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喫茶クロネコへようこそ  作者: うなぎタコ


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第5話 新作メニューと困りごと

「凛ちゃんお昼ごはん食べよ」

「あー、購買寄っていい?今日もお弁当持ってきてないんだよね」

「いいよー、一緒に行こ」


 四限目の授業が終わり弁当箱を持った布由は凛を昼食へ誘っていた。高校に入学してから約ひと月が経った。午後の授業も本格的に始まり、ほぼ昼食が必須になっている。そのため生徒たちは家から弁当を作って持ってきたり学校の購買で弁当やパン、軽食などを買ったりしている。


「凛ちゃん今日はコロッケパン買えたんだね」

「そう、最後の一個でやっと買えたの」

「人気だもんね、この学校のコロッケパン」

 

 二人は中庭にある、あまり人の来ない木陰で昼食を食べながらいつものように話をしていた。


「凛ちゃんって何か部活はいるの?中学の時はテニス部だったけど」

「そのことだけど、部活には入らずにテニススクールでバイトすることにしたんだ」

「へぇーバイトするんだ。そのテニススクールって一駅先にある凛ちゃんが通ってたところ?」

「そ、先生から人手が足りないから手伝ってくれって。今日からバイトなんだ」

「頼られてるね~凛ちゃん」


 布由に褒められた凛はどや顔でコロッケパンを食べていた。


「凛ちゃんこれ上げる」


 コロッケパンを食べ終わった凛に弁当の中に入っていたピーマンを渡した。


「好き嫌いせずに食べないと大きくなれないよ。まぁ、今回は食べてあげるけど」

「ありがと~凛ちゃん。私、苦い食べ物苦手だから助かるよ」

「苦手ならお弁当に入れなきゃいいのに。自分で作ってるんでしょ?」

「自分では入れないようにしてるんだけどお母さんがこっそり入れるんだよ」


 そんな、なんてことない会話を繰り返しているといつの間にか昼休みは終わり午後の授業が始まろうとしていた。布由は暖かな日差しが差し込む教室で眠い目をこすりながら午後の授業を受けた。そして放課後、布由と凛の二人は家に帰り凛はバイトへ布由はキリカの喫茶店へそれぞれ向かった。


「いらっしゃい、布由」

「三日ぶりだねキリカちゃん」


 布由が森の中の喫茶店の前に行くと、店前を箒で掃除しているキリカがいた。布由はキリカと一緒に店の中へ入っていった。


「ねぇ、布由、なんで三日もここに来てくれなかったの?ずっと待ってたのに」

「あー、スポーツテストが終わってから筋肉痛で動けなかったんだ。それに私だってキリカちゃんに会いたかったよ」

「布由もそう思ってくれているならいいんだけど筋肉痛?って何?」


 キリカは筋肉痛を知らないのか首をかしげていた。


「もしかして、筋肉痛になったことないの……」

「うん」

「まぁ、確かにキリカちゃんは一人でこのお店を回してるわけだし体力も、筋力もつくか」


 布由は少し落胆しながらそう言った。


「そういえば、キリカちゃんってスマホ持ってるの?」

「一応持ってるけど、あまり使ってないかな。連絡事は全部クロに任せてるし」

「え!クロってそんなこともできるの!?」

「うん、今日も魔法界に定期連絡の手紙を届けに行ってくれてるんだよ」

「クロってそんなこともできたんだ!」

 

 驚きながら布由はメロンソーダを飲んでいた。そしておもむろにポケットからスマホを取り出した。


「スマホ持ってるならさ、連絡先交換しとこうよ。その方が何かと便利だし」

「い、いいけど、私どうやって交換するかわからないよ」

「私が教えてあげるよ」

 

 キリカは布由の隣に座りスマホの使い方を教わり、二人は連絡先を交換した。


「よし、これでいつでも、どこでも話ができるよ」

「布由が学校いる時にメッセージ送ってもいい?」

「もちろんいいけど、返信は遅くなるよ」

「うん、大丈夫」


 そしてこの日は軽く話をして布由は家に帰った。その晩冬のスマホに一件のメッセージが送られてきた。キリカからだ。そこには『これからよろしくお願いします』と書かれていた。布由は微笑みながら『よろしく!』と書かれたシマエナガのスタンプを送った。


 翌日の休み時間布由は凛の席にいた。


「ねぇ、凛ちゃん勉強教えてよ~」

「あたしも教えてほしいくらいだよ。高校に入ってから難しくなりすぎ」

「だよね、私なんてついていくので精一杯だよ」

 


 二人がそんな話をしていると布由のスマホにメッセージが送られてきた。『今日お店お休みだけど来る?』と書かれていた。普段なら喫茶店が休みの日は喫茶店どころか森にすら入れないのになぜか今日は開けてくれるみたいだ。布由は『学校が終わったらすぐ行くよ』と返した。

 そして放課後、布由は制服のままキリカの喫茶店へ向かった。

 

「今日お店お休みの日なのに森を開けるなんて珍しいね」

「新作メニューを作ってみたから試食してほしくて」

「新作メニュー!?食べます!」


 喫茶店にやってきた布由は眼を輝かせていつものカウンター席に座った。しばらくして布由の前に出されたのはプリンが乗ったパフェだった。


「ん~!これ美味しいよ!でもこれ作るの大変じゃない?」

「これは数量限定で販売する予定なんだ」


 キリカは布由がパフェをおいしそうに食べるのを眺めながらグラスを丁寧に拭いていた。


「ねぇ、布由。最近何か困ってることない?勉強の事とか……」

「と、唐突だね。まぁ、確かに高校の勉強は難しいかな。特に化学かな。元素だのなんだのがよくわからないんだよね」

「科学?」

「そう、これなんだけど」


 布由は鞄の中から科学の教科書を取り出しキリカに見せた。


「……これなら教えられるかも」

「嘘、ちょっと見ただけなのに」

「化学は魔法に似てるから」

「じゃあ、ちょっと教えてよ。テストで赤点取ったら補修なんだよぉ」

「いいよ、じゃあ最初の方から……」


 そして突発的にキリカから、二時間かけて魔法を織り交ぜながら科学の基礎を布由に教えた。


「授業よりわかりやすいし面白い。ねぇ、また教えてよ」

「いつでも教えてあげるよ。でもその代わり私にもほかの教科教えてほしいな。この世界の事知りたいから知識を付けたくて」

「任せて!私に教えられることなら何でも教えるから」


 キリカの勉強会が終わり二人でしばらく雑談をしているといつの間にか日は沈み月が出ていた。そそこで、その日は解散となった。


「それにしてもなんでキリカちゃんは私が勉強のとこで困ってるってわかったんだろう……魔女は人の心でも読めるのかな」


 そんなことを考えながら布由は夜道を進み家へ帰っていくのであった。

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