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山姥切殺し  作者: しゅうか
本編
11/16

7.Side国広 バッドエンド

バッドエンドルートです。

Side国広 バッドエンド

※赤ずきんの鍵で赤ずきんの部屋に移動

※BGM ダンジョン09(不気味なダンジョン)

〔テキスト〕

無数の壷が並べられた部屋があった。

部屋の奥には張り紙が二枚あり、それぞれに文字が書かれている。

奥に宝物庫へ続く扉があるが、鍵がかかっていた。

※張り紙1を見る。

〔テキスト〕

蠱毒作成中!

※張り紙2を見る。

〔テキスト〕

宝物を手に入れる鍵を探そう!

・ツボの中には数字が書かれているよ。

・数字は鍵までの最短距離だよ。

・距離は縦横のみで数えているよ。斜めは含まないよ。

・一番右下は6だよ。

・鍵を手に入れたら、宝物のある部屋へ行くことができるよ。

※蟲毒の入ったツボを調べる。

〔テキスト〕

ツボの中で大量の虫がうごめいている。

※宝物のあるツボを調べる。

〔テキスト〕

ツボの中には花束の鍵が入っていた。

「花束の鍵」を手に入れた。

〔アイテムテキスト〕

花束の鍵

花束のキーホルダーがついた鍵

希望は摘み取られた


※花束の鍵で宝物庫に移動

〔テキスト〕

上品なテーブルクロスのかかったテーブルがいくつも並べられている。

テーブルの上には様々な品が展示されていた。

二つの指輪、古びた手紙とお守り、写真、小柄。

統一感がまるでなく、どことなく不気味だった。

※「指輪」を調べる

〔テキスト〕

「二つの指輪」の内側には、「with you」と彫られている。

【国広】

貴方と共に……か。

それぞれサイズが違うし、高そうだし、多分婚約か結婚指輪だよな。

宝物って……つまりそういうことなのか?


※「古びたお守り」と「手紙」を調べる

〔テキスト〕

あなたへ

マタギの仕事は自然を相手にする以上、危険が伴うと聞きます。

くれぐれも気を付けて。

貴方が無事に帰ってくるのを祈っています。

【国広】

(……これがここにあるってことは、そういうことなんだろうな)


※「写真」を調べる

〔テキスト〕

「七五三のモノクロ写真」が飾られている。

写真の中で、着物を着た双子の少女が笑っている。

【国広】

こいつら、さっきの人形に似てるような……。

まさか、な。


※「小柄」を調べる

※BGM おにいちょぎといっしょ1 矢切の鬼渡しのマップ探索BGM(廊下とか審神者の部屋とかのBGM)

[テキスト]

