第18話 初めての海
「ほら、海が見えてきたよ!」
揺れる電車の窓から太陽の光に照らされ蒼く輝く海が見える。
「おぉ!海だぁぁ!」
「わぁ!綺麗!」
始めて海を見た魔女のキリカとフェルは目を輝かせながら電車の窓に張りつきながら駅に着くまで海を眺めていた。
「まだ電車の中からなのにはしゃいでるね」
「それだけ楽しみなんだよ」
そんな二人を凛と布由はニコニコしながら眺めていた。そしていつの間にか電車は目的地の駅へ到着した。四人は荷物を持って電車から降り海を目指し少し歩いた。海に着いた四人はさっそく水着に身替え、砂浜にパラソルを刺した。
「よーし、遊ぶぞー!」
「待ってフェル、日焼け止め塗らないと」
「凛ちゃんビーチボール膨らまして」
「オッケー」
そして四人はそれぞれ準備を整え波打ち際まで走っていった。
「わぁー冷たーい」
「うっ、しょっぱいよこの水」
始めての海で思い思いの反応を見せるキリカとフェルアを凛と布由は水鉄砲に水を入れながら嬉しそうに眺めていた。そして布由と凛は初めて海に来た二人の背後から水鉄砲を撃った。
「ひゃっ!?」
「わっ!?」
突然背後から水鉄砲を撃たれた二人の魔女は驚き振り返るとそこには、ニヤニヤしている布由と凛が居た。
「やったなー!凛!」
「布由!?」
フェルアは両手で海水をすくい思いっきり凛と布由に向かって掛けはじめた。お互いの水の掛け合いは笑顔が絶えることはなく水鉄砲の中身が空になるまで終わることはなかった。その後も砂浜に城を作ってみたりカニを追いかけたりしているとあっという間に時間が過ぎ去りお昼時になっていた。そこで四人は近くの海の家にやってきた。
「みんな何食べる?私は焼きそば」
「私、カレー!」
「私はロコモコ?って言うので」
「じゃあ私はラーメンにしようかな」
四人はそれぞれ食べたいものを注文した。
「そういえばキリってこんなかわいい水着持ってたんだね」
「布由と買いに行ったんだよ」
「キリも外に出るんだ……ありがとね布由ちゃん。キリを外に連れ出してくれて」
「え?」
「だってキリは昔から……」
「フェル?」
フェルアが昔のキリカの話をしようとしたら正面に座っているキリカに圧をかけられてしまった。そうこうしているうちに料理が運ばれてきた。
「この後、何する?」
「ビーチバレーしようよ。かき氷を懸けて!」
フェルアはそう言ってかき氷を売っている屋台を指さした。
「いいねそれ、ご飯食べ終わったらやろうよ」
「勝って絶対かき氷食べる」
そしてお昼ご飯を食べ終わった布由は一度パラソルまで戻り、ビーチボールをも行って三人の待つ場所へと向かった。そこにはすでに砂浜にコートが書かれていた。今回のかき氷を懸けたビーチバレーのチーム分けは布由とキリカ、凛とフェルアになった。
「それじゃあ、始めるよ!」
そう布由が合図をし、軽くサーブを打った。始めはゆっくりとしたラリーが続いていたが布由の少し強い球を打ち返そうとしたフェルアは足元を砂に捕られ体制を崩してしまい点を取られてしまった。
「やったね布由」
「イエーイ!」
点を決めた布由はキリカとハイタッチをして喜んだ。一方でフェルアは動きずらそうに自分の足元を見ていた。
「砂の上だと動きにくい……」
「フェルア、姿勢を低くしてみて」
凛に言われた通りフェルアは姿勢を低くする。
「こう?」
「そう。次に移動するときは細かくステップを踏むのがコツだよ」
凛はフェルアに砂浜の上での動き方をアドバイスした。今度は凛のサーブから始まる。今回もゆっくりラリーが続くと思ったが明らかにフェルアの動きが先ほどとは違い良くなっている。布由とキリカがどこに打ち込んでもボールを落とさず的確に凛にトスを上げ打ち返してくる。お互い、なれない砂浜の上で行われる攻防。そして決着がつく。結果は、5対3で凛とフェルアのチームが勝利した。
「フェルア、いい感じじゃん」
「凛のアドバイスのおかげだよ」
「惜しかったね布由」
「でも楽しかったねキリちゃん」
こうしてビーチバレーで勝った凛とフェルアはかき氷を、負けた布由とキリカはソフトクリームを買ってパラソルの下で食べる。そして時間は過ぎあっという間に帰る
時間になってしまった。帰り支度を終えた四人は電車に乗り海を離れてゆく。
「来年も行きたいね、海」
「うん。今度はお金貯めて海が見えるコテージとかに泊りで行ってもいいかもね」
「私は、バーベキューとかしてみたいな」
「夢が広がるねぇ」
「でもまぁ、夏休みはこれからだから」
「確かに。まだお祭り行ったり花火したり、色々イベントはあるからね」
「お祭りも、花火もよく知らないから楽しみだなぁ」
「そうだね」
遠ざかる海を眺めながら四人はそんな、なんてことない話をしていた。
「そういえばちょっと気になったんだけど二人ってどこから来たの?海も、お祭りも知らなかったみたいだけど」
会話の中、凛が気になったことをフェルアとキリカに、気になったことを質問した。
「私達はここから遠くの海もない内陸にある国から来たから色々新鮮なんだ」
「まぁ、祭りはあったけど参加したことはなかったからね」
「そうだったんだ、じゃあこれからいろんなところ行って、思い出たくさん作らないとね」
「じゃあ次は三週間後にあるお祭り行こうか」
そう、凛が提案に三人は大いに賛成した。それからしばらく四人で会話をしているとだんだんと電車の心地よい揺れが四人の眠気を誘い、遊び疲れた四人は静かに目を閉じ眠りについた。そして気が付いたころに電車は布由たちが降りなければならない駅にさしかかろうとしていた。運よく目を覚ますことができた凛は急いでまだ眠っている三人を起こし何とかその目的の駅で降りることができた。
こうして初めて海で遊ぶ一日が終わった。




