゲットには、近づく事が出来ないでいた。


 明石晶は、いつも「何か」を読んでいる。

 本だったり、ノートだったり。

 時には笑い、時には泣き、まるで別世界に生きているようだった。


「英国魔法協会」に問い合わせたところ

「アカシックレコード」は

「読み手」の求める姿に変わる能力を持っているという。


 明石晶が読んでいるものが「アカシックレコード」に違いない。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 カトリーヌは、強硬手段に出た。


 明石晶が、トイレに立ったスキに、

 彼女がさっきまで、読んでいたラノベを盗んだ。

 あっさりと盗む事が出来た。


 そして、それを読んだ。もう1度、読んだ。

 ……泣ける話だった。


 話の中で、主人公が「伝説の古代魔法」使ってるけども……。

 どう考えても普通のラノベだった。


 しかも、この学校の図書室から、借りてる本だった。

 図書室に返却したら、また借りしちゃダメと怒られた。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 カトリーヌは、さらに大胆な手段を選んだ。


 明石晶の下校中に、催眠魔法で眠らせて奪う作戦だ。

 完璧ですわ。

 この国の人間は、魔法というものを、知りませんもの。

 絶対に防げませんわ。


 カトリーヌが現在持ちうる全ての技術を用いて魔法を放った。

 魔法は、

  並列の段数が多いほど、多方向から同時に魔法が撃てる。

  多重の段数が多いほど、より高密度で強力な魔法が撃てる。


 多重3段は、カトリーヌが思いつく限り、

 この3次元世界では、これ以上はないという究極の段数だった。


 並列5段、多重3段の魔法を、15分かけて詠唱し、彼女に向けて放った。


 本を読みながら、顔をコロコロ変える明石晶の前に、

 並列5段(たぶんこちらに合わせた)+多重50段以上の強烈な魔法陣が、

 詠唱の素振りなく、一瞬で登場し、

 カトリーヌの魔法をいともたやすくはじき返した。


「えっ?」


 見た事もない濃密な魔法陣だった。これを詠唱もなく、一瞬で‥?。


「次元が違いすぎますわ。」


 そう思いながら、跳ね返ってきた自分の魔法で眠ってしまった。


 けれど(心は)目が覚めた。


 自分は限界だと思っていた。

 だが違った。

 世界は、まだまだ広かった。


「魔方陣ってあんなに多重化出来るんですのね…。」


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 心は目が覚めたけど、体は眠っていた。

 体が目を覚ました時、もう夜になっていた。


 ハッ…クシュン。少し夜風に当たりすぎたようだ。

 でも、名実共に、頭が冷えた。冷静になれた気がする。


 夢か現実か、あの時に見た「多重50段」の美しい魔方陣が……

 良くも悪くも、記憶にハッキリと焼き付いている。


 あれをもう1度、目にしたい。自分の力で、あれを実現したい。

 あれに少しでも近づきたい。

 もっと精進しなくては…。


 カトリーヌは英国に帰っていった。

 お読みいただき、ありがとうございます!


 少しでも続きが気になったら、

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 応援いただけると嬉しいです。


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