「眠れませんか?」

 山姥切国広が縁側で座っていると、そう声をかけられた。

 時刻は二時を過ぎ、夜警の数口を除けば皆眠っている時間だった。

 声のした方を見ると、審神者 竜樹たつきが立っていた。

 二十代前半の若い男で、短い黒髪に紺色の浴衣を着ている。

 鋭い目つきと黒ぶち眼鏡が、生真面目そうな印象を与えた。

 実際その印象はさほど間違っておらず、真面目一辺倒で冗談の一つも上手く言えないような男だった。

 仕事一筋といった感じで、浮ついた噂がないどころか、趣味に興じているところすら見たことがない。

 休日だって、歴史や刀剣に関する書物を読み漁り勉強する始末だ。

 それを見かねた男士から、ゲームに誘われたり、キャンプや温泉に連れ出されたりしたくらいである。

 おかげで最近は、皆と遊んでいる姿を少し見かけるようになってきた。

「……どうにも、気分が高揚してしまってな。

 あんたは?」

「私は水を飲みに来ただけです。

 思ったより酒を飲みすぎて、軽い脱水状態みたいですね」

 二二〇九年八月二十五日。

 この日、本丸では山姥切国広の修行帰還を祝う宴が開かれていた。

 竜樹が全男士に休暇を言い渡したことで、宴は本丸の全員が参加する盛大なものとなった。

「あんたの口から、飲み過ぎたなんて言葉が出るとはな。

 いつもは、少ししか飲まないのに」

「こういう時くらいは羽目を外せと、鶴丸国永や和泉守兼定にお酌されてしまって。

 私もつい、それに乗ってしまったんですよ」

「はは。俺もそれをやられたな。

 おかげで、少し頭がぼーっとする」

 国広は宴の席での事を思い出した。

 鶴丸や和泉守のみならず、国広と同じ日に顕現した同部隊の鯰尾藤四郎や今剣などもやってきて、次から次へとグラスに酒を注いでいったのだ。

 合間に水を飲んでいなければ、酔いつぶれていたことだろう。

「……それ、気に入っていただけたようですね」

 竜樹は国広の隣に座ると、彼にしては珍しく微笑んだ。

 国広の両掌には、小柄があった。

 柄に金細工のヤタガラスが装飾された、十二㎝程の小さな刃物。

 それは修行帰還を祝って、本丸の皆から贈られたものだった。

 小柄は国広の為だけにあつらえられたもので、本丸の皆でデザインを相談し、鍛刀部屋で刃を打ってもらったらしい。

「……そうだな。

 小柄そのものも嬉しいが、それより何かを贈られた事が嬉しいのかもしれない。

 これはあんたが、本丸の皆が俺の働きを評価し、これからに期待してくれた証だから」

 国広は竜樹から視線を外すと、小さな刃物に目を落とした。

 金色のカラスはどこか誇らしげに、月明かりを反射させていた。


※場所 宝物庫

※BGM 悲しみに包まれて

※国広 小柄の前に立っている

※キリクニ 入り口に立っている

※国広 キリクニの方を向く

〔!〕+国広

※国広 キリクニに近づく

【国広】

あんた、もう大丈夫なのか?

【キリクニ】

……すまない、時間切れだ。

【国広】

え?

