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10、対戦ー チギルVSドーラ ー

 チギルと少女は機械を挟んで、向かい合った。


「このタイプのマシンを使うのは、俺は初めてなんだよな。」

「簡単。筐体の中にプラモを入れればいい。」


 二人は自分の相棒を筐体の中に入れた。


「パーツがまだ直ってませんけど、大丈夫ですか?」


 ヘラがチギルを見上げて不安そうに訊ねた。


「ビームが全く撃て無いわけじゃないし、まぁ何とかなるだろう。武器は他にもあるしな。」

「わかりました……」


 スマホとマシンをリンクさせて、バトル用の機械、バトルスフィアに接続する。マシンにコンソールが付いているのでスマホとのリンクは必須ではないが、アプリに戦績を記録出来る。


「1対1で1本勝負、フィールドはランダムでいい?」

「ああ、それで問題ない。」


 ルールをセットして、お互いの準備が完了した。


「じゃあ行くぜ!」

「やる……」


 そして、声を合わせて叫んだ。


「フィールド展開!」


 掛け声と共にスイッチを押すと、ドームが光を放ち、内側に立体映像が映し出される。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ここは……」


 ヘラ達が送り込まれた空間は、都市の往来のようなフィールドだ。ヘラは交差点の真ん中に立っている。


「都会のフィールド……」


 ヘラが辺りを見回すと、隣の交差点に少女のプラモロイドが立っているのが見えた。

 二人で離れた位置で向かい合う。

 ヘラはヘッドギアについたバイザーを下ろし、相手にズームした。


 ヘラの頭部には頭をぐるりと囲むようにヘッドギアが付いており、そこに短い触角のようなアンテナと、額に上げることも出来るバイザーが付いている。

 このバイザーはアンテナと、ヘッドギアや肩につけられたカメラセンサーの情報によって行動を補助してくれる。


『あっと、そういえば、まだちゃんと名乗っていなかったな。俺は、協片かながた チギル。こっちは、相棒のヘラ。』

「相棒……マスター、そんな風に……」


 相棒と呼ばれたことで、ヘラの表情に歓喜が満ちる。


『協片……』


 少女はその名前に驚くが、思考を切り上げ、自分も名乗った。


『私は、喜飾きかざり 憧羅ドーラ。』

「そして私は、ドーラ様のバディ、ドルチェなのです。」


 ドルチェは、ドレスを摘まんで優雅に礼をした。

 ドルチェの服は一件ただの布に見えるが、ABS繊維が織り込まれている。これによってBISとのリンクを形成し、バーチャル空間にも反映することが可能なのだ。


『じゃあ、行く……』

『おう、バトルスタートだ!』


 バトルが始まったと同時に両者のプラモが駆け出す。


「どうするんですか、マスター?まだ距離が遠くて、壊れかけの銃じゃ狙えません。」


 ヘラの持っているビームライフルは、壊れかけでまだ修理されていない。極近距離ならともかく、交差点の間の距離を狙い打つのは無理だ。


『まずはもっと近づくんだ。』


 ヘラとドルチェはお互いに走って距離を詰める。


『ドルチェ。』

「ええ。」


 彼女らが言葉を交わした途端、ドルチェの袖からハンドガンが出て、その手に握られる。

 そして、その銃口がヘラの方に向けられる。


『ヘラ!ウィングシールドだ!』

「はい!」


 ヘラの首の後ろにある補助腕が、背中に備え付けられていた甲虫の殻のような2枚のPS製の装甲版を持ち上げ、ぐるりと回して体の前で構える。

 バイザーの弾道予測に従い、弾丸の軌道上にシールドを置いた。


「はぁっ!」


 ドルチェが二丁の銃で狙い打つが、シールドが飛んで来る弾丸を弾く。


『成程、でも、それじゃ前が見えない。』

「狙い打つです!」


 ドルチェの銃がヘラの脚部を狙う。だが、それを見逃すチギルでは無かった。


『右に跳べ!』


 ドルチェが射撃を行う瞬間、ヘラが右に跳んで回避する。


「へぇ、信じてるのですね、マスターの事。」

「マスターは、私の全てですから。」


 射撃を跳んで避けたヘラに、チギルが新たな指示を出す。


『今だ、一気に踏み込め!』


 シールドを解除し、ヘラが一気に前に踏み込む。


『斬り込め!』

「はぁぁぁっ!」


 右腕のブレードを展開し、ヘラがドルチェに横薙ぎに斬りかかる。


「ふっ!」


 対してドルチェも黙って直撃を受けはしない。ブリッジの姿勢を取って回避する。

 そのまま銃を捨て、バック転のような動きで蹴りを入れながら、距離を取った。

 装甲がない分可動域が広い、プレーンだからこそ出来る身軽な動きだ。


「ぐぅ……っ」


 むき出しの腹に打撃を受けたヘラは体勢を崩されてしまう。


『ドルチェ、次!』

「ええ!」


 ドルチェの袖から今度は銀のナイフが飛び出してきて、ドルチェはそれを握りこむ。


『ヘラ、来るぞ!ブレードをしまえ!』

「ぐ……はい!」


 ヘラが構えると同時に、姿勢を低くしたドルチェが踏み込んでくる。

 対するヘラはブレードを腕の外側に沿って収納し、腕をクロスして攻撃を受け止める。収納したブレードも装甲に完全に収まるわけではなく、両刃の刃のうち片刃が露出している。特に長い右腕のブレードは収納しても肘から飛び出るようになっていて、そのままでも武器になる。

 そして、腕の装甲共々固いPS製なので、敵の攻撃を受け止め、カウンターを狙えるのだ。


「はぁぁぁぁあああ!」


 ナイフ刺し込もうと連続攻撃してくるドルチェを、ヘラは必死で両腕の装甲で押しとどめる。


『シールドだ!』

「はい!」


 ヘラは背部のシールドを、ドルチェを挟み込むように動かす。


「うっ!」

『今だ、刺せ!』


 ヘラのシールドがドルチェの右腕を挟み込む。流石に力が足りずこのまま腕を潰すとはいかないが、ヘラは長大な右のブレードを展開して上から刺し貫こうとする。


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