雨宿り書房
最終エピソード掲載日:2026/04/06
駅前の古書店「雨宿り書房」は、学校にも家にも居場所を感じられない高校生の「僕」にとって、ただ黙っていても受け入れられる大切な逃げ場だった。だがある雨の日、店の入る古いビルが再開発で六月末に閉館すると知り、店も消えてしまう現実を突きつけられる。失われる前に何かを残したいと思った僕は、店内の棚や椅子、値札、曇ったガラス戸を写真に撮り始め、さらに常連客たちに店への思いを書いてもらうカードを集めていく。そこで初めて、この小さな店が自分だけでなく、さまざまな人の孤独や日常を静かに支えていたことを知る。
やがて僕は、閉店後も店の本をどこかに残せないかと店主に願い出る。しかし店主は、続けられなかったものをきれいな思い出として保存することへの痛みと抵抗を打ち明け、僕の提案をすぐには受け入れない。それでも僕は、店を美化するためではなく、ここに確かにあった時間を失わないために、写真とカードの言葉をまとめた小さな冊子を作る。閉店の日、雨の中で最後の客を見送り、僕は店主とともに本を箱に詰め、ついに店の終わりに立ち会う。
その後、「雨宿り書房」は喫茶店の片隅の一箱棚として、ほんの少しだけ別の形で続くことになる。かつて自分が店主に「そこ、座ってて大丈夫」と救われたように、僕もまた新しくやって来た少年に「そこ、座れます」と声をかける。失われた場所は完全には戻らないが、その静かな受け止め方だけは次の誰かへ受け継がれていく。
やがて僕は、閉店後も店の本をどこかに残せないかと店主に願い出る。しかし店主は、続けられなかったものをきれいな思い出として保存することへの痛みと抵抗を打ち明け、僕の提案をすぐには受け入れない。それでも僕は、店を美化するためではなく、ここに確かにあった時間を失わないために、写真とカードの言葉をまとめた小さな冊子を作る。閉店の日、雨の中で最後の客を見送り、僕は店主とともに本を箱に詰め、ついに店の終わりに立ち会う。
その後、「雨宿り書房」は喫茶店の片隅の一箱棚として、ほんの少しだけ別の形で続くことになる。かつて自分が店主に「そこ、座ってて大丈夫」と救われたように、僕もまた新しくやって来た少年に「そこ、座れます」と声をかける。失われた場所は完全には戻らないが、その静かな受け止め方だけは次の誰かへ受け継がれていく。