〔テキスト〕

 矢切国広の首が胴体を離れ、血を撒き散らしながら宙を舞う。

 それは弧を描いて床に落ち、少しして胴体も後を追うように仰向けに倒れた。

 山姥切国広はそれを見届けることなく、部屋のドアに内側から鍵を掛け、ドアノブを切り落とす。

 これでドアや壁を破壊しない限り、もう部屋を出入りすることはできない。

 国広は納刀しその場に座り込むと、青年のリュックサックに目をやった。

 そこには、恋人から贈られたという守り石が取り付けられていた。

 美しい瑠璃色をしていたその石は、瘴気に蝕まれどす黒く変色している。

 石にはもう青年を守るだけの力は無く、青年は苦しみながら怪異に転化するだけとなっていた。

 だから、国広は切った。

 強い感情によっても怪異になるから、死の恐怖どころか、切られた事実すら気づかれないように。

 首が切られても数秒は意識があるというが、その僅かな時間で状況を理解することは不可能だっただろう。

 幸い上手くいったようで、青年の遺体が怪異化する兆候は表れなかった。

 やがて青年の魂は肉体を離れ、神域を出て黄泉を渡り、また現世に転生するはずだ。

 それが心底、羨ましかった。

 青年が前世でどんな人生を送ったかは知らない。

 けれど、そこにどんな不幸があったとしても、山姥切国広として死ねたのだろう。

 そして人間として転生し、矢切長義に愛され、恐らく周りのものからも愛されていた。

 結局彼を愛したもの達からは忘れられてしまったが、それでも人として死ぬことができた。

 そうして来世を迎えて、矢切長義達と再会するに違いない。

 山姥切国広として死ぬことすらできず、化け物になるしかない国広から見れば、それは眩しいくらいだった。

 だからこそ、青年は鬼女に攫われた。

 青年と引き合わせることで国広が青年を妬むように、より苦しんで強い怪異になるように。

 鬼女の誤算は長義が来て脱出の希望が見えたことと、国広が青年を助けたいと思ったことだろう。

 国広は、青年に幸せになって欲しかった。

 青年を通して、有り得たかもしれない未来を夢見ていたかったのだ。

「……ツッ!!」

 突如激しい頭痛に襲われ、国広はその場にうずくまった。

 痛みは熱をもって、ゆっくりと移動していく。

 それはあたかも、熱した鉄の棒が頭の中をかき回していくようだった。

 ふと、死体が横たわっているのが目に入った。

 国広と同じくらいの体格で、何故か首から上が存在しない。

 この遺体は何かに襲われたのだろうかと、国広はぼんやりと考えた。

 ならば、ここは危険かもしれない。

「く……ぁ……」

 立ち上がり、すぐ傍のドアから逃げようとする。

 しかしドアノブは切り落とされていて、外に出ることは叶わなかった。

 どうして閉じ込められているのか、部屋にある遺体が何なのか。

 国広にはもう、分からなくなっていた。

 ――あれから、何があったんだ。

 自身が山姥切国広であったことも、龍樹に顕現されたことも、鬼女に襲われたことも、山姥切長義に全てを託したことも覚えている。

 なのに、そこから先が思い出せない。

「……ッ」

 痛みを堪えつつ、手がかりを求めて遺体のリュックサックに手を掛ける。

 遺体をうつ伏せにし、チャックを開けて中身を取り出す。

 中から教科書が出てきて、そこに書かれた発行年数に国広は目を見張った。

 その日付は、国広が攫われた日から遥か未来のものだった。

 鬼女に時を越える力はない。

 そして国広自身にも、時を越えるような、少なくとも未来に行く力はなかった。

 首のない遺体が未来から来たという可能性もなくはないが、それより遥かに高い可能性が存在する。

「ははは……」

 全てを察した国広の口から、乾いた笑いが漏れた。

 単純に、国広が忘れているのだ。

 本当に死ぬのは、誰からも忘れられた時。

 忘れてしまった以上国広の推測に過ぎないが、国広はきっと自分で自分を忘れないために瘴気に耐えてきたのだろう。

 それてそれが、限界に達している。

 直に国広は、自分が山姥切国広であったことも忘れてしまうのだろう。

 そうなれば、国広を覚えているのは山姥切長義だけとなる。

 けれど。

「山姥切……頼むから、俺のことは忘れてくれ」

 長義が今どうしているか、国広には分からない。

 けれど国広は、今も自分を探し続けているだろうと確信していた。

 きっとこの先何十年何百年経とうと、長義は国広を探し続けるだろう。

 仮にどこかで山姥切国広がもういないと知ることになっても、だからと言って長義が国広を忘れるとは思えない。

 律儀に覚え続け、救えなかった自らを許さないはずだ。

 それが、国広には耐え難かった。

 別に長義を苦しめたかったわけでも、縛り付けたかったわけでもない。

 ただ、一緒に帰りたかった。

 それができないならせめて、自分の事など忘れて幸せになって欲しかった。

「あ、れ? おれ、いまなにを……」

 先程まで何か考えていた気がするが、思い出せない。

 痛みが増す。

 国広は再びうずくまり、声の限りに叫んだ。

 それは決して絶えることなく、だというのに息苦しさを感じない。

 そうなってようやく、国広は自分が息をしていない事に気が付いた。

 そんなもの、もうとっくに必要なくなっていたのだ。

 ――いたい、こわれる、いやだ、こわい、たすけて。

 国広は体を蝕む瘴気に抵抗しようと、頭に霊力を集中させる。

 しかし霊力と共に送られた瘴気により、逆に痛みが増すだけだった。

『抵抗しなければ、楽になれるわよ』

 ふと、頭の中で声がした。

 それは昔、誰かに言われた言葉だった。

 誰に言われたか、本当にそう言わたのかも分からない。

 ただ同時に、どうして抵抗するのか分からないことにも気が付いた。

 だって、楽になれるのに。

 もう二度と、苦しまなくて済むのに。

 ならいいじゃないかと、国広はその場で仰向けになり、痛みに身を任せた。

 全身の力を抜くと、意識と共に痛みが急速に薄らいでいく。

 不思議と気持ちは穏やかで、国広はどうしてもっと早くこうしなかったのだろうと思った。

 ペリペリと乾いた音を立てて、国広の背中が裂けていく。

 首の付け根から背中の中程にかけて、一直線に亀裂が入った。

 直後、国広の体が大きく跳ねた。

 力の抜けた手足が宙を舞い、持ち上げられた頭と背中が強く床に叩きつけられる。

 鉄が落ちる甲高い音が、部屋中に響き渡った。

 何度もそれが繰り返され、背中の裂け目が徐々に広がっていく。

 やがて裂けた頭から、鈍色の肌と金色の髪を持つ怪異の頭が落ちてきた。

※SE ガオー

 産声をあげ歓喜するそれに、もう山姥切国広の意思は残っていなかった。

〔テキスト〕

BadEnd1

名前のない化け物

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