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喫茶クロネコへようこそ  作者: うなぎタコ


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第6話 ロングスカートと魔力供給リング

 放課後、今日も布由は喫茶クロネコでキリカに勉強を教えていた。


「よし、今日はここまでにしとこうか」

「今日もありがとう布由」


 今日はいつものカウンター席ではなくテーブル席に二人はいた。その方がお互いに教えやすいからだ。


「ねぇ、今週の休みの日どこか遊びに行かない?」


 布由は勉強道具を片付けているキリカに声をかけた。

 

「遊びにって……いったいどこに」

「ここからちょっと離れたところにあるショッピングモールだよ」

「ショッピングモール……いった事ないかも」

「じゃあ、行こう!ショッピングモール!」


 布由は立ち上がってキリカの手を握る。するとキリカは驚いたように眼を丸くしていた。その後にこりと笑みを見せた。


「うん、楽しみにしてる」


 キリカはにこりと笑みを浮かべていた。

 そして二人は今週末遊ぶ約束をした。その夜、客のいなくなった喫茶クロネコにはカウンターにうつ伏せているキリカと、その隣でコーヒーを飲むフェルアがいた。

 

「それで、その子と今週末遊びに行くけど何着て行けばいいかわからないって?」

「……うん」

「はぁ……」


 フェルアは深くため息をつき、呆れていた。


「キリ、あなたどこまでお子ちゃまなの?」

「え?なんで」

「……もう何でもいいんじゃないの。ね、クロ」

「にゃーん」


 呆れたフェルアはカウンターの上を歩いてきた黒猫のクロを見ながらそう言った。


「ねぇ、投げ出さないで一緒に考えてよ!」


 キリカは顔を上げ必死になってフェルアの肩をつかみ揺らし始める。


「分かったから揺らさないで。はぁ、じゃあまず持ってる服を見たいから部屋に上がるわよ。いいわね」


 フェルアは立ち上がって喫茶店二階にあるキリカの部屋に向かい、その後ろをキリカとクロがついて行った。


「ほら、持ってる服、全部持ってきて」

「……これで全部」

「いやまだ何も持ってきてないじゃん」

「だから、そこにあるので全部だよ」


 キリカの指さしたベットの上には部屋着とパジャマ、あと高校の制服が脱ぎ散らかされていた。


「うそでしょ、クローゼットの中は……」

 

 フェルアは勢いよくクローゼットを開いたがその中は黒色のローブが一枚あるだけだった。


「ちなみにキリは、何を着てその友達と出掛ける予定だったの?」

「今着てるこの服で行こうかなって」


 キリカの今着ている服、それは喫茶店で働くときに着ている和服の上にエプロンドレスの姿だった。


「はぁ……、明日お店休みだったよね、服貸してあげるから私の家に来なさい」


 キリカのクローゼットの中を見たフェルアは頭を抱えながら魔法界にあるフェルアの住んでいる家に来るよう伝えた。

 

「う、うん。わかった」

 

  翌日の放課後、キリカは使い魔の黒猫クロと一緒に、箒に乗って魔法界へ向かった。

 魔法界、アルズベート地区。その街のはずれにある一本の大樹の麓にキリカは降り立った。


「ここに来るのも久しぶりだなぁ」


 大樹に手を伸ばし魔力を少量流し込むとキリカの足元に魔法陣が現れ光の柱がキリカとクロを包んだ。そして二人は大樹の中へワープした。大樹の中は広く、研究室や書庫などの部屋がある。その部屋のひとつにフェルアの部屋がある。


「フェル、入るよ?」


 キリカは扉をノックしてフェルアの部屋へ入っていった。


「思ったより早く来たのね。じゃあ早速あそこのクローゼットにある服着てみよっか」


 フェルアは部屋にある大きなクローゼットを開き適当に服を選びキリカに着せ始めた。

 

「違う、これも違う……うーん、やっぱりキリにはロングスカートが似合うね。じゃあ次は……」

「…………」

 

 フェルアに着せ替え人形の様にされるキリカは何も言わず、ただされるがまま渡された服を着ていた。


「まぁ、こんなもんかな。ほら、鏡で見てきなさい」


 フェルアに言われるがままキリカは全身が映る大きな鏡の前に立った。そこに映っていたのはロングスカートをはき少し大きめのシャツを羽織った自分の姿が映っていた。


「……可愛い」

「でしょ?ほかにもあるから持っていきな。ていうか明日出かけたときに買っておしゃれしてよね」


 フェルアは他にも三着ほど袋に入れキリカへ渡した。


「そういえば師匠がこっちに来たら寄るように言ってたから会いに行きな。研究室にいるよ」

「ありがとうフェル。行ってくるね」


 そう言ってキリカはフェルアの部屋を出て研究室へ向かった。


「お師匠様ー帰ってきましたよ」

 

 キリカは研究室の扉を開け薄暗い部屋の中に入っていった。部屋の中にはたくさんの資料や道具が散乱していてそれを避けるようにキリカは机に伏しているセリルア・ケリロの下へ向かった。


「お師匠様、そんな寝かたをしてるとまた腰を悪くしますよ」

「かまわん。もう治す薬があるからのう」


 セリルアは起き上がり、キリカの方を向いた。


「それにしても久しぶりじゃないか。人間界にいるのが苦しくなったか?」

「なってませんよ。むしろ毎日楽しいです」

「そうかい。そんなキリカにこれをやろう」


 そう言ってセリルアは机にあるリングをキリカに渡した。


「お師匠様、今度は何を作ったんですか」

「それは魔力供給リングと言って魔法で作られた装備者の装備に魔力を送ることができるアイテムじゃ」

「それって……」

 

 それを聞いたキリカは布由に渡したネックレスのことを思い出だした。あのネックレスは布由がいつでも喫茶店のある森に来られるようにキリカが魔法で作ったものだ。しかしそのネックレスには問題があった。キリカの作ったネックレスに魔力を供給ができずいづれは、ネックレスの中の魔力が無くなり森へ入れなくなるとされていた。だがなんとセリルアが作り出した魔力供給リングのおかげでその問題が解決されたのだ。そのことを理解したキリカはセリルアに深く頭を下げた。


「ありがとうございます、お師匠様。ところでなぜ魔力供給リングを作ってくださったんですか?」

「フェルアから聞いたんじゃよ。どうやら人間の友人ができたそうじゃないか」

「はい、ほぼ毎日一緒にいますよ」


 キリカは笑顔でそう言った。


「キリカをここまで笑顔にできるなんてきっと良い友人なんだろうな」

「えぇ、大切な友達ですよ」


 それからしばらくセリルアと話した後、キリカとクロは魔法界を離れ喫茶クロネコの二階にある自室へ帰っていった。


「明日は布由とお出かけか……ちょっとドキドキするなぁ……」


 キリカはクッションを抱きソファーに座って窓から見える星空を眺めていた。


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