↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
喫茶クロネコへようこそ  作者: うなぎタコ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/35

第33話 布由と凛

 あれは今から三年前の春、中学の入学式の日、初めてふゆに出会った。たまたま同じクラスだったこともあり、ふゆと仲良くなるまでそう時間はかからなかった。それから三年間、何をするにもずっとふゆと一緒だった。学校にいる時はもちろん、放課後も、休日も。ずっと一緒だった。高校だってふゆが受けるところを受けた。そしてこの先もずっと一緒に入れると思っていた。なのに、高校に上がって、ふゆがあの女に出会ってしまってすべてが変わってしまった。ずっと一緒にいたふゆは次第にあの女と過ごすことが増え、二人になれる時間が減っていく。ずっと一緒にいるはずだったのに、これからも隣にいてくれるはずだったのに、あの女にふゆを奪われた。だからあの女は許さない。そう決めてあの女について色々調べた。調べていく内に分かってきたことがある。それはあの女が魔女であること。そして魔法界で禁忌魔法を制作した罪人であること。それと本名。それらを利用することにした。さらに調べて居場所の突き止めた。あの森の中の喫茶店を見つけるのには苦労した。だがこれで準備は整った。身分を偽り、ローブで姿を覆って創魔省へ通報した。それから数日もたたないうちに、あの女の処刑が決まったと創魔省から連絡があった。処刑日は三週間後、少し遅いと思ったがあの女の死が確定しているのだからあまり気にしないものとする。そして処刑の日がやって来た。あの女が死ぬ瞬間を見るためわざわざ魔法界にある処刑所まで足を運んだというのに、ふゆやフェルアに助けられてあの女は死ななかった。あろうことかあの女はふゆを抱きかかえていた。許せない。


「ふゆは私の物。誰にも渡さない……」


 魔力暴走で気を失った布由を抱えた凛はそう言って布由をベットの上に寝かせた。


「今はゆっくりお休み、ふゆ」


 凛は布由の髪を撫で、小窓から夕陽がわずかに差し込む、無機質な部屋から出て行く。

 その数時間後ようやく、布由が目覚めた。


「あれ、ここどこだろう……私の部屋……じゃあないよね?」


 布由が目を覚まし辺りを見回していると、扉が開き、凛がやって来た。

 

「……凛ちゃん?」

「ふゆ、目が覚めたんだね」

「ねぇ、凛ちゃん、ここはどこなの?私、自分の家にいたはずなんだけど……」


 布由は不安げな声で凛に聞く。


「落ち着いて聞いてねふゆ。ふゆは自分の家で魔力暴走を起こして気を失ってたの。ふゆから連絡を貰ってたからすぐに家に行ったけど、そこに悪い魔女が来てふゆを連れ去ろうとしてたから、私はふゆをここまで運んだんだ」

「悪い魔女……?ねぇ、その悪い魔女って誰?なんで凛ちゃんが魔女とか魔力暴走とか知ってるの?」

「落ち着いてふゆ。ふゆは騙されてたんだよ。その悪い魔女、キリノルワ・カルトリアに。ふゆの魔力暴走だってあの女のせいなんだよ」

「え……?」

 

 布由はその名前に聞き覚えがあった。キリノルワ・カルトリア、それはキリカの本当の名前。


「なんで……キリちゃんが……違う、キリちゃんはそんなんことしない……」

「可愛そうなふゆ。ずっと騙されてたんだね」


 凛は布由に抱き着き、やさしく頭をなでる。


「違う、キリちゃんは……」

「ふゆ、私を見て」


 混乱している布由の顔を優しく持ち上げ、目を合わせる。


「凛ちゃん……?」


 布由の目が魔力暴走の時と同じように紅く染まる。そして意識がだんだん薄れていく。

 

「ふゆ、私の夢を叶えるために協力してくれない?ふゆの力が必用なの」

「……うん。良いよ。凛ちゃんのために頑張るよ!」


 布由は笑顔で答えた。


「そう。ありがとう、ふゆ。それじゃあ、ちょっと場所を変えようか」


 そうして凛と布由は無機質な部屋を出て行く。二人の向かう場所はいつも通っている学校の屋上だった。


「さて、まずは手始めにこの街を支配しよう」


 凛は右手を上げ、空に大きな魔法陣を描く。そしてその魔法陣は光を放ち、街全体を覆った。道行く車は消え、人々の話し声や足音も消える。冷たく、静かな時間が流れる。


「凛ちゃんも魔法使えたんだね。これはどういう魔法なの?」

「これはただの人祓いの結界だよ。私とふゆの世界に部外者入らないからね。だけど、魔女は対象外だからあの女は後でちゃんと消すとしよう……」


 凛は静かに決意を固める。

 

 一方、森の中の喫茶店、喫茶クロネコはいつもの様なにぎやかで、明るい雰囲気はなく。重く、暗い空気が流れていた。


「布由が……早く布由を助けに行かないと……」

「キリ、落ち着いて!セレスナさん帰ってくるまで待って」

「でも!早く助けに行かないと布由が……」

 

 凛に布由を連れ去られたことで、かつてないほど冷静さに欠けているキリカをフェルアが必死に止める。そんなキリカを何とかイスに座らせて、程なくすると喫茶店の扉が開く。


「戻ったよ。キリカ、フェルア」


 そう言って喫茶店に来たのは欺瞞の魔女セレスナ・クロースだった。その足元にはキリカの使い魔、クロもいた。


「セレスナさん!どうでした?やっぱり凛は……」

「……あぁ、間違いない。魔法界の名簿とブラックリストから名前が消えている凶悪犯罪者、リランテ・ムルムだ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。